第三章 Part6
三人は、カオリがいるであろうミレイユ姫の城へと向かった。だが、アスタ達が向かっている途中、アスタは何者かの気配に気づいた。
「カオリさんがいるのは、確か二十階層にあるミレイユ姫様のお城ですよね?」
「あぁ…」
「ん、どうかしましたか?アスタさん」
「何か考え事か?」
「…」
アスタは何も言わぬまま、建物の影に隠れた。そんなアスタにつられ、ミユキとヒナも建物の影に隠れた。
「アスタさん、一体どうしたんですか?」
ミユキがそう聞くと、アスタは小声で答えた。
「しっ!誰かにつけられてる」
「!?」
ミユキも剣士、先程までは気づけなかったが、少し集中してみると、確かに街の人とは異なる気配が感じられた。
「この気配は一体」
「分からない、ひとまず気づかれないように、テレポート盤まで行こう」
「そうですね」
「分かった」
アスタ達は、謎の存在に気をつけながら、テレポート盤まで向かった。そしてテレポート盤に着いたと同時に、アスタ達をつけていたヤツらの奇襲を受けてしまう。
「…」
「何とか着きましたね」
「あぁ、あとはコイツに乗って」
「!?ヒナ!隠れてろ!」
アスタがヒナにそう言ったと同時に、アスタ達をつけていた謎の集団が、ついに姿を現した。
「ハァーア!」
そしてアスタは、謎の集団の内の一人に、剣による攻撃を受けるが、アスタも剣を抜いて攻撃を防いだ。
「ンッ!」
「アスタさん!大丈夫ですか」
「あぁ、俺は大丈夫だ」
「ンッ」
「アンタら、何者なんだ」
「答えると思うか、罪人の分際で」
「な!罪人?」
「貴様のような者は、我々新聖騎士団の手によって裁いてやる」
「待ってくれ!アンタら、何か勘違いしてないか。俺は何もしてないぞ」
「とぼけるか、罪人ならば罪を認め、我々に裁かれてれば良いのだ」
「生憎、俺はついさっきこの世界に来たばかりでな、アンタら言ってる罪ってやつも、心当たりがない」
「そうです!アスタさんは、そんな事をするような人間ではないです!」
「この世界に来たばかりだと?何を意味の分からない事を、ミレイユ姫様を殺しておいて、まだとぼけるか」
「!?なんだと、ミレイユ姫様が」
「!?そんな、ミレイユ姫様が…(まさか、カオリさんも)」
「ふっ、思い出したか?罪人め」
アスタとミユキが、新聖騎士団の言っていた罪の意味を理解し、その意味に驚愕していると、森の奥から新聖騎士団の団長と思われる人物が出てきた。
そしてアスタは、剣を背中の鞘にしまい、距離をとった。
「…俺は、ミレイユ姫様を殺していない!何かの間違いだ」
「そうです。私達はつい先程この世界に来たばかりなんです。ミレイユ姫様は殺していないし、何より、アスタさんはそんな人間じゃありません」
「何をまた意味の分からぬ事を」
「そんなに納得がいかぬなら、証拠を見せてやろう」
団長がそう言うと、キューブを出し、アスタ達にある画像を見せた。
それは、血まみれのミレイユ姫と、血に染った剣を持ったアスタが写っていた。
「!?」
「これで言い逃れはできないぞ」
「ンッ(どうなってるんだ)」
「(あの画像、見た所フェイクではない。でもアスタさんと私達は、一緒にいた。なら一体どういう事。あの画像だけじゃ、ホントにアスタさんが殺したように見える。どうなっているの)」
「…」
「もう認めざるえないぞ。さあ、大人しく我々に裁かれるがいい」
「確かにあの画像だけじゃ、俺が殺したように見えるかもしれない。でも、俺はやっていない。これは何かの間違いだ。俺にそれを証明する時間をくれ」
「何を言うかと思えば、そんな事が認められるはずがないだろう!」
団長はアスタに向け、毒が染み込まれた槍をアスタに向けて投げた。アスタはそれを避けることもできたが、アスタの覚悟を証明する為、あえて避けず攻撃をくらった。
「くっ!」
「!?」
そしてその槍をおさえながら、アスタは言った。
「頼む、時間を、くれ」
「…」
「アスタ!」
アスタの怪我に我慢できず、ヒナはアスタの元へ駆け寄る。それに続きミユキもアスタの元へ駆け寄った。
「アスタさん、今は一旦ひきましょう。このままここにいる方が危険です」
「…でも」
「私に掴まってください、テレポート盤まで何とか逃げましょう」
「…」
アスタは今後の為にも、今は一旦ひくことを優先した。そしてミユキに掴まり、テレポート盤まで移動した。
「逃がすか!」
そう言って団員達がアスタ達を襲おうとした所、団長は先程のアスタを見て、態度が変わり、団員達を止めた。
「待て!」
「!?団長、なんで止めるんですか」
「彼らに時間を与えてやろう」
「何故です!」
「アスタとか言う少年の目、あれは人を殺すような目ではなかった。…時間をやろう、猶予は四十八時間、今から二日後だ!」
そうアスタ達に伝えた団長、そしてそれを聞き、頷くアスタ。ミユキはテレポート盤を起動させ、第二十階層へと移動した。
「…何とか、時間を頂けましたね。どこかの宿へ行きましょう、アスタさん」
「あぁ、そうだな…」
「ん。どうしたアスタ」
「ハァ、ハァ、ハァ」
「アスタさん?」
「ハァ、ウッ!」
「アスタさん!」
「アスタ!」
アスタは先程の毒が付けられていた槍の影響で、気を失ってしまう。
「アスタさん!」




