第二章 Part9
「モルドってヤツについて、教えてくれないかな」
「あ、はい」
カオリは、ゲータの次に、ソウルワールドの支配者へと上り詰めた、モルドについて、ユキとミユキに話し始めた。
「昨日の事でした。普段通り、私や他の皆様、そして姫様が過ごしていた時、突如モンスター達とそれに与する人達が、姫様のお城へと攻めてきたのです。幸いにもその時、姫様の護衛である、神道流の方がいてくださったのですが…」
〈昨日、姫のお城にて〉
何も変わらない姫の城、だがそんな中、怪しげな馬車が一つ、二つ、三つ、四つ。姫の城へと向かってきていた。
「ん?何だあの馬車」
「おい、止まれ」
門番に止められ、入口に止まる馬車。
「おい、そこのお前」
御者に近づく門番。
「…」
「何なんだ?この馬車の数。何の届け物だ?」
「…」
「おい、聞いてるのか」
「届け物は」
「何だ」
「死だ!」
その言葉と同時に、入口に止まっていた、先頭の馬車が爆発した。
「っ!」
一人の門番が、その爆発に巻き込まれてしまう。
「お、おい、何なんだよこれ」
突然の爆発に、門番は困惑してしまう。そうしていると、後ろに距離を置いて控えていた三つの馬車が、爆発で吹き飛んだ入口を突破し、城へと走った。
「っ!おい、止まれ!」
門番は止まるよう言ったが、馬車は止まることなく、門番を轢いていった。
「っ!うわ!」
門番を轢き、城の門へと突っ込む馬車。城の門を突き破り、城の中へと入ってきた三つの馬車。
「キャ!」
「なんだ」
「皆を守れ!」
騎士長が、姫様やメイド達を守るよう騎士達に指示を出す。そしてその騎士長の言葉に、騎士達が集まり、警戒態勢をとる。
そして姫である、ミレイユ姫の護衛をしていた、神道流の使い手の少女、サキ。サキは危険を察知し、ミレイユ姫やメイド達を危険から遠ざける為、城の裏口へとミレイユ姫達を誘導した。
そしてそのサキの勘が当たり、馬車から出てくるモンスター達や、それに与した人間達。
「へっ、ここが新しい拠点か」
「なかなか良いな」
「だが、邪魔なヤツらがいるな」
「あぁ、モルド様の城に、騎士なんぞいらねー!」
馬車から続々と出てくるモンスターや人間達。その者達は、騎士長率いる騎士達へと向かっていった。その頃、裏口から逃げていたサキ達は、順調に逃げられていたが、道が二つに分かれた所に着くと、片方の道から、敵の気配を感じ取ったサキは、気配がないもう一つの道から逃げてほしいと、ミレイユ姫にお願いする。
と言うのも、片方の道だけでなく、後ろからも敵が迫ってきているので、ここでサキがまとめて倒す為に、ミレイユ姫達に、先に片方の道へと逃げてほしいとお願いしたのだ。
「姫様、片方からだけでなく、後ろからも気配を感じます。ですので姫様達は、先に左の道へお逃げ下さい」
「でもサキ、あなた一人では」
「ご心配なく、私なら大丈夫です」
「サキ…」
「時間がありません、早く」
「…分かりました。サキも、どうか無事で。皆さん、行きましょう」
「はい!」
ミレイユ姫達は、メイド達と共に左の敵の気配が感じない道へと逃げていった。
「姫様も、どうか無事で」
ミレイユ姫達は、とくに敵に出会うことなく、無事外へと逃げられた。だがそこには、ミョルドと言う魔術師が待ち構えていた。
「っ!」
「ほっほっほ、まさかこんな裏口があったとは、驚きましたね」
「あなたは、何者です!」
「私の名はミョルド。モルド様の側近でございます」
「あなた達の目的はなんですか!」
「そうですね、一言で言うならば、この世界の支配、でしょうか。モルド様の創る理想郷の為に、あなた方には奴隷となっていただきます」
「なっ!奴隷ですって」
「はい、それがあなた方に定められた運命なのです」
「くっ」
「でもまずは、あなた方を拘束させていただきます」
「!」
「動かないでくださいね」
「(カオリ)」
「!」
「(今から私が、能力であなたを逃がします。そしたらあなたは、剣士様達に助けを求めてきてください)」
「(でも姫様、私一人じゃ)」
「(あなたなら大丈夫です。さあ、時間がありません。いきます!)」
「(姫様!)」
カオリは、ミレイユ姫の能力によって、同じ第二十階層の、テレポート盤が近くにある森の中へワープした。
「ん?一人逃がしましたか。(聞こえますか?待機班)」
「(はい、なんでしょう)」
「(メイド見習いの一人の少女が逃げました。恐らく二十階層の森などでしょう。探し見つけ次第、捕まえて城まで連れてきなさい)」
「(は!)」
「さて、あなた方は逃がしませんよ」
「…(カオリ。どうか、剣士様を)」
〈そして現在〉
「サキ様とは途中で離れてしまい、私を逃がす為に、姫様は能力で私を逃がしてくれました。剣士様を探す為に。そんな中です、ユキさんとミユキさんに出会えたのは。そしてモルドの事ですが、正直私もよく知らないのが事実です。お役に立てずすいません」
「ううん、大丈夫。よく頑張ったんだね。カオリちゃん」
「いえ、私はそんな」
「でもこうしてボク達に会えた。君はしっかりやるべき事ができているよ」
「…ありがとうございます。ユキさん」
「それにしても、姫様のお城でそんな事が、モルド、何者なんでしょう」
「今は考えてもしょうがない、とりあえず、宿へ戻ろう」
「そうだね、お姉ちゃん」
「カオリちゃんもおいでよ」
「え、私も良いんですか?」
「もちろんですよ」
「は、はい!」
ユキ達はひとまずカオリを連れて、宿へと戻り、宿に残っていたサオリとヒナにも、お城で何があったのか、ユキとミユキが説明した。
「…そんな事が」
「アスタがこんな時に、そんな事が起こるとは」
「アスタ…その人、アスタさんって言うんですか?」
「そうだけど、どうして?」
「…!思い出しました。姫様と心で話していた時、あまりよく聞こえませんでしたが、ミョルドが、恐らくモルドと話していた時、ミョルドが言っていたんです。「アスタと言う少年はいませんでした」って」
「!」
「モルドは、アスタを知っている?」




