第4話
「え...」
ルイの顔がすぐ近くにある。
一瞬のことで何が起きてるのか理解ができなかった。
「ユキ...顔が真っ赤だ」
ルイは少しからかうように微笑んでいる。
そういうルイも顔がほんのり赤い。
「だって...こんなの初めてだもの...」
心臓がどきどきと鳴り止まない。
初めての経験に戸惑う。
「ごめん、ユキのことが愛おしくてつい...ねぇ、ユキ」
ルイは私の頭にそっと手をおいた。
私は彼のこの大きな手が好きだ。
なぜだか分からないけどほっとする。
「ユキは僕のこと好きじゃない?」
「そういうの...よくわからない...」
「そっか...」
好きとか分からない。
だって今まで人との関わりがほとんど無いもの。
でもさっきのルイからの口付けは嫌じゃなかった。
不思議と救われた気がした。
「ルイ...私わからないの。でもあなたに触れられるのは嫌じゃない」
そう言うとルイはパッと明るい笑顔を見せた。
それにつられて私も顔がほころんでしまう。
「ユキありがとう。僕は急ぎすぎてしまったね。これからゆっくり僕のことをもっと知ってほしい。長い旅の中で」
これからルイと旅に出る。
そのなかで私は変われるだろうか。
いやもう変わってきているのかもしれない。
ルイといると笑顔になれる。
はじめてのことばかりだもの。
「ルイ...これからも私にたくさんのはじめてをおしえて」
私はこれから訪れる未来に希望を抱く。