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インセクト・ウォー  作者: 総督琉
アリクイの森編
23/136

第23話 見つけ出せ

僕はシャーロットを探した。だが見当たらない。


(僕はまだ幻覚の中なのだろうか?)


「アカマル。シャーロットたちが見えるか?」


アカマルは首を横にふった。つまり見えていないのだろう。


(父は軍人だった。確かここら辺で働いていた。そして父は言っていた。人間にだけ有効な毒ガスを開発したと。そしてその毒ガスは幻覚を見せる。だが今の僕は蟻だ)


「ねえ、お兄ちゃん。あれ、シャーロットちゃんだ!」


アカマルが指を指す方を見た。だが僕にはシャーロットどころか、一匹の蟻も見えやしない。


(もし入ってきた瞬間から幻覚を見ていたなら。僕はもとは人間。だから僕には効くのか。なら、探すのは厳しいな)


「ねえお兄ちゃん。速くシャーロットちゃんのところに行こ」


(そうか。アカマルは幻覚が見えていない。だってアカマルは蟻だから)


僕はアカマルが指差した方に恐る恐る歩み寄る。


(もしアカマルが幻覚だったら)


僕はそんなことしか考えられなかった。


「何でお兄ちゃんは震えてるの? もしかして怖いの?」


僕はアカマルを護る。だから頼もしい風によそおうため、強がりも言った。


「違うよ。これは武者震(むしゃぶる)いって言って、戦闘態勢の時になるんだよ。だから僕は全然怖くないよ」


「さすがお兄ちゃん。頼りになるな」


「幸太郎。大丈夫だった?」


ふとした声。アカマルの声では無かった。最近何度も聞いている声。安心できる声。頼れる声。


「シャーロット…なのか?」


「何ですかそれ? 顔を見れば分かるでしょう」


(そうか。シャーロットは毒ガスにはかかっていないのか)


僕はシャーロットが見えていないこと。そしてシャーロットが見えなくなった原因。それら全てを話した。


「なるほど。じゃあアカマルはその手を離しちゃだめだよ。私たちとはぐれないよう、しっかりその手を握っててね」


「分かった。シャーロットちゃん」


そして、弓蟻、爆弾蟻、弾丸蟻の連合の追跡を再開した。

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