第41話 お菓子採集
僕たちはやっとお菓子工場についた。
「でもさ、この量のお菓子をこの程度の数じゃ運べなくないか?」
僕は聞いた。
「そうだね。だから運月を呼んだんだよ。じゃあ初めてくれ」
妙月にいわれると、運月は黙々とお菓子に触れ始めた。
「何するんだ?」
「見てれば分かるよ」
すると運月が触れていたお菓子が一瞬で消えた。
「妙月。何をしたんだ?」
「あれが運月の能力。月石収納。運月が触れたものを自分の体内にしまうことができる。それに私たち生物も収納可能。だから運月さえいれば大丈夫なんだよ」
そして運月が大量のお菓子を収納し終わったあと、僕たちは帰ろうとした。だが…
「グレン隊長。こちらに大量のお菓子があります」
謎の蟻の群れが現れた。僕たちはすぐに近くの茂みに隠れた。
「妙月。あの蟻はなんだ?」
「ぐ…軍隊蟻!?」
妙月は怯えた表情で言った。多分、軍隊蟻がいるのは予想外だったのだろう。
(どうすれば…。どうすればいい?)
僕たちは隠れて、軍隊蟻たちの話を聞いた。
「グレン隊長。こちらには爆弾蟻や弾丸蟻の死体がたくさん転がってます」
武装した軍隊蟻が敬礼をし、グレン隊長に伝えている。
「誰だ?」
グレン隊長はその蟻が誰か分からないらしい。だからその蟻が自分のことを紹介した。
「今日から配属になったポールです。よろしくお願いします」
「そうだった。新人が大量に配属されたんだったな。で、あと何人いるんだ?」
「6名ほどいると聞きました」
そこで僕は閃いた。軍隊蟻の情報を探る方法を。
「なあ。僕に作戦がある」
「作戦?」
「ああ。僕が妙月の能力で軍隊蟻の見た目になる。そしてあのグレン隊長の隊の新人として近づく。そしたら軍隊蟻の情報を得ることができる。どうだ?」
それを聞いた妙月はあきれた顔をして言ってきた。
「ここから逃げるのは簡単なのよ。それなのに軍隊蟻の内部に入って無駄死にする気? それじゃシャーロットちゃんが悲しむよ」
妙月の言う通りだ。だけど、このままやっても軍隊蟻に勝てるわけがない。
「妙月。今が勝敗を大きく変える。だから…お願いだ」
「そうね。じゃあ条件がある」




