表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インセクト・ウォー  作者: 総督琉
最終章
96/136

最終章第4話 世界が大きく動き出す

 あれ……ここどこ?


「やっと起きたか」


 石畳に囲まれた正方形の一室。

 唯一光が入ってくる場所は後ろの窓か、正面の小さな小窓のみ。


 動こうにも、手は鎖で繋がれて、足にもそれが巻き付いている。横たわる私を、小窓から男は哀れそうな目で見ている。


「はは。せいぜいそこで反省しておれ」


 あれ……私は何をしたのだ?


「まさかあんなことをするなんてな」


 その男は笑いながらその場を去った。

 彼は一体何者なのか、それすらも分からない状況で私は皿に入っている水を、這いつくばって舌ですくって飲む。

 少し惨めだったが、喉が乾いていたので仕方がない。

 水を飲み終わった私は、後ろの床にある小さな窓から外を眺めた。


「きれい……」


 思わず声が漏れてしまうほど、その景色はきれいだった。

 氷で造られた人の像が、いくつも草原の中に存在していた。氷の像に反射する月の光が、その像の輝かしさを一層際立たせている。

 だが私は疑問を抱いたーーどうしてこんな森の中に、氷で造られた人の像があるのだろうーーと。


 誰も見ないのだからここに置いておく意味はない。それでも像はここにある。


 そんな違和感を感じながらも、私はその氷の像を静かに眺めていた。

 すると、小さな窓を使い、一匹の蟻が私のもとに歩いてくる。その蟻は私の顔を渡る。そして額の真上に登ると、蟻は私の頭をコツンと叩いた。

 その瞬間、私は謎の眠気に襲われ、静かに目を閉じる。


「あなたはまだ生きたいのですか?」


 私の脳内にはその言葉が響く。

 私はその問いに答えた。


「ああ。私は思い出した。自分が特別な存在であると。だから生きなければならない。どんな形になってでも」


「そうか。ではお前に体をやろう。お前には氷蟻という種族の体をやる。これ存分に暴れるがいい」


 その声が途切れると、私はうっすらと目を開ける。

 霞んだ世界に広がっていたのは、巨大な一室と大きな鉄の塊。


 私は手錠がつけられていないことに気づくと、目の前にあった出口から外に出た。

 そして外の景色を見た時、私は思った。


「確かここは……私が檻の中に入れられていた時、床際にあった窓から見た景色のはずだ」


 そう。目の前の広がっていたのは、さっきよりも格段に大きくなってはいるが、明らかに檻の中から見ていた景色と同じだ。

 ならさっきの鉄の塊は手錠。そしてあの大きな一室は檻の中ということになる。


「つまろ私は、小さくなった……」


 そう思った私は、鏡のような場所がないかを探すーーその道中で、私は体から冷気を発している集団に出くわす。

 男や女が混じっていて、三百人は軽く越える集団だ。

 だが一つ気になるのは、頭にちょこんと生えた触角。


 まるで蟻だ。


 私は彼らに情報を聞こうと、この巨大な木々が生い茂る中を堂々と歩く集団に話しかけた。


「あのー、ここはどこですか?」


 私が話しかけると、その者たちはなぜか固まった。そして発した一言。


「神の子!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ