第7話 勝利への道筋
僕らは激しく流れる川の中、誰も落ちずに火蟻の巣を目前にする。
(いける!)
火蟻の巣は土の城のようになっていて、水で既に外壁が泥々に溶けている。
「行くぞー。てめーら」
そして僕らが乗った木が外壁にぶつかると、外壁は壊れて僕らは火蟻の巣に到達する。
「突撃!」
女王さんの声とともに皆が勝利に向け走り出した。
「閣下。敵です!?」
僕らは混乱している火蟻達の首を討つ。敵はここ数年で力を付けただけ。しかし剣蟻は10年以上も前からここを死守してきている。
「経験が足らんぞ。若僧ども」
護衛が怒りの声で火蟻どもを怯えさせる。火蟻は護衛にビビって、足がブルブルと震えている。
僕らは部隊を二つに分けた。一つはここ、火蟻の巣を攻め落とす部隊。もう一つは逃げた奴を仕留める部隊。戦いで最も駄目な行為は相手を逃がすこと。それさえしなければ今後危機的状況に陥ることはなくなる。
だが兵力はその分少なくなる。ここを攻める者達はせいぜい300。対して火蟻は500。数では劣っている。だが負けるわけにはいかない。
「新米は無理に戦闘をするな。支援を心がけろ」
女王さんの適切な判断により、兵は正しく動く。
「火蟻の王を探せ」
そう叫ぶと火蟻達は急いでひとつの方向に向かった。
(バレバレだな)
「急いで追え。見失うな」
剣蟻は急いで火蟻達を追う。火蟻達は何度も曲がり角を曲がる。しかも遅いペースで。
(何か怪しい。なぜ一度も彼らを見失わない? まさか…)
「罠だ!」
気付いたのは遅かった。その時既に火の波で多くの剣蟻は燃えついた。
「俺達がお前らに負けるわけないだろ。俺達に挑みたきゃ人間一人殺してからにしろ」
王冠を被った火蟻が俺達にそう言った。
(そっか。あいつが王なんだ。あと…少しじゃねーか…。くそ…)
「皆の者。退け。今は退け」
女王が兵を退かせる。
(駄目だ。今退かせては二度と勝てない。勝利への道筋が見えてるのに…どうする。どうすれば?)