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インセクト・ウォー  作者: 総督琉
最終章
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最終章第6話 圧倒的力の前に

 私は氷蟻という種族を連れて、剣山に進行していた。

 だがその道中、よく多くの蟻に遭遇する。

 まだこの世界について分からない私は、隣を歩いているフィンブルに聞いた。


「フィンブル。あれは何という種族だ?」


「確か……火蟻ですね。ですが……剣山の火蟻は全滅したと聞いていたのですが……」


 フィンブルは少し考えている。

 私は気にせず、剣山の頂上を目指す。


 どうして剣山の頂上を目指すのか、それは剣山の頂上には幻の聖剣が刺さっているという。だがその剣は神の子の中でも選ばれた者しか抜くことができないらしい。

 噂によると、その選ばれし者は随時変わるらしい。


 私が選ばれた存在なのか分からないが、どうせ大きな戦いが始まるのは数年後だろうし、しばらくはゆっくりと勢力を拡大すればいい。


 ーーそう思っていたはずなのに……、


 私たちは何時間も休憩せずに頂上を目指していた。

 だが、やはり頂上は遠く、人間ですら一日はかかる距離だ。蟻ならば二日は余裕でかかるだろう。

 それに皆も疲れている。


「フィンブル。休憩しよう」


「分かりました。つらら様」


 私たちはこの木々が生い茂る森の中で、静かに眠りにつく。

 起きたのは日が昇り始めた頃。


 私たちは落ちている木の実を食し、体力を回復させる。


「じゃあ行こう」


 私たちは再び山を登り始め、気づけば夜。

 いつの間にか何十時間も歩いていたらしい。

 そこまで歩いてようやく、私たちは剣山湖(つるぎやまこ)が見えた。

 確かここは山の中間地点に造られている。つまり私たちは山を丁度半分登りきったということだ。


「じゃあまた寝よう」


 二日で中間地点まで登った。ならあと二日で頂上にたどり着ける。

 私たちは眠りにつこうとした。だが、戦いをしている激しい音が聞こえる。


焔火災(エクス・フレイム)


 剣山湖とは反対側から、炎のような光が見えた。


 私とフィンブルは他の氷蟻をその場に残させ、炎の光が見えた場所に急ぐ。

 私とフィンブルは木の影から戦いを覗く。


「アーサー。あんた……」


「シャーロットさん。あなたは邪魔なんですよ」


 黄色く輝く髪をした男は、白髪の女性に剣を振るう。だが白髪の女性は黄髪の男の剣を剣で弾き、黄髪の男を壁まで追い詰める。

 だが、どこかから矢が白髪の女性の背後に放たれた。

 すると、矢が放たれた場所から声がする。


「ガアァァァ」


 私はその声がした場所を見ると、トカゲがいた。

 やはり蟻から見るトカゲは相当大きい。


 だが私が目を話している内に、黄髪の男は剣を握り、白髪の女性に斬りかかる。


焔火災(エクス・フレイム)


 黄髪の男の剣が振るわれた瞬間、その剣から炎が放たれ、白髪の女性を炎の渦で呑み込む。

 黒煙が周囲を漂う。


「よし。もう出てこい」


 黄髪の男がそう言うと、木の上から和を連想させる着物を着、美しい顔つきをした女性が降りてきた。


「さすがやね。その聖剣エクスカリバー・オリジナルは」


 そして、黄髪の男の顔がどんどん変わっていく。

 さっきとは全くの別の男に変わった。


「蓮月。帰りましょ」


 その男は蓮月と呼ばれている。


「そうですね。妙月さん」


 対して木の上から降りてきた女性は妙月と呼ばれている。

 私は身を帰ろうとした。だが彼女ら二人以外に気配を感じた。

 それは黒煙が漂っている場所。


「まさか!」


「だと思った。妙月。そして……蓮月。あなたたちはさ、油断しすぎ。裏切られた仇を、とらないと気が済まないんだよね」


 白髪の女性は蓮月という男に斬りかかる。


「くそ」


 蓮月は剣で白髪の女性に突きをするが、白髪の女性はあっさりと彼の剣を避ける。

 そして剣の柄の方で蓮月の腹を突く。

 蓮月は悶絶し、地に四つん這いになって倒れる。


「あとは妙月、お前だけだ」


「シャーロット。私はやらなくてはいけない。だから、ここは殺してでもあなたを止める」


 「何を急いでいるの? もしかして、侍蟻の城に行くと、まずいことでもあるの?」


 妙月は冷や汗をかいている。

 シャーロットという女性は蓮月が持っていた剣を手に取り、妙月に向ける。


 「これでも私に勝てる?」


 「もちろん。私を少し、舐めすぎよ。月光幻覚(ホログラム)


 妙月の背後に多くの蟻が出現する。

 さっきまではそこには誰もいなかったはずだ。


 「妙月。私は幻覚には惑わされない」


 そう言いながら、シャーロットは幻覚であるはずの蟻の間を通りすぎる。

 だがしかし、シャーロットは斬られる。

 幻覚であるはずの……蟻たちに。


 「なぜ……?」


 シャーロットはそこに倒れた。今度こそは本当に倒された。


 「すまんな。シャーロット」


 そう言うと、妙月は蟻たちに蓮月とシャーロットを運ばせ、その場をあとにする。


 もしかしたら、大きな戦いはもう始まっているのかもしれない。

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