第36話 ロット。
聖剣はロットの心臓を貫いた。
「そん…な…」
そしてロットは倒れた。
「ゴメン。ロット」
シャーロットは聖剣を手にし、その場から立ち去ろうとした。
「シャー…ロット……。最後に…シャーロットに…会いたい。…シャーロットに最後に……言いたいことが…」
ロットはかすれた声でつぶやいていた。
「シャーロットちゃん。既に幻覚は解いた。今のお前はシャーロットだ」
妙月がシャーロットに言うと、シャーロットは泣きながらロットに近づいて抱きしめた。
「ロット。ゴメンね。私は…ロットが大好き」
「シャー……ロット?」
「そう。私はシャーロット」
「やっ…たー。嬉しい」
ロットは力無く笑った。それを見ているシャーロットも悲しく聞いてる。
「ねえ…シャーロット…。一つだけ…聞いてもいいかな?」
「いいよ。何でも聞いてあげる」
「ボクは…シャーロットの…弟…だよね?」
「そうだよ。ロットは私の唯一の…弟だよ」
「何で…泣いてるんだよ!」
シャーロットは涙が止まらなかった。シャーロットはロットと笑顔でさよならしたかった。でも無理だった。
「シャー…ロット。好きだよ…」
その一言を言うと、ロットは静かに力尽きた。シャーロットの胸の中で、優しく温かく、ゆっくりと眠った。
「ロット。あなたは私の愛する弟だよ」
シャーロットは泣きながら死んだロットに言った。だけどロットは死んでいる。でも…ロットは笑った気がした。
それを木の影から見ていた蟻村幸太郎と妙月は…
「ねえ。シャーロットちゃん、他の男取られてるけど良いの?」
妙月は意地悪っぽく僕に聞いた。
「別に。だけどさ、シャーロットのあんな悲しい顔は初めて見た。多分ロットはシャーロットにとって大切な弟だったんだろうな」
「そうだね。ロットにも色々事情があるんだろうな…。だから…ロットは悪い奴じゃなかったのかもね」
「ああ。愛情を注がれなかった奴は、どこかで道を踏み外す。だから生きるのは難しい。相手の心が分かったら、誰も苦労なんてしないんだから」
そう言って僕は椿蟻の巣に戻った。
「待ってよ~」
妙月はぶりっこのように追いかけてくる。
「急にどした?」
「何だお前」
妙月は急に冷たくなった。
「そういえば、僕が蟻になった話、聞かなくていいのか?」
「それはまた今度にするよ」
「はあ。蟻の人生も苦しいな」
・死亡者
…死亡理由、シャーロットに心臓を貫かれる。




