第48話 見えてきた希望
僕たちはもう蜘蛛を止めることができなかった。女郎蜘蛛がいよいよ動き出したからだ。女郎蜘蛛は素早くて1mを越える。
僕たち蟻は女郎蜘蛛の大きさに震え上がっていた。
僕たちは女郎蜘蛛に銃弾を放つが、全く効かない。爆弾を当てて、ようやくダメージを与えられる強度だった。
そしていよいよ僕たちのいる三段目に女郎蜘蛛が進んできた。
「アリムラ。もう限界です」
仲間の叫び声が聞こえる。
(もう逃げるか? 仲間が戦っているというのに。でもこのままでは死ぬ。もう頼るしかないな)
「妙月。頼む」
この第一○一大隊に僕とともに侵入していた妙月は、誰にもバレず、椿蟻の能力を使った。
僕が潜入する時に妙月とした条件がこれだ。妙月は僕にも正体を明かさず軍隊蟻に侵入する。だから誰が妙月なのか分からない。
「月光幻覚」
妙月は人間の幻覚を出現させ、蜘蛛を驚かせる。だが蜘蛛は恐れずに進む。
(そうだ。蜘蛛の中には人間を殺すものもいる。だからか!)
蜘蛛は人間が幻覚だと気付き、その人間の幻覚を一切恐れずにこちらに進んでくる。
「退避~」
第三○一大隊の隊長は皆に撤退を呼び掛けたが、ほとんどの者が恐怖で動けなくなっていた。
「うわぁぁあ」
「や…やああぁぁ」
三段目に蜘蛛が来た瞬間、軍隊蟻の悲鳴が多く聞こえた。
(きっとこのまま終わるのだろう。あーあ。シャーロット…。ゴメンな)
僕たちは諦めムードだった。それもそのはず、蜘蛛の大群に襲われているんだ。誰もが絶望を覚えるだろう。
「アリムラ。下がっていてくれ」
気弱そうだったスカーレットは拳に全身に纏い、蜘蛛を睨み付けている。
「まさか…お前…!」
「ああ。私は…火蟻。ここにスパイとして潜入してたんだ」
スカーレットは軽い身のこなしで、蜘蛛の攻撃を軽々とよけ、火の拳で蜘蛛を焼き払う。
「さあ。戦いはこれからだ」
蜘蛛はスカーレットに向かって進んでいる。
「来いよ。私の仲間を殺す奴は、許せない」
スカーレットは次々に蜘蛛を焼き払っていく。蜘蛛の動きも鈍くなり出した。
するとスカーレットは軍隊蟻の巣に絡み付いている蜘蛛の糸を燃やした。すると糸を頼りに登っていた蜘蛛は、一網打尽にされ燃えていく。
「来いよ。ここから先は通さねーから」




