第83話 始まりと終わりの最終交差点
蚊と戦っていたのは朝なのに、もう既に日が落ちようとしていた。
「速いな。時間というものは」
「蟻村。この先どうすればいいの? 仲間とはぐれ、この危険な竹林で二人きり。帰る場所も無く、たださまよい続ける。もう終わったんだよ。私たちの戦いは」
シャーロットは悲しみの表情で空を静かに眺める。シャーロットには重すぎた。多くの命の責任を負うのは。
「シャーロット。もう逃げよう。この戦いの世界から逃れて、このまま静かに死んでいこう。苦しみに耐えられなくなったのなら、二人で静かに暮らそう」
「うん……」
シャーロットと蟻村は指揮官という重い仕事から解放された。
「さらば。円卓騎士団」
剣山にある蜂の巣では、マーハウスが雀蜂を支配し、雀蜂の王となった。
「王の気分も悪くは無いな」
円卓騎士団は、蟻村とシャーロットがいなくなってもなお、殿様飛蝗が生息している草原に向かっていた。
「トリスタン。隊列を崩すな」
「はいはい。ちゃんとしますよ」
トリスタンはあくびをしながらトカゲを走らせる。
毒ガス工場がある場所では、軍隊蟻の女王が生き残りを率いて、毒ガスの研究を始めていた。
「アースデイ。第2研究室で死者が大量発生している。どういうことだ?」
アースデイは女王に言われ、急いでその原因を調べた。
火蟻の女王は、全世界から兵を集めて、剣蟻に殺された火蟻の王の仇を撃つために剣山に進軍する。
「イグニス。お前の仇は絶対に私がとるから」
侍蟻は虫を全て排除する最後の計画のため、多くの作戦と多くの訓練をし、お姫様の野望が叶う日までに備える。
「虫の世界が終わる日が来るぞ。そしたら、我々は人間に戻り自由な暮らしが出来るんだ」
織田丸の演説を聞いた蟻たちは、虫から解放される時を願い、酒を飲み出す。
どこかの竹林にて、
「き、貴様は何者だ?」
「俺は護衛。剣蟻の女王様の護衛だ」
護衛と名乗る者は、大剣で蚊を殺していった。
「雑魚どもが。俺の進む道を邪魔する者は、誰であろうと殺す。女王様に会えるまでは。女王様。まだ生きていてください」
最終戦争へのカウントダウンが刻一刻と始まりに近づく中、侍蟻しか知らない種族がいることに、ほとんどの者は気付いていない。蟻村を除いて。




