表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/78

第二章 Part7

辺りを見ても何もないし、誰もいない、ここにはアスタはいないのかと思っていたその時。ユキの視線の先に、剣を握り、仰向けで倒れているアスタの姿があった。


「!アスタ!」


ユキはアスタを見つけることができ、とても嬉しい気持ちになりアスタの元へと駆け寄った。


「アスタ!アスタ!」


「…」


ユキが必死に呼びかけるも、アスタは意識を失ってるせいなのか、ずっと黙ったままだった。


「アスタ…」


そんなアスタは見て、ユキは一人悲しくなる。


「お姉ちゃん!」


「ユキちゃん!」


「…ミユキ、サオリちゃん」


「お姉ちゃん、大丈っ!アスタさん!」


「…この人が、アスタさん」


「アスタさん!」


「…」


「アスタさん……」


ミユキはアスタに何も反応が無い事にも驚いたが、それより、アスタを見た後のユキの様子が明らかに違うことに、ミユキは気づいた。


「お姉ちゃん、大丈夫?」


「うん……いや、ごめん、ちょっと、辛いな」


「お姉ちゃん…」


「…ユキちゃん」


「アスタ…」


「…ユキちゃん、辛いけど、ひとまず今は、アスタさんをここより安全な所まで運ぼう。こんな状態だけど、アスタさんには会えた。ひとまずそれを喜びましょう」


「サオリちゃん…うん、そうだね」


サオリに励まされ、ユキはアスタを背負い、三人はアスタが住んでいた第一階層の宿に、ひとまず向かうことにした。


「懐かしいな、この場所」


「そうだね、アスタさんの部屋、空いてるかな?」


「とりあえず入ってみましょ」


三人は宿の中へと入り、アスタが住んでいた二〇二号室が空いているか、宿の店員に聞いた。


「いらっしゃいませー」


元気いっぱいの女性店員さんが、対応してくれた。


「あの、二〇二号室は空いていますか?」


「あー、すいません、その部屋は現在貸し出し中なんですよー」


「…そうですか」


「どうする?お姉ちゃん」


「う~ん、そうだね、しょうがないから、ボクらの誰かの家に…」


そう話していると、後ろから袋を落とした音が聞こえた。


「ユ、ユキ」


「ん?」


ユキは名前を呼ばれ、後ろを振り返る。振り返るとそこには、ユキ達が会ったことのある少女がいた。


「!ヒナちゃん!」


そう、ユキの名前を呼んだのはヒナだった。


「どうしてここに、 それにミユキも、一体何で」


「それは…ちょっと色々あって」


「…そうなのか」


「あの~お知り合いですか?」


「あぁ、知り合いというか、友達だ」


「!そうでしたか!」


「あぁそうだ、こんな所で話すのもなんだし、私の部屋に来てくれ」


「え!良いの?」


「あぁ、別に構わない」


「じゃあ、お邪魔するね!」


「あぁ」


「私もお邪魔しますね、ヒナちゃん」


「あぁ、?、!アナタは!」


「お久しぶりですね、ヒナちゃん」


「あぁアナタもいたとは」


「私もユキちゃん達と同じで、色々事情がありまして」


「そうだったのか」


「はい」


「…ひとまず、私の部屋に来てくれ」


ヒナはユキ達が来たことに、驚きを隠せなかったが、それと同じく、先程からアスタが何も話さないことにも驚いていた。ちょくちょくアスタを見ていたが、アスタはずっと気を失っていた。そんなアスタが気にはなったが、ひとまずヒナは、自分の部屋まで、ユキ達を案内した。


「二〇二号室、 ひょっとして、ヒナちゃんがここの部屋を?」


「あぁ、この部屋は、私の、思い出の部屋だからな」


そう言ってヒナはドアを開け、部屋に入り、ベットが二つあったので、アスタは椅子に座らせ、四人はベットに座り、寛いだ。


「それで、ちょっといいか?」


「うん、どうしたの?」


「さっきから気になっていたんだが、アスタはどうしたんだ?先程からずっと喋らないし、それに、ユキ達は、何故またこの世界に?」


「アスタの事は、ボク達もよく分からないんだ。アスタを見つけた時も、ずっとこんな感じだった」


「…そうか」


「うん、それでねヒナちゃん、ボク達がここに来た理由だけど」


「あぁ」


ユキは、菊池の存在や、この世界の支配権、この世界に来るに至るまでの出来事を話した。


「…なるほど、そんな事が」


「はい、菊池という男が、ユキちゃんに、それにアスタさんも」


「菊池、この世界の支配権か、しかも、それをアスタに」


「アスタさんは、何かを知っている。菊池はそう言っていました」


「…」


「ん?どうしたの?ヒナちゃん」


「アスタが何故こうなったのか、分かると思ってな」


「?」


ヒナは、ユキ達が知らない、他人の記憶や存在を読み取る方法、自分と相手のひたいを合わせる方法を、アスタにやった。そして、そうした事で、アスタの記憶を一部分だけ読み取ることに成功した。


ゲータを倒し、皆を逃がすことに成功したアスタは、次に自分がこの世界から出ようとしていた。


だがその時、アスタが触っていたコンソールから超強力な電撃をくらってしまう。普段のアスタなら、危険を察知し、くらわないことができたが、その時のアスタの精神状態は、ゲータを倒したのは良いものの、フェイやイナイに続き、ユウマも失い、体も精神も限界に達していた為に、ゲータの罠であろう電撃をくらってしまい、今のアスタは、意識不明の状態となっていた。


「ヒナちゃん、何か、分かったの?」


「簡潔に言えば、今のアスタは、意識不明の状態だ」


「…そっか」


「あぁ、ゲータと戦い、かなりアスタは消耗していたし、記憶を見て分かったが、アスタは、どうやら仲間を失ったみたいなんだ。それで精神共に限界が近かった」


「仲間?誰かいたの?」


「あぁ、ユウマと言う男だ」


「!?」


「ユウマが!?」


「あぁ」


「…」


三人はユウマの名前を聞いて、驚いた。なぜそこに居たと言う疑問はあるが、最強であるユウマでさえ、死んでしまったことに、ヒナも含め、驚いていた。


「ユウマ」


「ユウマさん」


ユキもサオリも、元はランキングにいた者、ランキング第一位のユウマが亡くなったことに、ショックを受けていた。


「でも、きっとユウマはアスタを助けてくれたんだよね」


「…ユキちゃん」


「悲しいけど、きっとユウマは、最強の剣士として、立派な最期だったと思う」


「…そうね、私も悲しいけど、ユウマさんは、きっと立派に戦っていたと思う」


「うん、アスタとユウマ、二人のおかげで今のボク達がいるんだね」


「そうね、託されたこの命、大事にしなきゃ」


「うん」


「アスタもユウマと言う男も、二人には感謝しかないな。二人は英雄だ。…それで、アスタの事なんだが」


「うん」


「アスタを治す方法は、残念ながら私には分からない。でも、きっとアスタは、帰ってくる。私はそう思っている」


「そうですね、アスタさんなら、きっと帰ってきます。だよね、お姉ちゃん」


「うん、そうだね」


「…」


「ボクちょっと散歩してくるね。ちょっと気分転換に」


「あ、私も行く」


「分かった、行こうミユキ」


「うん!」


「二人共、気をつけてね」


「うん!」


「行ってきまーす」


「…」


「行かなくて良かったのか?」


「ええ、私は、ヒナちゃんとお話がしたかったから」


「そうか」


散歩に行った、ユキとミユキ。そして部屋に残ったサオリとヒナ。最初は暗い雰囲気ではあったが、アスタが帰ってくると信じた四人には、穏やかな空気があった。


だが、第二十階層のある森の中では、そんな空気とは真逆の少女がいた。


「ハァ、ハァ」


「おい、見つけたか」


「いや、見失った」


「急いで見つけるぞ、あの女は貴重な奴隷なんだからな」


「あぁ、分かってるさ」


「ハァ、ハァ、誰か、剣士様、助けて」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ