第20話 大勢の蟻
「シャーロットちゃん。鍵持ってきた」
アカマルは鍵をどっかから持ってきた。そしてアカマルはその鍵でこの檻を開けた。
「ありがとうな。アカマル」
「うん。シャーロットちゃんも頑張ってね」
シャーロットに頭を撫でられているアカマルは、とても嬉しそうだった。
(アカマルもシャーロットのことが好きなんかな。やっぱ子供は分かりやすいわ)
「女王様。作戦を開始しましょう」
「ああ。じゃあアカマル。静かに帰るんだぞ」
シャーロットがアカマルに言い聞かせる。だが…
「僕も、戦わせてくれないか?」
「アカマル!? 君にはまだ速い」
「でも…シャーロットちゃんが困っている時に、何もできないでいるのは、嫌なんだ」
「アカマル…!」
シャーロットは少し考えた後、答えを出した。
「良いだろう。私に着いてこい。ただし、来たとして、もうここには戻れない。それでも良いのか?」
「うん。僕はもう、覚悟ができている」
「じゃあ行くぞ。弓蟻と弾丸蟻が隠れている場所には心当たりがある。油断は絶対にするな」
そして僕らはシャーロット先頭で、慣れない爆弾蟻の要塞を歩き回る。
「皆。弾丸蟻を見つけた」
僕も弾丸蟻がいるところを覗く。そこには2300程度の弾丸蟻、弓蟻、爆弾蟻がいた。それも皆、今からどこかに行くような格好をして。それに武器の手入れをしている。
「アカマル。何か知ってることはあるか?」
「はい。多分彼らは、アリクイの森に行くと思います」
(アリクイの森は蟻喰い生物が多く存在する危険な地帯。だが確かあそこの近くにはお菓子工場があった。じゃあ奴らはお菓子を求めて…)
「確かに。あそこは危険な代わりに、甘い匂いを放っている。だからきっと何かがある。だから彼らはそれを求めて行くのだろう」
シャーロットの喋り具合から察するに、お菓子工場があるということは知らないらしい。
「でもどうします。このまま行かせてその隙に逃げれば…」
アーサーの意見は正直正しい。あの数では勝てない。
「そうね。でもアリクイの森は危険。そんな場所に行かせるなんて…」
シャーロットは悩んでいた。だってあそこには、過去の仲間がいるのだから。




