最終章第1話 世界は不条理の連続だ
黒い短髪の少年。蟻村幸太郎は蚊に連れられ、侍蟻の巣までやって来た。
(相変わらず立派な城だな。いつかこういう所に住んでみたいと、妹の幸華は言っていたな)
蟻村は城の中に入り、黄金だけで彩られた部屋に案内された。
(懐かしいな。妹が金色の折り紙で部屋を金ぴかにしたことがあったな。あの時は接着剤付けたから剥がれなくなったんだっけ。今でも跡は残ったままだし)
蟻村は豪華な料理を提供される。時代劇ドラマによく出る料理を出され、蟻村は勢いよく料理を食べまくる。
最後の晩餐かのように、蟻村は出された料理をむしゃむしゃと食べる。
(どれも妹の幸華が食べたがっていた料理ばっかだな)
蟻村の背後には、逃げないように見張っている侍蟻がいる。
その侍蟻は腰に二本の刀を刺し、目をつめってはいるが、気配だけ感じとるような猛者だろう。
(妹はドSだったけ)
蟻村は料理を食べ終わる。すると今度はデザートが出てきた。ジェラートにバニラアイス。チョコレートにマカロンなど。蟻村はスカーレットのことを思い出した。
(スカーレット。今生きているのなら、このデザートを分けてやりたかったな)
蟻村とスカーレットはスイーツ好きで仲良くなった。だがスカーレットは蟻村を救うため、己の魂を炎に変えて、蜘蛛と戦って死んでいった。
蟻村はあの光景を思い出す度、涙が溢れそうになる。蟻村は涙を堪え、久しぶりのスイーツをお腹いっぱいに食べる。
(やっぱりスイーツは美味しいな。そういえば妹もバイキングでスイーツばっか食べていたよな。というかスイーツしか食べてなかった)
蟻村は過去のことを思い出し、少し笑ってしまった。
(シェフが妹の持っていたスイーツを取ろうとしたんだっけ。それで妹は号泣。シェフは困っていた。
後からシェフに聞いたら虫が入っていたからっていう何ともくだらない理由。
あれは腹をかかえて一家大爆笑だったよな)
だが蟻村はこの先のことを考えると少し落ち込む。
(僕は今、どうするべきだろう。侍蟻と戦うか。それとも後ろの見張りを倒して逃げようか。いや、お姫様に会って……。お姫様か……)
「蟻村幸太郎。お姫様が参られました」
ふすまを開け、お姫様が入ってくる。
美しく、綺麗な着物を着た女性。俺よりも年は下だが、顔は見覚えがある。
(やっぱり、お前だったんだね)




