第二章 Part16
アスタとゲータ、お互いが戦闘状態に入り、今ここに、人類の未来をかけた決戦が、始まろうとしていた。
「っ!ハァーァ!」
「フフッ、ハァ!」
「くっ!ハァ!」
「いいぞ、その意気だ!」
アスタは剣で戦っているのに対し、ゲータは何の武器も持たずに、拳に魔力を込め、アスタからの攻撃をガードしつつ、離れた所から拳の魔力攻撃を飛ばしたりと、創意工夫し戦っていた。
「やはりお前は最高だよ、アスタ!だがもっとだ、もっと、もっと、力を振り絞り、限界を超えろ!」
「くっ、っ!」
「ハハッ!」
アスタはゲータと戦っていて、気付いた事があった。それは、ゲータの動きに、ちょくちょく隙があったことだ。
圧倒的な力を持つゲータだが、余裕をもって戦っていているからなのか、アスタと交えた際に、体のどこかに隙が生まれていた。その為アスタは、次にゲータと交えた際に、その隙に攻撃しようと考えた。
「…」
二人は一旦距離をとった。
「フフ」
「…っ!ハァーァ!」
「ハァー!」
アスタとゲータが交えた。そしてアスタは見逃さなかった。ゲータの頸に隙があった事を、そこをアスタはすかさず攻撃した。
「ハァー!」
ゲータの頸にアスタの剣が!とその時。
「フンッ、ハァ!」
ゲータは黒い瞳に黒い髪から、白い髪に赤い瞳と、今のアスタ同様、覚醒状態へと入った。
「!?」
ゲータは頸に迫った剣を右手で止めた。
「惜しかったな」
「…」
「フンッ!」
ゲータはアスタを蹴り飛ばした。
「ウッ!」
アスタはゲータに蹴り飛ばされ、地面に倒れてしまう。
「…そう言えば、この技は試した事は無かったな」
「ウッ…」
アスタはゲータと戦う為、起き上がった。そうすると、ゲータがとても速いスピードでアスタに迫った。
「フンッ、ハァ!」
ゲータはアスタに迫り、アスタの体の中に手を突っ込み、アスタの心臓を握った。
「ぶはっ、んっ!」
アスタは心臓を潰されそうになり、危ない所だったが、何とかゲータを振り払った。
「とっ」
「…ハァ、ハァ」
アスタはすぐに、心臓の所に、回復魔法をかけ、何とかなった。
「くっ(危なかった、もう少し遅かったら)」
「確か、こうだったか」
ゲータは、アスタの心臓を握った右手を出し、それを握った。そうすると、アスタの心臓に魔力の手が現れ、アスタの心臓を握り潰してしまった。
「!ぶはっ!」
アスタは心臓を潰され、地面に倒れてしまう。
「…起きない。死んだか、まあ、俺も覚醒状態になったこの状態なら、なかなかの結果だったな」
アスタが倒された同じ頃、サオリ達は、城に捕らわれていたユキを救い出し、外へ出ていた。
「ハァ、アスタさん!」
「ん?アイツら、来ていたのか、まあ少し考えれば当然か。コイツを取り込む前に、邪魔なアイツらを始末するか」
「!?」
サオリはゲータがこちらに来るのを確認し、構えた。
「アスタさん」
「アスタ」
「アス、タ」
「…」
ミユキにヒナ、それにユキが彼の名前を呼ぶが、彼は起きなかった。そんな時、アスタの元に、声なき声が聞こえた。
「さあ、アスタ」
「……!」
フェイの声に、立ち上がるアスタ。
「!?」
「…」
「おいおい、マジか、アスタ。心臓を握り潰したんだぞ、なのに」
ゲータが後ろを振り返ると、そこには心臓を潰され、死んだと思われていたアスタが、起き上がっていた。
「フッ、やはりお前は最高だよ、アスタ!」
「ハァ」
アスタは白い髪に赤い瞳の覚醒状態から、蒼い光に包まれ、心臓も治り、アスタは蒼い髪に黄色い瞳へと、さらに上の覚醒状態へと進化した。そして起き上がったアスタは、右手の剣を強く握り、構えた。
「っ!」
「フッ、ハハハ、良いぞ、その力、その未知の力こそ、俺が求めていたモノだ!どっちが勝ち残るか、勝負といこうか!」
「くっ、ハァー!」
アスタはゲータの方へ剣を構えた瞬間、目にも止まらぬ速さでゲータに迫った。
「!」
アスタはゲータに迫った時、ゲータの弱点である心臓、モンスターで言う所の核を狙い、貫こうとした。そしてゲータは、自身の心臓を守る為、両手を使い、バリアを作って、アスタの攻撃を止めていた。
「っ!くっ、んー!」
「ハハハ、良いぞいいぞ、その意気だ!」
「んー!」
ゲータはアスタと対峙している最中に、アスタをゲータの中に取り込もうと、ゲータの背中から魔力を出し、だんだんとアスタとゲータを包むように、最終的には球体になり、アスタを取り込もうとしていた。
「んっ、んーん!」
「(もう少し、もう少しでヤツを)」
「んっ」
ゲータの力に負けそうになりそうなアスタだったが、そこでまた、彼の声が聞こえた。
「いけ!アスタ!」
「!?、んっ、んーん、ハァーァ!」
「(ん!?)何だ、この力は」
「これが」
「!?」
「人間の、想いの力だぁー!」
「んっ!」
「ハァーァ!」
「くっ、んっ、んーん。こんな、所で、!?」
アスタに負けられない、そう思っていたゲータだったが、アスタと対峙していた時、ゲータはアスタの内に秘めている、人間の想い力を感じた。
そしてそれと同時に、過去に愛していた仲間と、恋人を思い出した。
「…フン、俺の負けか、死んでも忘れぬぞ、アスタ、いや、蒼き英雄よ」
そう言うと、ゲータのバリアは破られ、アスタの剣が、ゲータの心臓を貫き、ゲータは消滅した。
「ハァ、ハァ、ハァ」
遂に、真のゲータを倒したアスタ。そして疲労のあまり、アスタは仰向けの状態で倒れてしまう。もちろん覚醒状態は解かれていた。
「やっと、終わったよ、フェイ」
空に向かって手を伸ばすアスタ。そしてその手を握ったヒナ。
「アスタ」
「…ヒナ」
「終わったな」
「あぁ、やっと」
アスタはヒナの手を握り、起こしてもらった。
「アスタさん」
「ミユキ、ユキは大丈夫か?」
「はい、お姉ちゃんなら、大丈夫です」
「そっか、なら良かった。ミユキも無事で良かったよ」
「アスタさん、ご心配、ありがとうございます」
「うん」
「アスタさん」
「…サオリ、さん」
「…もう、さんはいらないですよ、アスタさん」
「すまん、なんか、やっぱりまだ会ったばっかだから」
「…そうですか、んー、そうだ、ならここで提案があります」
「ん?」
「今この瞬間、信頼の証として、お互いにさんを付けるのをやめませんか?」
「え、良いのか?」
「はい、信頼の証です」
「…分かった。じゃあ、サオリ」
「はい、アスタ」
「…」
アスタとサオリは、一緒に戦った戦友として、仲間として、信頼の証として、お互いにあった壁をなくし、名前で呼びあった。
「ん、う~ん、アスタ」
「あぁ、おはよう、ユキ」
「うん、おはよう、アスタ」
「…」
「…!そうだ、アスタ」
「ん?」
「こんな時に言うのも、申し訳ないんですが」
「?」
「まだ、終わっていないんです」
「!?そうだ、まだアイツが」
「あぁ、アイツか」
「!?アスタ、知ってるの?」
「あぁ、菊池の事だろ?」
「どうして、アスタがその名前を?」
「実は…」
アスタは、第二十一階層で皆を逃がした後、差出人不明のメッセージが、コンソールの元に届いていた。
「ん?何だ」
メッセージを押すアスタ。そこにはこう書かれていた。「菊池という男がこの世界を狙っている」というものだった。
それは、ゲータ自身が、アスタに向けて送った内容だった。ゲータは予言の力で、菊池がこの世界を狙うことを知り、それをアスタにメッセージとしてとばしていた。
「菊池…」
「そんな事が」
「あぁ、誰からかは分からなかったけど、そのメッセージが届いたんだ。でも理由までは分からなかった」
「それは、この世界の支配権なんだよ」
「この世界の、支配権?」
「うん」
アスタはユキ達から、菊池に会って起こった事を、全て教えてもらった。
「そんな事が」
「うん」
「…なら、話してみるか」
「どうするつもりなの?アスタ」
「まあ、任せてくれ」
アスタがそう言うと、アスタを含め、皆でコンソールがある所まで向かった。そして、コンソールの場所へ着いたアスタ達。ユキ達が心配し見守る中、アスタは菊池と話す事にした。




