第77話 影月の思い
僕らは檻に容れられていた。そこに一匹の椿蟻がやってきた。彼の名は影月。
「影月。何をしに来たんだ?」
「蟻村さん。私はあなたを助けに来たんですよ」
「影月。お前は何を言っているんだ?もしお前が言っていることが本当なら、お前は妙月たちを裏切ったってことになるぞ」
「ああ。もちろん裏切った」
影月は躊躇無く言った。どうやら影月は本当に裏切っているらしい。
だがそこに伊達丸がやって来た。そして影月を襲いかかる。影月は檻をねじ曲げ、僕たちを逃がしてくれた。
「蟻村さん。生き残ってくださいね」
影月は走っている僕とシャーロットに遠くからそう言った。
(影月。まだ死ぬなよ)
「伊達丸。ここは通さない」
「影月。なぜ邪魔をする? 彼らは姫様が探しているお方かもしれないのだぞ」
「ああ。だが俺はお世話になった者に全力で尽くす。だから蟻村さんが望んでいた結末に進めただけだ」
「そうかい。なら裏切りには死をもって償え」
伊達丸は影月に襲いかかった。影月は影から二本の刀を取り出し、伊達丸の刀を弾いた。
「新・独眼竜刀術 。闇討ち」
伊達丸は目にも止まらぬ速さで刀を抜き、影月の腹を斬った。だは影月も負けてない。
「影沼」
伊達丸は地に着いていればいる程、地面に沈む。だが壁を走ろうとも影に触れている以上、地面に沈んでしまう。だから伊達丸はどんどん沈む。
「思っていた以上にやるな! だがこの程度で負けるなら…大名になど選ばれない」
伊達丸は闇を周囲に蔓延させ、技を放った。
「闇翼」
伊達丸は背中から闇のような翼が生え、地に足をつけずにいる。
「これで、てめーの技は意味が無くなったな」
伊達丸は空を浮き、影月に斬りかかる。影月は二本の刀で伊達丸の攻撃を何度も受け止める。その攻防が何度も続き、影月の体は限界を向かえていた。
「影月。もう限界なんじゃないか?」
伊達丸は疲れを見せず、影月に聞いた。影月はヘトヘトの状態で答える。
「もうそろそろ、蟻村さんたちは遠くまで逃げているだろうな」
「ああ」
「なら俺が戦う理由も無いだろうな」
伊達丸はすぐに察したが、影月の逃亡を止めることは出来なかった。影月は影に潜り、その戦場をあとにする。
「まあいい。決着はまた今度」




