第三章 Part13
リアルワールドで、菊池ともう一人、メギドの捜索をしているユキ達。ユキ達は、特別チームの車に乗り、移動していた。
移動している中、ユキ達は、菊池の動きを追っている特別チームからの連絡を待っていた。
「…」
「…連絡、来ないですね」
サオリが青山に話しかけた。
「あぁ、銀座駅から菊池を追っていると思うが…」
「見失った可能性は、無いですかね」
ユキが青山に聞く。
「それは大丈夫だろう、彼らはそんなミスはしない」
「…信頼しているんですね」
「まあね、彼らは大事な仲間だ」
「仲間…」
「…お、連絡が来た」
青山の元に一本の電話が入った。
「もしもし」
「青山さん、菊池は今、銀座線にいます。現在の駅は、表参道駅です。ここで降りないと言うことは…」
「あぁ、奴は渋谷駅で降りるな」
「えぇ、我々はこのまま監視を続けます」
「分かった。それと、菊池は一人か?」
「はい、菊池の近くに、菊池の仲間はいません」
「了解した。引き続き頼む」
「はい」
二人は会話を終え、電話を切った。
「遥、青山さんには連絡した。俺達はこのまま、菊池の行方を追う。そして、菊池を脱獄させたと言う奴の事も見つけねばな」
「そうね、私達の任務は、菊池達の行方を追う事、気を引き締めましょう」
「あぁ……遥」
「なに?」
「この仕事が片付いたら、例の話を」
「…そうね。この仕事が片付いたら、ね」
遥と言う特別チームの女性と、青山に連絡を取った誠一と言う男性、二人は交際していた。そして、例の話と言うのは、結婚の話だ。
「でも誠一、それ以上は言わないで頂戴ね。なんだが死亡フラグっぽいわよ」
「あぁ、そうだな」
「…渋谷駅に着くわ。行きましょう、誠一」
「…」
「?誠一?」
誠一から返事がなく、後ろを振り返る遥。
「っ!」
振り返ると、そこには腹を貫かれ、傷を負った誠一が倒れていた。
「誠一!んっ」
突然背後から手で口を塞がれる遥。
「んっ、んーん!」
「暴れるな、彼の様に死にたいのか?」
「!」
「あー、そうとも、彼は俺が殺した。何やら俺達を嗅ぎ回っていたからね。でもそれは、君も同じか」
「んーん!(誠一!)」
「ふふ、悲しんでいるようだな」
恋人を殺され、遥は当然悲しみ、涙を流した。そしてそれと同時に、メギドに対する殺意も、湧いてきていた。口を塞がれながら、彼女は言った。
「殺してやる!」
「おーお、殺意を感じるね。ふふ」
「(!おかしい、人が死んでいるのに、何で周りの人は、何の反応もないの!?)」
「(ふふ、気づいたかな?この列車と言うものに乗っている人間達は全て、今は俺の支配下にある。お前達を探す為、列車に乗った時点で、コイツらの支配は完了していたと言う訳だ)」
「んっ!」
「ふふ、ハッハッハ。実に愉快だ。この世界の人間は、実に弱いな。この程度の能力も使えないとは。ふっふっふ、虫けら同然だ。…さて、君には、少し働いてもらおうか」
「!んっん!」
「君にも洗脳を施す。少しの間、俺の支配下に下ってもらう」
「んーん!」
〈その頃、車では〉
「青山さん、菊池は渋谷駅を降りるんですよね?」
「あぁ、降りた所を、我々で挟み撃ちにする」
「じゃあ、ボクは、メギドを探します。サオリちゃん、菊池は任せて大丈夫?」
「ええ、私は大丈夫よ。ユキちゃんこそメギドの方を頼むわね」
「うん」
「…!遥君から連絡が入った」
「なんて来たんですか?」
「…予想通り、菊池は渋谷駅で降りたそうだ。そして出口B七に向かっているみたいだ。我々もそこに行こう!向かってくれ」
「了解!」
「…」
遥から連絡が入り、出口B七の東口バスターミナルに向かうユキ達。そして数分後、東口バスターミナル付近へと着いたユキ達。
「…菊池はどこに」
「…!遥君から連絡だ。…菊池は東急プラザ渋谷駐車場へと移動したみたいだ。そこに向かおう。そこで遥君達と合流だ」
「了解しました」
「…」
遥からのメールを見て、駐車場へと向かうユキ達。そして駐車場に着き、遥を見つけ、車から降りる青山。
「…!遥君だ」
「…」
辺りに敵はいないと判断し、青山だけが車から降りた。
「遥君、無事で良かった。菊池は今どこだい?」
「…」
「遥君?…そう言えば、誠一君はどこだい?彼が今追っているのか?」
「…」
「遥、君?どうしたんだい」
「…ごめん、なさい」
涙を流しながら、答える遥。
「?それはどういう…」
とその時、ユキ達が乗っていた車が、突然爆発した。
「っ!」
「…」
気を失う遥。
「遥君!」
「…」
「っ!これは一体」
「君が」
「っ!」
突如後ろに現れたメギド。
「彼女らのボスか?」
「…お前は」
「俺の名はメギドだ」
「メギド、お前が」
「ああ」
「メギド、誠一君はどうした」
「誠一?あー、アイツの事か」
「…」
「殺したよ。邪魔だったからね」
「!何だと」
「メギド、予定通り。車の連中は始末した」
「っ!菊池…」
「久しぶりだな、青山」
「車をやったのは、お前か」
「あぁ、メギド君から貰ったこの力のおかげでな」
「力…」
「あぁ、お前らみたいな人間にはない力だ」
「ホント、良くやってくれたよ、菊池」
「なあに、君から貰ったこの力のおかげさ」
「…(そこに立っているだけなのに、菊池もだが、このメギドと言う男、なんて威圧感だ。アスタ君やユキ君達は、こんな者達と戦っていたのか)」
「所で、さっき爆破したヤツらの中に、魔力を持っている者を確認したぞ。どういう事かな?」
「…」
「黙りか、まあ、もうヤツらは死んだし、もう用は…?」
メギドが、爆破した車の方を見て、疑問に思った。
「…誰も、いない?」
そう、ユキ達が乗っていたはずの車だったが、爆破した車には、誰もいなかった。
「おい、菊池」
メギドが菊池に、ホントに殺したのか問おうとしたその時、メギドと菊池の後ろに、瞬間移動で現れたユキとサオリ。二人はメギドと菊池に近づき、ユキはメギドを、サオリは菊池を瞬間移動の能力で、ソウルワールドまで一緒に飛んだ。
「!ここは…、ゲータの創った世界か?」
「!メギド君、どこだ!」
「君の相手はボクだよ、メギド」
「!」
「貴方の相手は私です。菊池」
「…お前、あの時の」
ユキとメギドは、ソウルワールド第二十階層の北の森、サオリと菊池は、同じ第二十階層の西の森へと移動していた。
実は駐車場に行く前、ユキがある話をしていた。
「青山さん」
「?なんだいユキ君」
「ボクちょっと考えたんですけど、おかしくないですか?」
「おかしい?」
「はい」
「どうしたの?ユキちゃん」
「遥さんって人達を信用してない訳ではないんですけど、菊池をこんな簡単に見つけられるの、都合が良すぎないですか?」
「…言われてみれば」
「これは、菊池達の罠かもしれません」
「罠?」
「はい、このまま駐車場に行くのは良いんですけど、菊池達は、何か企んでいるかもしれません。ですから、合流できたら、周囲を警戒します。青山さんも注意してください」
「あぁ、分かった」
そして駐車場に着き、青山が遥に会っている最中、ユキとサオリは周囲を警戒していた。そして、爆発する直前、二人は、遠くから魔力を感知し、運転手を含め、三人は瞬間移動していた。
「遥君、大丈夫かい?」
「……あ、青山さん、すいません」
「謝ることはない、何より君が無事で良かった」
「…青山さん」
「青山さん!」
「吉蔵君、君も大丈夫かい」
「はい、あの子達のおかげで、無事です」
「なら良かった」
「青山さん、誠一が…」
「あぁ、誠一君の事は、私も残念だ」
「私の、私のせいで」
「そんな事はない、誠一君だって、君を責めたりなんか絶対にしない。だから、君は大丈夫だ」
「青山さん、はい、そうですね」
「あぁ、メギドと菊池は二人に任せよう。メギドは元からだが、菊池はもう人ではなく、怪物になってしまった。我々ではどうしようもできない。だから、我々は、信じて待とう。だが、後始末は残っている。そこは頑張ろう」
「はい!」
〈そしてソウルワールドでは〉
「…お前、何者だ」
「ボクはユキ。一人の剣士だ」
「剣士だと(…これほどの魔力、今まで感じ無かったのは何故だ)」
「お前の目的はなんだ、メギド」
「ふっ、そんなのあの世界の支配に決まっているだろう。他に何か理由があるのか?あんな世界に。あんな世界、支配する以外には何の価値もない。だから俺が支配してやろうと言うのに、お前は邪魔するのか」
「…君は、根っからの悪なんだね。支配だの価値がないだの、ふざけるなよ。あの世界、リアルワールドは、お前には一生かけても理解できない魅力がたくさんあるんだ。侮辱するな」
「…で、俺をどうする気だ」
「お前を止める」
「俺を止めるか、笑わせてくれる。なら、止めてみろ、この俺を」
「あぁ、そうするさ」
ユキは剣を握り、メギドが魔力を貯め、構えた。そしてそれは、サオリや菊池の方も同じだった。
「菊池、また会ったからには、貴方を止めます」
「…ふんっ、止めるか。前は失敗に終わったが、今の俺は、前の俺とは違う。この力で、何もかもぶっ壊してやる。そして俺がリアルワールドの頂点に立つ」
「…力を持ったせいで、そんな考えが出てしまうのですね。誰かの為ではなく、自分の為に使う力。…力…」
サオリは、昔父に教えられた事を思い出した。それは、「力とは、力無き者に救いの手を差し伸べ、救う為にある。そしてそれは、悪の道に行ってしまった者を、止める為の力でもある」と言う教えだった。
そして、サオリはそれを、今自分がすべき事と捉え、菊池を止める為、戦う。
「(お父さん、見ていてください。私は、貴方から教わったその教えを、今、実行します)」
既にソウルワールドで戦っているアスタ達を始め、ユキとサオリも、敵を止める為の戦いが、今始まる。




