第三章 Part2
〈その頃、ソウルワールドでは〉
「…」
サキは一人、サオリが遺した神道流の道場で瞑想していた。座って瞑想していたサキ。
そうした理由は、前にソウルワールドで起こったモルド達による戦争。そこでサオリに言われた言葉、ミョルドに洗脳され、サオリと戦い、敗れた時、微かな意識の中で聞こえたサオリの言葉。
サキはその人が誰かは知らないが、同じ神道流の使い手と言う事は、洗脳されながらも、記憶には残っていた。サキはそんな中での、サオリからの言葉を受け止め、強くなる為、前に進む決意を固めていた。
「…さて、特訓しますか」
サキは特訓を始めた。
「ンッ、ンッ、ンッ」
サキは木刀を両手で持ち、強く前に振り、特訓していた。およそ一時間に及ぶ特訓をし、サキは休憩した。
「ハァ、ハァ、私もまだまだですね。…あの人が使った神道流のどの技も、私とは比べものにならない程の威力とスピード、どちらも高かった。あそこまでいくには、どうしたら…ううん、そんなの決まってる、特訓あるのみ、頑張ろう、うん」
サキは洗脳されていた時の記憶を、少し覚えていた。それは、サオリと戦った時の記憶も含まれていた。洗脳されてたとは言え、全力のサキの攻撃をもってしても、サオリには到底敵わなかった事実。
サキは洗脳されてしまった不甲斐なさ、自分を止めてくれた嬉しさ、全力を出しても勝てなかった悔しさ、この三つを受け止めつつ、もっと強くなろうと決意した。
「さて、続きを始めますか」
サキが休憩を終え、特訓を始めようとしたその時、サキは浮遊世界であるソウルワールドの外から、一人の異世界人の反応を、誰よりも早く察知した。
「!?この反応は、人間?」
ソウルワールドに現れたカイン。
「ここか、ゲータの創った世界は」
ゲータが創ったソウルワールドを直に感じるカイン。
「さて、まずどうしますかね」
ソウルワールドへ来たは良いが、まず何をするか迷うカイン。そこで思いついたのは、ソウルワールドで最も強いサキの元へ瞬間移動で向かうことにした。
「!?ッ」
いきなり自分の後ろに現れ、警戒し距離をとるサキ。
「おお、良い反応だな」
「ッ(この反応、この人はさっきの)」
「お前がこの世界のナンバーワンか」
「…あなたは何者です。この世界の者ではないですね」
「いかにも、俺の名前はカインだ」
「一体何をしに、この世界へ来たのですか」
「そうだな、とりあえず、この世界を支配しに来た」
「…その考え、まるでモルドのようですね」
「モルド?誰だソイツは」
「前にこの世界を支配しようとした者の名です」
「そうか、俺以外にもいたのか。まあそれはいい、お前、ゲータという男を知っているか」
「…ゲータ?」
「その様子じゃ、知らないか」
「(ゲータ、その名前、どこかで、!?そうだ、ヒナさんが言っていた)」
サキはあの戦争の後に、カオリはもちろん、ヒナにも会い、ゲータという人物について聞いていた。
「ん?どうした。もしかして、何か思い出したのか」
「…ところで、何故ゲータという男を探しているんですか」
「なあに、この世界を支配する前に、少し会いたいと思っただけさ」
「それなら、残念でしたね。もうゲータという男は、この世界にはいませんよ」
「ん?どういう事だ」
「ゲータは、一人の剣士によって、倒されましたから」
「!?なに、ゲータが、倒されただと」
カインは、ライバル関係だったゲータだからこそ、ゲータが何者かに敗れたなど、到底信じられなかった。
「ゲータは、誰に敗れた」
「知ってどうするんですか」
「なあに、ゲータを倒したヤツと勝負したくてな」
「復讐、ですか」
「いや、興味だ」
「興味ですか。ですが、この世界を支配しようとするアナタを、野放しにはできません。ここで、斬ります」
サキはそう言うと、手に持っていた木刀を地面に捨て、普段戦闘で使っている刀を手まで呼び出し、刀を握り、構えた。
「その構え、隙がないな。俺を、殺る気か?」
「その言い方は物騒ですが、そうですね、アナタを斬ると言いましたし、意味は同じですね」
「フッ」
「!ハァー!」
サキが刀を振った瞬間、カインは瞬間移動で、サキの目の前から消えてしまう。
「!?ッ、逃がしてしまいましたか。…あのカインという男、支配に関しては、モルドほどは感じなかった。とは言え、支配するという言葉には嘘はないでしょう。近い内、何か動きがある、そんな気がしますね。その時は、カイン、アナタを、斬ります」
カインはサキのいた第十八階層から第二十階層へと移動していた。
「フゥ、アイツとは、また別の機会に戦うか。ん、そう言えば、名前聞き忘れたな。まあいいか、さて、とっさに人が多い所に来たが、ここの世界のボスはどいつだ?(力の頂点は、さっきのアイツだと思うが、トップの人間ではないな。ではトップは、あの城か?行ってみるか)」
第二十階層へと移動したカインは、このソウルワールドを収めているミレイユ姫を探す為、動き出した。




