第82話 不条理な世界だから、この世界を壊しにきた
蟻村はその牙針蟻に不死鳥の炎を連発するが、牙針蟻には全く効かない。
「嘘だろ」と言ってる合間にも、炎は竹を燃やしていく。
ーーヤバい。このままでは。
蟻村は焦っていた。それでも牙針蟻は攻撃を止めはしない。そんな時、上の方から、
「剣蟻の女王は捨てて構わん。今はこの竹林から脱出することが最優先だ」
蚊の王とその配下たちは颯爽と竹の中から飛び出した。
ーーシャーロット。そこにいるのか?
蟻村はトカゲに乗って、階段を登り、急いでシャーロットのもとへ向かった。だがその背後から牙針蟻はついてくる。
「これでも食らって倒れとけ。不死鳥の爆炎」
爆炎が牙針蟻を吹き飛ばす。
「しばらく寝てろ」
蟻村は火の手が差し迫る竹の中、シャーロットのもとに一目散に向かった。そしてシャーロットを見つけた。シャーロットはボロボロで、手を縛っていた縄も燃えている。
「シャーロット。大丈夫だったか?」
「蟻村……!? どうしてボロボロになってまで、こんなところに来たの?」
確かに蟻村は殴られ、傷まみれだった。だけど、シャーロットのことばかり思うと、自然と痛みは感じていなかった。
「シャーロット。僕は、こんな不条理な世界だから、この世界を壊しにきたんだ。だから……」
蟻村はシャーロットをお姫様抱っこし、トカゲに乗り込んだ。
「逃げるぞ」
トカゲは10メートルはあろうかという高さから飛び降りた。蟻村でさえ、その行動を理解できなかったらしく、その瞬間に二人は死を覚悟した。
トカゲはこの高さなら問題無く飛べる。二人は地面に着地した瞬間、ホッとした。だが後ろから牙針蟻が襲ってくる。
「シャーロット。前の方に乗ってろ。落ちたら危ないからな」
蟻村はトカゲのしっぽの生え際に乗り、牙針蟻に銃弾を何発もお見舞いする。だが全く効かない。
「蟻村。牙針蟻には大きな弱点があるの。それが……」
シャーロットは蟻村の握っていた銃を蟻村の手の上から握り、牙針蟻の額を射撃する。牙針蟻のスピードは少し緩んだ。
「あと一撃。いくよ。蟻村」
「ああ」
「「不死鳥の一撃」」
牙針蟻は額に風穴を空けられ、そのまま倒れた。蟻村とシャーロットは笑顔でハイタッチを交わす。
「やったな」
「蟻村のお陰だよ。助けにくてくれて、ありがとね」




