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漆黒に潜む魔女  作者: 咲摛
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第3話


私がルイと一緒にいることで彼を傷つけてしまった。


ルイは私の言葉を聞いて俯いて外に出て行った。

あれからまだ1日しか経っていない。

でもそれが何年にも長く感じる。


彼と一緒に過ごした1週間はすごく楽しかった。

今まで何十年と生きてきた中で初めての気持ちをたくさんくれた。

あの瞬間私はひとりぼっちじゃなかった。


だから今一人でいるこの瞬間がすごく辛い。

今日こそ死のう。

私に優しくしてくれた人を傷つけてしまった。

わたしがこの世にいるせいで彼の体は傷だらけになった。


私は今日も首吊りをする。

今日の私はいつもの私とは違う。

魔力を全部使い切ったの。いつも止めるのは私の魔法だから。

たくさん魔法を使うと体力も削られていく。

休めば魔力は戻るけれど今日は限界まで使った。

1日ぐらい休まなければ魔力は戻らない。

だから私を止めるものは何も無いの。


今までたくさん試してきたのになんでこんな単純なことを思いつけなかったんだろう。

本当は心のどこかで死にたくなかったのかも。この世にまだ希望を抱いていたのかもしれない。


でも私は自分の存在でその希望を砕いてしまった。


私はロープにそっと手をかけ、首に通す。


うっ苦しい。

本当はずっとルイといたかった。

私も普通に幸せになりたかった。

ああ、なんで魔女として生まれてしまったのかしら。


ルイ、あなたは私の...


「ユキ...!!!」


意識がなくなる瞬間ルイの声が聞こえた気がした。


「っ...」

目を覚ますと首に痛みがあった。

さっき首吊りをしたはずなのに今はベッドにいる。


「あれ、わたし生きてる?」


「ユキ...目が覚めたんだね」


そこにいたのはルイだった。


「なん、で?」


「もう一度君に会いに行ったんだ。僕はどうしても君と一緒にいたかったから。あの日僕は意気地無しだったから君の前から姿を消した。でも自分の気持ちに嘘は付きたくなかったんだ」


そうしてルイは私の頬に手を当てた。


「戻ったら君が首を吊っていてね。急いで下ろしたんだ。よかった間に合って」


ルイは泣いている。

私のために泣いている。

やっぱりあの時聞こえた声はルイだったんだ。


「ねぇユキ、僕と旅をしよう。ユキのことを誰も知らないところへ行こう。絶対に幸せにする。君をひとりぼっちになんてさせない。君を傷つけるものから絶対に守ると誓う」


私の目から雫が垂れた。

ああ、なんでこの人はこんなにも私を救う言葉をくれるんだろう。


私はそっとルイの手を握った。

それが私の答えだった。


きっとこの人なら私を変えてくれる。

私も幸せになれるかもしれない。

こんな孤独という暗い闇から私を救ってくれるかもしれない。

もう一度信じたいと思った


「ユキ、僕は君が大好きだよ」


ルイは私にそっと口付けをした。

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