第2話
ルイと過ごし始めて一週間が過ぎた。
どうやらルイの旅の目的は魔女と会うことだったらしく、しばらく一緒に過ごしたいと言われた。
人間とこんなに長くいるのは初めて。
でも不思議と嫌じゃない。
「僕と友達になろう。君を嫌ったりしない」
あの日の言葉が頭に浮かんでくる。ルイの真っ直ぐな瞳に不思議と取り込まれた。
どうせ死ぬなら最後にこの男を信じてみようという気持ちだったのにすでに私の心は開いてきている。
ルイは私を普通の女の子のように扱ってくれる。
初めての経験で戸惑うけど人間のように見てくれるのが嬉しい。
「ユキ!僕今日は街に下りて食料を買ってくるよ!もうあんまりないみたいだし」
「分かった」
私は両親が亡くなってからほとんどご飯を食べてなかった。
食べなくても何故か死ねなかったし。
でもルイはそんな私を見かねて私にご飯を作ってくれる。
私はルイが作ってくれるご飯がすき。
なんだかお母さんの作ってくれた料理と同じ味がするから。
ルイが街に行ってしまったから今日は1人だ。
今までずっと1人だったのに寂しいと感じる。
「早く帰ってこないかな」
そうして私はそのまま眠ってしまった。
私が起きた時、外はもう真っ暗になっていた。
でもルイがいる気配がしない。
「る、ルイ?」
呼びかけても返事がない。
ルイはその日帰ってくることはなかった。
私は裏切られたんだと思った。
やっぱり魔女に普通の生活なんて無理だったんだって。
ルイも私のことが恐ろしくなって逃げたんだわ。
そんなふうにマイナスな考えしか浮かばなかった。
私はたくさん泣いた。
ルイを信じたい気持ちと信じれない気持ちが交差する。
すると屋敷のドアがそっと開いた音がした。
私は急いで玄関に向かった。
ルイが帰ってきてくれたのかもしれない。
「ユキ、ごめんね。帰ってくるのが遅くなって」
そこには確かにルイの姿があった。
でもボロボロだった。
体の至る所に傷があった。
私は悟った。
きっと町の人にやられたんだと。
ルイが私のとこにいることがバレたんだと。
私は町の人が許せない。
でもそれ以上に自分の存在が許せなくなった。
私が一緒にいたせいでルイがこんな目にあった。
私があの時ルイを信じたからルイが傷ついた。
それなら私がするべきことはひとつだった。
「ルイ、もう来ないで」