第53話 裏切り者
僕はカーマに質問した。
「カーマ。君は二日前の朝、グレン隊長に召集された後、どこにいた?」
「ああ。ボクはブルーレンズ班長とともに銃の訓練をしていたよ」
カーマは女だが、一人称がボクである。
「そうか…」
(カーマはあまり動揺していないな。裏切り者の可能性は薄いな)
「それよりさ、その質問って健康観察に関係なくない。それに書く物とかも用意してないし…」
僕はバレると思い、すぐに別の質問をした。
「じゃあお腹の具合が悪いとか、頭が痛いとか、そういうのは無い?」
「ああ。まだないね」
するとポールが帰ってきた。そしてポールが僕の耳元で他の者に聞こえないように小さな声で言った。
「ブルーレンズは…裏切り者の協力者かもしれない」
そしてポールは部屋から出た。だから僕もポールの後を追うように、ブルーレンズの班の部屋を出た。
(だが、何でブルーレンズが協力者なんだ?)
「なあポール。どうしてブルーレンズが裏切り者の協力者だと思ったんだ?」
「あいつは…グレン隊長を殺そうと俺に言ってきた」
(な!?)
ポールはダテマルのところへは行かず、ブルーレンズを監視するため、一日中ブルーレンズの後をつけた。
僕は夜になっても帰ってこないポールを探しに行こうと思い、自分の班の部屋を出た。するとダテマルの後ろ姿が見えたので、僕はダテマルの後を追ってみることにした。
ダテマルは片目を失っており、目を眼帯で塞いでいる。
ダテマルは図書室に入った。
(何をするつもりなんだ?)
そして10分ほど経って、ダテマルが図書室から出た。だがダテマルは本を一冊持ち出している。
遠くからでは分からないが、大きく"聖なる武器について"と書かれてある。
僕はダテマルが裏切り者だと確信し、ダテマルの尾行を開始した。するとこんな夜遅くに巣の外に出た。そこはスカーレットが死んだ場所だ。
すると、反対側からブルーレンズと思われる蟻がダテマルに向かって歩いてくる。
「なあダテマル。君たち侍蟻はすでに戦闘の準備はできているか?」
ブルーレンズがダテマルに話しかけた。
「ああ。そして戦闘開始の合図はこの銃声が鳴ったとき」
するとダテマルは協力者であるブルーレンズに銃を向けた。
「おいお前。何をしようとしてるのか分かってるのか?」
ブルーレンズは混乱している。きっと裏切り者に裏切られるのは予想していなかったのだろう。
「俺はただ邪魔者を排除するだけ。だからこの銃声とともに貴様には消えてもらわなければならない」
そしてダテマルはブルーレンズに銃弾を放った。




