第二章 Part10
「モルドは、アスタを知っている?」
「どういう事だ、何故モルドが、アスタの事を」
「それは私にも分かりません。ですが、そう言ってたのは確かです」
「そっか(アスタが、一体どうして)」
「アスタが何故っていう疑問はあるが、ひとまず状況を整理しよう。モルドという新たな支配者が、姫様の城を占拠している。そしてそこには、ミョルドなる者が率いる軍勢がいる。そして姫様達は、殺されていないなら、恐らく地下牢かどこかに閉じ込められている。そして騎士長達は、殺されたか、姫様達同様、閉じ込められている。そしてどういう訳か、アスタがモルドに狙われている。こんな所か」
「はい、こうなると、私達だけとなると、少し不安ですね。ギルドにクエストとして申請するのはどうかな、お姉ちゃん」
「うん、それは良い考えだと思う。少しでも協力者はほしいし、それとミレイユ姫様の護衛をしていた、神道流の人も手伝ってくれるなら心強いし」
「っ!」
「ん、どうしたの?サオリちゃん」
「神道流、それ、私がこの世界で培った流派なの。まさか後継者がいたなんて」
「!?そうだったの?サオリちゃん」
「ええ、私も驚いてる」
「なら、尚更その人の力は借りたいね」
「そうだね、サオリさんの培った流派の方なら、とても安心です」
「ならあとは、他の剣士達か」
「そうですね、レベル条件を設ける?」
「そうだね、あまり犠牲者は出したくない。レベル五十以上の人を集めよう」
「そうね、それでいきましょう」
「一ついいか?」
「どうしたの?ヒナちゃん」
「人が集まるのは良いんだが、アスタはどうする」
「アスタは……カオリちゃん」
「あ、はい」
「二十階層にいる人達は、多分安全な状況ではないよね」
「そうですね、姫様のお城を占拠したヤツらが、そのまま何もしないとは考えにくいです」
「そうだよね、なら、まずその人達を救おう。そしてヒナちゃんには、戦いが終わるまで、皆を守ってあげてくれない?」
「分かった」
「ありがとう。今のアスタは、ヒナちゃんと一緒でお願い。今のアスタを戦いの場には連れて行きたくない。ヒナちゃんと一緒にいる方が、アスタは安全だと思う」
「あぁ、アスタは任せてくれ」
「うん。じゃあ作戦を決めよう。ボクの考えだけど、まずボク達で第二十階層にいる人達を救おう。そしてそれが終わったら、クエストに協力してくれた人達と合流して、ヒナちゃんはそこでそこにいる人達を、アスタも含めて守ってほしい。そしてミユキには、地下牢にいると思われるミレイユ姫様達を助けて。そして最後に、ボクとサオリちゃんと剣士達で、モルド達の相手をする。もし何か変更があれば、また考える。どうかな?」
「私は良いと思うよ」
「私もお姉ちゃんの考えに賛成です」
「私も賛成だ。だが、カオリはどうするんだ?」
「カオリちゃんには、選んでほしい」
「選ぶ、ですか?」
「うん、ボク達と一緒に、危険な方に行くか。安全なここに留まるか」
「私は…」
「…」
「私も、何か役に立ちたいです、回復魔法くらいしか使えませんが、私も行きます!」
「分かった。じゃあカオリちゃんは、ヒナちゃんと一緒に、第二十階層にいる人達に怪我をしている人がいたら、回復魔法をかけてあげて」
「はい!」
「よし、じゃあ行こうか」
ユキ達は、モルド達を倒しに行く為、まずはクエスト発注など、準備を始めた。その頃、ミレイユ姫の城を占拠したモルド達は。
「モルド様、姫やメイド達の地下牢への禁錮、完了しました。それと、新たに使えそうな駒の方も、完了です」
「そうか」
ミレイユ姫達を逃がした際、神道流の使い手であるサキは、モンスター達だけじゃなく、モルドとも戦っていた。
「ふぅ、これで、あとはアナタだけですね」
暗闇の中から、モルドは姿を現した。
「…」
「時間がないので、すぐに終わらせます」
サキは、モルドがとんでもない力を秘めていると分かったからこそ、時間をかけず一撃で仕留めようと考えた。
「神道流奥義、神道!」
その技は、自身に秘めている全ての魔力を、剣九割、足一割に注ぎ込み、最速かつ最強の威力を誇る技である。自身が持っている魔力が多ければ多いほど、さらに威力があがる技だ。
「…」
サキは構えから剣を抜き、神道流の奥義をモルドにぶつけた。
「…ハァー!」
サキは神道流奥義神道を、モルドの核から首めがけて斬ろうとした。だがモルドは、その技を片手一つで止めた。
「!」
「…これじゃ足りないな。俺を、いやゲータを倒したヤツの剣は、こんなものではなかった。ヤツの、アスタの剣は!」
そう言うとモルドは、サキの刀を片手で破壊し、サキの首を締め、持ち上げた。
「なっ!うっ!」
「お前、アスタという男を知っているか」
「うっ、そんな、人は、知らない」
「そうか、ならこのまま」
「うっ、くっ」
「…」
モルドはサキの首を締め続け、それに耐えられなかったサキは、気絶してしまう。
「うっ…」
「…気絶したか」
「モルド様、この者の事は、私にお任せいただけないでしょうか」
「別に構わん、好きにしろ」
「は!」
その後ミョルドは、サキを地下牢に連れ去り、サキを新たな駒とする為、サキを洗脳し、ミョルドの意のままに動く操り人形とされてしまった。
「にしても見つからないものだな、アスタと言う男は」
「そうでございますね」
「お前も見たのだろう?アスタを」
「はい、あなた様を見つけた際に、確かに確認しました」
モルドの正体は、アスタがゲータと戦っていた際に、ゲータが召喚したモンスターの内の一人だった。そしてミョルドは、ゲータがプログラムとして創った魔術師だった。モルド達のキューブを回収していたミョルドは、当然アスタの事を確認していた。だがそこで殺すことはせず、その時は、モルド達のキューブの回収だけを行なっていた。
「俺を見つけ、蘇らせた後、お前はまた確認しに行ったのだろう?その時はいなかったのか?」
「はい、その時は既にアスタと言う男はいませんでした。これは私の推測ですが、何者かに見つかり、そのままアスタという男は、連れていかれたと思われます。あの状態で一人で動くとは考えにくいです」
「そうか、早くアイツに会って、この力を試したかったのだがな」
そう、モルドは、以前アスタと対決した時よりも、遥かにパワーアップしていた。というのも、モルドが蘇った際、ミョルドが、一番吸収の適正があるモルドをみて、他のモンスターのキューブをモルドの体に取り込ませていた。そうした事により、モルドは急激な進化を遂げていた。
「早く会って、この力を試したいものだな」
「ほっほっ、それも、戦を始めれば、きっと会えます」
「ふっ、そうだな」
「…同士達よ!ついにきた戦の時、我々の力を、愚かな人間共に見せつけるのだ!」
「おおー!」
モルド達が戦という戦争の準備を終え、それを実行しようとしていた。そして少し時が戻り、ユキ達は、第二十階層で働かされている人達を助ける為、動いていた。




