第17話 戦況
女王さんは今の戦況を説明している。
「よし。戦況を整理しよう。今の我々の軍勢は剣蟻と槍蟻を合わせて1500。対して弓蟻と弾丸蟻の合計は最低でも1100。つまり数ではこちらが勝る」
「ですが、我々槍蟻が仕入れた情報では弓蟻は爆弾蟻と手を組んだとのことが…」
「本当にそうなのか? ランスロット」
「いえ。ですが弓蟻と爆弾蟻はアリクイの森の開拓を目標としていました。ですので手を組んだ可能性も無くはないかと…」
(あり得なくはない。だが、蟻がアリクイなどの蟻喰い生物に勝てるわけがない)
「ランスロット。私はその情報を勝利への切り札と捉えている」
「それは…どういう…?」
ランスロットは女王さんの発言を理解できていない。それは僕も同じだ。正直、こんな情報は役に立たない。
「なら話は速い。これから言うことは嘘ではない。全て真実だ」
女王さんの目はいつになく輝いていた。
そして僕らは女王さんの話を聞いて驚いた。まさか女王さんがあんなことをしようとしていたなんて。
「よし。来るのはアーサー。ガヴェイン。ランスロット。そして蟻村。このメンバーだ」
「女王さん。私は?」
「護衛くん。君は槍蟻の女王を護ってほしい。任せたぞ」
「はい」
「よし。ではこれより、弓蟻並びに弾丸蟻の駆除を開始する。一匹残らず駆除するぞ」
「をおおおおお」
僕とアーサー、ガヴェインにランスロット。そして女王さんは爆弾蟻の巣に乗り込むこととなった。
正直緊張してる。もしさっきの女王さんの話が本当だとして、弓蟻と弾丸蟻と手を組んでいる爆弾蟻が話を聞いてくれるか…。
「蟻村。心配か?」
「いえ」
戦の時の女王さんはいつもの女王さんとは違って、とても強そうで、戦いを恐れない感じだ。だから女王さんは頼りになる。
「蟻村。君が私を救ってくれた時のように、私が君らを救いたい。だから信頼してくれ」
(そうか)
僕は火蟻戦の時、皆の不安を無視してただ自分に信頼させていた。今分かった。他の誰かを信頼するのは難しい。だから僕は自分一人で他の人を置いていった。だけど、女王さんは違う。
火蟻戦の時、女王さんだけが僕を信じてくれた。だからあの時勝てた。だから、
「僕は女王さんを信じる」
女王さんは優しく笑った。
「蟻村くん。シャーロットっていうの」
「シャーロット?」
「私の名前」
(え!? 名前無いのかなって思ってたけど、やっぱりあるんだ。でもあったほうがいいな)
「じゃあシャーロットもこれからは僕のことを幸太郎って呼んで。気に入ってるんだ。この名前」
「分かった。幸太郎」
「こちらこそ。シャーロット」




