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第二章 Part6

菊池がパスワードを打ち、扉が開くと、中には衝撃的な光景が広がっていた。


「!?」


「これは、一体」


「どういう事ですか」


何とそこには、外で警備していたであろう、警備員の死体がそこにあった。


「菊池さん!これは一体、んっ」


菊池にユキが質問を問いかけようとした途端、ユキ、ミユキ、サオリの後ろには、特殊部隊の格好をした者が、ユキ達に銃口を向けていた。


「たく、ちゃんと片付けとけって言っておいたのにな」


「どういう事ですか、菊池さん」


「なぁに、ただの死体だよ。外を警備していたね。それと後ろにいるのは、私の友人達さ、彼らは全員特殊部隊あがりなんだ。だから、仮に君があの力を使ったとしても、一人は確実に死ぬよ」


「っ!…」


「さあ、そんな事より司令室に行こう。僕の目的を話すよ」


ユキは、「人を殺しておいてそんな事」という言葉を、菊池に言いたくて堪らなかったが、後ろにいる者達が、何をするか分からなかった為、言うのを止め、司令室に向かう菊池について行った。


「着いたね」


ドアが開き、中に入る菊池に続き、ユキ達も司令室へと入っていった。


「さて、司令室に着いたことだし、僕の目的を話そう。僕の目的はズバリ、あの世界、新たな魂達、人類が暮らすソウルワールドの支配権さ」


「ソウルワールドの、支配権」


「あぁ、ソウルワールドはこちらの世界に比べて、とても素晴らしい力関係で成り立っている。それは、力こそ正義、力で全てを支配できる、力ある者は勝者、力無き者は弱者。これ程までに理想的な世界はない。それに比べて、こちらの世界は、金を持つ者や政府の人間達が上にたっている。僕はそんな世界にウンザリしていてね。僕の友人達も同じ気持ちだよ。そんな中、ゲータという異世界人が創りあげてくれたこのソウルワールド。僕はソウルワールドの世界に憧れを抱いたよ。金や権力じゃない。本物の力が上に立つことができる。だから我々はあの世界へと行こうとした。だが、生憎我々ではあちらの世界に行くことは叶わなかった。そこで君達と言う訳さ。それとアスタと言う少年、彼はとても貴重な存在だ。何せゲータという異世界人が創りあげたあの世界で、一番の実力を持っているからね。彼なら我々の知らない何かを知っている。僕はそう確信している。君達にやってもらう事は、ソウルワールドへ行き、アスタ君にソウルワールドの支配権の協力を仰いでもらう」


「アスタが、そんな事に協力すると思ってるの」


「あぁ、彼なら協力してくれるさ。何せこのままだと、ユキ君、君は殺人の罪によって捕まってしまうからね」


「?どういう事」


「君と握手した時、僕の手に付けていたこの薄い手袋に、君の指紋がしっかりとついていてね。これを僕の持っている拳銃につけて僕が死ねば、君が殺した事になるわけさ」


ユキが菊池と握手した際、ユキが感じた違和感の正体は、菊池が付けていた薄い手袋だった。


「…卑劣な手を」


「目的の為なら手段を選ばない。それが僕のやり方でね。それにあの死体を見てしまった以上、君達を逃がす訳にはいかなくなってしまった」


「くっ」


菊池がユキにとった行動によって、ユキ達は協力せざるをおえなくなってしまった。


「さあ、君達は向こうの世界に行って、アスタ君に協力を仰ぐんだ」


「…」


ユキ達は、菊池の指示に従い、カプセルの中へと入り、向こうの世界へとまた行くことになった。


「…」


カプセルが起動し、ユキ達の意識は、ソウルワールドへとリンクした。


「…ん?前のデータの引き継ぎ?」


ユキはもしもの事を考え、新しいアバターではなく、前に使っていたアバターを選び、使うことにした。そして引き継ぎボタンを押し、転送されるユキの意識。そして目を開けると、そこは、前に十八年もの間、閉じ込められていた、ソウルワールドの世界が、そこにあった。


「…また、この世界に戻ってくるなんて」


「あ、お姉ちゃん」


「ユキちゃん、ミユキちゃんも」


「ミユキ、それにサオリちゃん」


「良かった。全員会えましたね」


「うん、あ、二人共大丈夫?変なバグとかない?」


「ええ、私は大丈夫よ」


「私も平気だよ」


「そっか、良かった。二人も前のアバターを使ったんだね」


「ええ、何か名残惜しくて」


「私も、何かあったらと思って」


ユキだけじゃなく、ミユキもサオリも前のアバター、データの引き継ぎを行ない。ソウルワールドへと来ていた。そして三人が集まり、まず行なうことは、アスタの捜索だった。


「アスタさん、どこにいるんでしょう」


「ユキちゃん、何か心当たりはない?」


「うーん、確か、最後にアスタと一緒にいた時、アスタは二十一層に行くって言ってた気がする」


「え、二十一層!?二十層が一番上じゃないの?」


「それは、元々のこのゲームの設定上での上限、この世界では、二十一層が一番上みたい」


「そうなのね、でも、その二十一層に行くにはどうしたらいいの?」


「アスタは向かう時、テレポート盤の方に行ってた。あっちにあるし、行ってみよう」


「そうね」


「うん」


アスタがテレポート盤の方へと行っていた事を思い出したユキは、ミユキとサオリと共に、第一階層のテレポート盤へと向かった。


「ここか」


テレポート盤に着いたユキ達。ユキは階層ボタンをチェックしていた。


「二十一層、二十一層、うーん、ないのかな。…あ、あった!凄く見えずらいけど、二十一って書いてある」


「押してみよう、お姉ちゃん」


「そうね、ホントに行けるかもしれないし」


「うん」


二十一のボタンを押すユキ、そうすると、テレポート盤が起動し、第二十一階層へと向かった。


「…ここが、二十一層」


「あそこのダンジョンの入口とあのお城以外、何もないね」


「二人共、ダンジョンに入ってみよう。アスタさんがいるかもしれないし」


「うん、そうだね」


三人は、アスタがいる事を願いつつ、第二十一階層のダンジョンの中へと入っていった。ダンジョンの中は岩などが多く、まるで洞窟のようだった。


「真っ暗」


「そうね、二人共、アスタさんいた?」


「こっちにはいないです」


「ユキちゃん、そっちは?」


「こっちもいない」


アスタを捜す三人だが、中々アスタは見つからずにいた。


「(アスタ、君は、今どこに)……!?」


辺りを見ても何もないし、誰もいない、ここにはアスタはいないのかと思っていたその時。ユキの視線の先に、剣を握り、仰向けで倒れているアスタの姿があった。

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