第50話 スカーレット。
スカーレットは女郎蜘蛛を一撃で消滅させている。
「スカーレット。それほどの力を使えば…」
僕の声はスカーレットには届かない。多分このままではスカーレットは自分の炎で燃え尽きて…死ぬ。
ーアリムラ。私はさ、君が優しくしてくれて嬉しかったんだよ。君がスイーツが好きだって聞いて、すごく嬉しくなったんだよ。
だから…もう私は死んじゃうけど…またスイーツを食べる時には私を思い出してくれないかな?自分勝手かな?ワガママかな?
それでもさ…私は君をいつまでも思ってる。たとえ生まれ変わったとしても…。
「スカーレットーー!」
スカーレットは全ての女郎蜘蛛を燃やし、力尽きた。
(なぜこんなに苦しい。なぜこんなにも生きてて欲しかった? 敵なのに…)
ー私はイチゴのケーキが好きなんだ。
僕の心にスカーレットとの思い出が流れた。
僕は苦しさで胸が破裂しそうな。心の中の何かが暴れるような。そんな感覚だった。
もっと力があれば護れた。もっと勇気があれば護れた。
そこに重火器部隊を引き連れたポールが戻ってきた。
(そうか。逃げたんじゃなくて重火器部隊を呼びに行ってたのか!)
もし重火器部隊が速くついていたら…スカーレットは死なずに済んだのではないか?
「皆さん。もう大丈夫です。重火器部隊を呼んできました」
皆は絶望から安堵の表情に変わる。だけど…僕は悲しみに犯されたままずっと苦しい。
重火器部隊がタランチュラやカニグモを次々に焼き払った。大砲やマシンガン。バズーカにライフル。様々な武器で蜘蛛からの恐怖を消していく。
すると落ち込んでいた僕に、ポールが優しく話しかけてきた。
「どうしたんだ?」
「スカーレットが…死んだ」
「そうか…」
ポールはその一言で言葉を失った。ポールもしばらく考えている。
「なあアリムラ。スカーレットは…最後に何て言ったんだ?」
「第一○一大隊を…護りたい………」
そう言うとポールは少し嬉しくなっていた。
「そうか~」
「なあポール。僕は弱かった。だから護れなかった。だから僕ってさ…みっともないよな」
「ああ。だからって止まっていい理由にはならないだろ。だから進め。スカーレットの死を無駄にしたくないのなら」
僕はスカーレットの死を見て思った。
(もしも虫の世界が平和であったなら。もしも虫どうしが協力し合える関係にあったなら…。それはきっといい世界なのだろう)
・死亡者
スカーレット
…死亡理由、仲間を護るため、命を炎に変え、燃え尽きた。




