プロローグ 不運児
最後に笑ったのはいつだったろうか。
この世は理不尽でできている。幸運なやつがいれば、不運なやつがいる。この世界にどちらかしかいないのなら俺は間違いなく後者だ。幸運なことなんかあった試しがない。
俺の親は俺が生まれた次の日に死んだ。親戚は俺を疫病神扱いして誰も引き取ろうとはしなかった。そして俺は施設に入れられた。その施設も中学卒業を気に崩壊。経営破産したらしい。ここから俺はひとりで生きるしかなかった。施設の仲間とも離れて二度と会えない。いつか遠い世界出会えるかもしれない。そう、思った。
ここまで聞いて俺を幸せだと思うやつはいない。笑い方なんてとうの昔に忘れた。おっと、いけねえ仕事に行かなきゃならねぇ。
「ふう、パソコン買えたけど、仕事とブログ書く以外使わねぇな。」
そう言って、ボロいアパートから出る。仕事場までは歩いて近く。のんびりと歩いて向かっていた。
「バコン!!」
上から何やら音がした。工事してたんだっけかここ。ふと上向くと、大きななにかが迫ってきていた。
(あっ、これ死んだな。)
なにか声がした気がした。走馬灯が見えた気がした。あいつら、笑ってくれてたらいいのにな。
(死に方まで不運かよ。)
そう、心でつぶやき、そして、「俺」は死んだ。
次に目が覚めると、俺は知らない場所にいた。