第二章 Part15
「何だ」
地面に強く降り立ったソレは、土煙をおこし、ソレはまだ見えなかった。しかし、だんだんとなくなり、ソレがついに見えたきたアスタ達。その姿は、男の異世界人のようだった。
「…誰だ」
「やっと会えたな、アスタ」
「?誰だ」
「俺の名前はゲータだ」
「!?」
「驚くのも無理はない、もう一人は君が倒したんだからな」
「もう一人、どういう事だ」
「まあここでの長話もなんだ、もう少し、二人きりになれる場所に行こう。フッ!」
ゲータはそう言うと、目に見えない速さで動き、アスタ達の前に、ゲータの拳の力で、地面に攻撃し、土煙を発生させた。
「くっ、見えない。皆いるか?」
「はい、ですが、何も見えません」
「私も、あ、お姉ちゃん!」
土煙がなくなり、ゲータの方を見ると、ゲータと、ゲータの肩に担がれているユキの姿があった。
「っ!ユキ!」
「ユキちゃん!」
「ふっ、コイツを返してほしければ、一人で俺の所まで来い。第二十一階層で待っているぞ、アスタ」
そう言うと、ゲータは瞬間移動の能力で消えた。
「ユキ、くっ!」
今すぐユキを救う為に、ゲータの元へ、その思いが働き、急いで向かおうとするアスタだったが、サオリはそんなアスタを止めた。
「待ってください、アスタさん!」
「!?」
「ホントに、一人で行くんですか」
「あぁ、アイツはそれを指定してきた。だから俺一人で」
「それはそうですが、一人で抱え込まないでください」
「でも、こうするしか」
「私に考えがあります。ゲータは恐らく、アスタさんと話をするだけが目的じゃないと思うんです。話だけなら、別にここでもできます。それに、ゲータのあの目、あの目は戦いを求めている目でした。恐らくゲータは、アスタさんと戦うつもりです。でも、戦っている間は、ユキちゃんを助けられません。ゲータはユキちゃんを連れ去りましたが、ゲータの近くには、多分いないと思います。ですから、ユキちゃんの方は、私に任せてください。ゲータの相手は」
「あぁ、分かった。ゲータの相手は俺がする」
「お願いします。助けに行きましょう、ユキちゃんを」
「あぁ」
「私も行きます!」
「!?ミユキ」
「私も、行かせてください、お姉ちゃんが心配なのは、私も同じです!」
「…あぁ、分かった。俺達三人で、ユキを助けに行こう」
「はい!」
「私達は、一旦ヒナちゃん達と合流してから行きます。アスタさんは先に向かっていてください」
「分かった。ゲータにバレないよう注意してくれ」
「はい」
アスタはそう言うと、瞬間移動の能力で、第二十一階層へと向かった。
「…」
「やっときたか」
「…」
「まあ、やっと二人だけになれたんだ。まずは話をしよう」
「お前の狙いは何だ、何でユキを拐った、お前がゲータなのはどういう事だ」
「質問が多いな、だが、話をしようと言ったのは俺だからな、良いだろう。話そうじゃないか、全てを」
「…」
「まず俺の狙いだが、それは君と戦うことだ。俺は戦いが好きでね、極限まで高めあった者同士が戦うのは実に面白い。だから君を生かし続けてきた。殺すチャンスはいくらでもあった。だが俺は、君の成長を期待し、殺すのを止めた。君に強い刺激を与え続け、君が持っている覚醒の力をモノにするのを待っていたんだ。君が俺のトラップにかかり、眠りについたのは予定外だったがね。そして、何故ユキという少女を拐ったのかだが、特に理由はない。ただこうすれば、君が来るかと思ってね。次に、何故俺がゲータと言う名前なのか、それはそのままの意味さ、何せ俺の元々の名前はゲータだった、そして、どういう偶然か、このゲームのラスボスの名前もゲータだった。これは利用する他ないだろ?もう一人のゲータには、魔力を分け与えたり、アスタについての知識を教えたりした。本来の予定なら、もう一人のゲータを倒した後、俺と君は戦う予定だった。だが、あいにく間に合わなかった。そして君は、見事にもゲータを倒し、この世界に閉じ込めていたプレイヤーのほとんどを、逃がす事に成功した。だから、少し作戦を変えた。君が逃がしたプレイヤー全員を殺そうと思った。まさか生き残りがいたとは、俺も驚いたがね。でも、君に与える刺激にはちょうどいい数だった。他には何が知りたい。全て答えてやる。あるなら言ってみろ」
「もういい、もう喋るな。黙って聞いていればペラペラと、人の命を、お前の勝手な都合で奪うな!」
「おぉ、いい表情だな。そしてその魔力、この時を待ってたよ」
「…」
「後、君は俺が人の負の感情を見て、この計画を進めたと聞いているだろうが、あれは嘘だ。俺がこの計画を真に進めようと考えたきっかけは、君だよアスタ。君がいたから、俺はこの計画を進めるに至った。そしてそんな君と、俺は戦いたかった。お前のような強者を作り、戦い、そして戦いぬいた先に、俺は限界を超え、更なる高みへ行く。そしてお前も、更なる高みへ行く為の力を持っている。そんな人間を取り込めば、俺は最強の存在になれる。そして俺は、目的を達する事ができる。だから君も、最初から全力を出せ、俺を失望させるなよ」
「…あぁ、やってやるよ、俺はお前を、殺す!」
アスタは覚醒状態へと入った。
「良いぞ、その意気だ、最初から全力で来い!」
アスタとゲータ、お互いが戦闘状態に入り、今ここに、人類の未来をかけた決戦が、始まろうとしていた。




