最終章第3話 嘘でもいいから
最終戦争が始まるかのような胸騒ぎ。それをシャーロットは蚊の巣で紅茶を飲みながら感じていた。
白髪の髪を風に揺らせながら、蟻村のことを頭の中でリフレインさせる。
(幸太郎。お前が止めようとしているのは……)
考えただけで、シャーロットは胸騒ぎが抑えられない。
「蚊の王に言っといて。私は侍蟻の城に乗り込むって」
シャーロットは護衛をしている蚊に言った。
「正気ですか?」
「ああ。私はもう後悔したく無いんだ。だから止めないでくれ」
シャーロットは止めようとする蚊たちをどかし、蚊の巣である竹の中から外に出る。
「待っていろ蟻村。私は二度と君を失うわけにはいかない」
シャーロットは蟻村への思いを胸に、トカゲに乗って侍蟻の城を目指してひたすらに進む。
夜で辺りは暗く月も出ていた。それでもトカゲを走らせ、侍蟻の巣に向かう。
だがその道中の森で、一匹の蟻がシャーロットに襲い掛かる。
シャーロットは腰に携えていた剣を抜き、襲ってきた蟻の剣を弾く。
シャーロットはトカゲを止めた。
その後、月の光が襲撃者を照らし、襲ってきた蟻の顔が見えた。
「アーサー!?」
シャーロットを襲ったのは黄金の髪色の短髪の少年。つまりアーサーだった。
「シャーロット王女。あなたが生きていると分かってしまえば、他の円卓騎士団の仲間たちは喜ぶでしょう。でも、俺だけは嬉しくないんですよ」
アーサーは再びシャーロットに剣で襲う。
だがシャーロットの方が剣の腕前は上だ。アーサーの聖剣はシャーロットの普通の剣に飛ばされ、アーサーの背後に生えている木に刺さる。
その後、アーサーの背中が木に密着するくらいに追い詰め、アーサーの首に剣を突き立てる。
「相変わらずシャーロットさんは強いですね。でも俺はあなたを殺す」
シャーロットとアーサーが戦っている最中に、割り込むように一発の矢が放たれる。シャーロットに当たりはしないものの、トカゲに当たり、トカゲは倒れる。
「ほう。これで移動手段はなくなってしまったか……」
シャーロットは笑う。
「何がおかしい?」
「おかしいだろ。アーサー。お前が私に勝てると思うのか?」
「聖剣を持っていなければ……」
「まだ分からぬか?聖剣などという借り物の力に頼ったところで私には勝てない。ただ己自身を極めた者こそ、真の実力を持つと言えよう」
シャーロットにひれ伏すように、アーサーは膝をついた。
だがその戦場にいるのは二人だけではない。
木の上から放たれた一矢の矢がシャーロットの頬をかする。
「そういえばまだいたな。出てこい」
シャーロットは威圧するも、襲撃者は出てこない。
シャーロットは矢が放たれた木の上を見ていた。だから彼女は気づかなかった。
「焔火災」
アーサーは聖剣を握り、横一閃に剣を振るう。
振るったその剣から放たれた火炎は、シャーロットに襲いかかる。
「さようなら。元女王」




