第3話 攻略法
「お前。女王様になんて口の聞き方をしてる」
女王の護衛は、女王に対し無礼を働く蟻村に殺意を隠し話し掛けるが、蟻村は無視する。
「ねえ、僕なら勝ち方知ってるけど、このまま諦めちゃうの? それって、怖いから?」
「ムカッ」
「ははっ。図星! 超うける」
女王は蟻村の「怖いから?」と言う言葉に大きく憤怒し、それを蟻村に悟られた。
「お前」
護衛は蟻村に剣を向けるが、女王は護衛を静かに止めた。女王は蟻村に反論するのでは無く、勝つために蟻村に提案する。
「そんなにバカにするならお前がやってみろ。お前が指揮してみろ。出来なきゃお前まとめて私らは死ぬ。ただそれだけだ」
女王蟻は本気の目で蟻村に託す。
(本気には本気で答えないとね)
「いいよ、受けてあげる。でもね、条件がある。次から僕も参謀本部に入れて。分かった?」
女王蟻は蟻村幸太郎に引き込まれた。自信過剰な態度。満面の笑み。見下すほどの自信。全てが女王蟻には無かったからだ。
「なあ、お前の名は?」
「蟻村幸太郎。ただの研究家さ」
「研究家?」
「ただの拷問好きって覚えときゃいいよ」
そう言って彼は作戦の説明を始めた。
「まずここら一帯は山で囲まれている。だから火蟻の巣からここまでは剣蟻の巣の方が少し高台になってるんだ」
「それがどうかしたのか?」
「全く、護衛は黙っててくれ」
「おい。 護衛を舐めんな!」
蟻村幸太郎は護衛を無視し、話を続ける。
「実は山道を越えた先に剣山ってとこがあるんだけど……そこに湖があるんだ。そこでこの湖を利用しようってわけなんだけど……」
「だけどそこまでの道のりに蜂の巣がある」
女王は静かに呟く。それを蟻村は称賛する。
「そう。女王さんは分かってるね。だからここをどうするかが肝心なんだ」
「精鋭部隊はしばらくの間帰ってこないし…こちらの兵力では彼らには勝てない」
「女王さん。諦めちゃだめだよ。勝つために僕は今ここにいるんだから。負けちゃうなんて駄目なんだ。負ければ全てを失うから」
そう言った蟻村の声はひどく霞んでいた。蟻村は過去のことを思い出していた。
(また思い出しちゃったな。何度も何度も、全く腹が立つ。嫌いな奴ほど俺の心に長くいるんだから)
「ねえ。穴を掘って進めば…いいんじゃないかな?」
「そうだ。その手があった。今の俺は蟻なんだ。だったら蟻目線で物事を考えれば…全てが簡単だ!」
「なっ、何言ってんの?」
「さすがだよ。女王さん。やっぱあんたがいなきゃ今頃負けてたよ」
女王さんの頭を優しく撫でてあげる。すると女王さんは顔を赤らめた。
(か…かわいい!)
「それより時間がない。急いで準備をしろ」
「はい」
ーーまだだぜ、火蟻。俺はお前らに敵を討つまで、まだ死ねない。待っとけよ。火蟻ども。