第80話 素手で潰せる蚊ごときが
竹林では、蚊の大群と円卓騎士団が激しい戦いを繰り広げている。
「ガヴェイン。どうした?」
「女王様が…蚊にさらわれた」
戦況は明らかに円卓騎士団が不利であった。
指揮の要となる女王は敵にさらわれ、圧倒的戦力に体力を削られていく。さらには戦意を喪失した者までもいる。
この状況では円卓騎士団の敗北はほぼ確実のものとなるだろう。
「焔火災」
アーサーが振るった剣の刃から放たれた真っ赤な炎が、蚊の群れを黒焦げにする。
「そういえば…蟻村さんは?」
なぜかシャーロットとともに姿を消した蟻村。彼は一体何をしているのだろう。
ー
「王。後ろから変なヤツが追ってきているのですが……」
シャーロットを運ぶ蚊の王を取り巻く蚊は、背中から生やしている羽で飛び、着いてきている者を不審に思っていた。一見蜂に見えるが……。
ーー彼は一体何者なのだろうか?
「ここで暴れたきゃ、このマーハウスに許可を取ってからにしてもらおう」
そう。彼の名はマーハウス。種族は大雀蜂。侍蟻との戦いで仲間を失った悲しき者だ。
蚊たちはマーハウスに襲いかかる。
「撃ち取れぇぇぇぇ」
30匹ほどの蚊の群れが、マーハウスに剣を突き立てる。
だが、蚊と蜂では力の差は一目瞭然。圧倒的なパワーで、マーハウスは蚊を次々に吹き飛ばしていく。
「退けぇぇ。ここは俺の世界だ」
マーハウスはたった数秒で、襲いかかる30匹ほどの蚊を倒した。
「王。謎の男に全員殺られました」
「ここにいる全ての兵で迎え撃て」
蚊の王の焦っていた。蚊の王は2000匹ほどの蚊をマーハウスに襲いかからせる。
だがマーハウスに襲いかかる蚊は恐怖で足を運ぶことが怖くなっていた。
「毒刃撃」
マーハウスの毒が塗られた聖剣は、蚊にかすり傷を負わせただけで体の全機能を停止させていた。
「カンカン隊長。奴は…止められません」
怯えている蚊は次々に毒の剣で斬られていく。2000匹の蚊ですらマーハウスを止めることは困難である。2000匹の蚊の隊長であるカンカンも必死に奮闘するが、毒の剣で斬られ地に落ちた。
その息で、マーハウスは蚊の王に近づいた。だが……
「ぶはっ!?」
マーハウスは腹を矢で撃たれた。マーハウスを撃ったのは、蚊の王の側近、ガラホート。彼は狙った的を一切外さない。天才狙撃主だ。
「貴様。次、王に近づけば容赦無く殺す」
マーハウスは腹を貫かれたことにより、少しずつ落下していった。
「ガラホート。良くやった」
「それより王、なぜ剣蟻の女王を誘拐したんですか? あの場で殺したほうが良かったのではないでしょうか?」
「まあ見ておれ。この女には相当の価値があるからな。はっはっはっはっはっは」
蚊の王は悪賢く笑った。




