第76話 マーハウス
戦場にいる蜘蛛や蜂は既にほぼ全滅していた。
「おいおい。地上部隊の蜘蛛は既に全滅している。あとは俺たちだけだ!」
生き残っているのは蜂100匹ほどだけだった。その中でもマーハウスという大雀蜂は、毒を塗った剣を使った戦いをしていたが、遠距離の敵にはなす術が無かった。
「マーハウスさん。撤退しましょう」
マーハウスの部下のキョポールは撤退を促すが、マーハウスは少しでも功績を上げようとしている。だが司令部が崩壊していることをまだ知らない。
「駄目だ。こんなところで撤退しても意味がない」
戸惑っているマーハウスたちに、一匹の蟻が襲いかかる。
「マーハウスさん。あいつは大名の一匹、風魔丸。忍蟻。謎の術を使う蟻です」
風魔丸は空を風を利用して舞い、蜂を弓矢で次々に撃ち落としていく。
「マーハウスさん。撤退です」
風魔丸に次々に仲間が殺られ、キョポールは焦っていた。だからマーハウスにすぐ撤退をさせたい。なのにマーハウスは撤退の指示を出さない。
「マーハウスさん……ぶはっ」
キョポールは風魔丸に腹を矢で撃たれた。その時、初めてマーハウスは気づいた。キョポールは自分のために命を懸けてくれていたことを。
「キョ…キョポール!」
マーハウスはキョポールに手を差し伸べた。キョポールも手を重ね合わせようとする。だがキョポールは羽を撃たれ、地に転がり落ちた。
「くそおぉぉぉぉぉぉ。どうして…どうして……」
マーハウスは怒りに我を忘れた。そしてマーハウスの剣に聖なる力が宿った。
「風魔丸。てめぇぇーー」
風魔丸は矢をマーハウスに放つ。だがマーハウスは全ての矢をよけ、風魔丸の右腕を斬り飛ばした。
「な!?」
風魔丸は驚いている。風魔丸は左手で弓を持ち直したが、片腕が無いので口で矢をくわえ、発射した。マーハウスはさすがに予想してなかったのか、矢を腹にくらった。
「痛い…。王族の…俺が…なぜ最前線で戦っている?」
「右腕の借り。ちゃんと返させてもらう」
風魔丸はマーハウスの右腕に矢を発射した。マーハウスは悲鳴を上げた。だがマーハウスは止まらない。
「毒刃撃」
マーハウスは毒が塗られた刃で風魔丸の心臓を突き刺した。
「ま…まさか……大名の私が…貴様ごときに…」
風魔丸は空という戦場から地上に転がった。マーハウスはボロボロの体でどこかへ消えていった。聖剣となった剣を持って。




