第12話 同盟への行進
「円卓同盟?」
「はい。誰が上でも無く、皆が平等の同盟。だから円卓同盟です」
「で、その同盟はいつから何だ?」
女王さんに聞くと、アーサーが口を挟み答えた。
「明日。円卓城にて三種族の蟻が一同に集まって会談が行われます。なので明日、女王様と王様には出席してもらいます」
「円卓城!? 城があるのか!?」
「はい。弓蟻。槍蟻。剣蟻の三つの巣の中心に巨大な巣を創ったのです。そして円卓城と名付けられました」
(巣かよ。城って言っただろ)
「どこの種族が創ったんだ?」
「全て槍蟻たちです。槍蟻は他の種族から恐れられています。だから槍蟻が巣を創ってくれたのです」
(槍蟻せえいればこの先安心じゃね)
「じゃあ速く寝よう」
「いえ。明日からでは間に合いません」
「ん?」
「今から行かなければ間に合いません。なのでもう準備してもらいます」
「えーーーー!」
「ではお願いします」
そう言うとアーサーたち剣蟻騎士団は外に出た。
「女王さん。本当に今から行くのか? まだ昼だぞ」
「はい。では今すぐ着替えて兵を集めて出発しましょう」
女王さんに言われ、渋々用意をした。今度の服は装飾品だらけで、いかにも王の服といった感じだった。
「じゃあ行くよ」
女王さんが巣の外に出たので僕も外に出た。そこには500を越える剣蟻がいた。そのほとんどが装備をしていて、戦いにでも行くような雰囲気だった。
俺も女王とともに先頭に立ち、剣蟻を導く。
「皆の衆。これより円卓城に進む。人間が来たらすぐに退避するのだ。良いな」
「はい」
女王さんの号令とともに剣蟻たちが歩きだす。そして6時間が経ち、辺りが暗くなり始める。
「女王さん。疲れた。休憩いつするの?」
「そうね。みんな、一旦休憩するよ」
女王さんの掛け声で皆が休憩する。多分皆疲れていたんだろう。だが疲れていない者もいる。
「ガヴェインさん。また勝負しましょうよ」
「アーサー。我は朝じゃないと強くないぞ。だがいいだろう。太陽の騎士とよばれた我は夜でも強いというのが証明できる」
そう言うとガヴェインが背中の大剣を取り出した。
「さあ、来い。この聖剣と戦う気があるなら」
「いいでしょう。私の聖剣にはそんな剣では勝てませんよ」
アーサーも腰に携えた剣を抜き、構えた。
「女王さん。あいつらはいつもこうなのか?」
「はい。でも夜に戦うのは初めてです」
「何か変わるのか?」
「蟻村さんは知らないと思うんですけど、昔朝蟻という蟻がいたんです」
「朝蟻ですね。昔絶滅した蟻でしょ」
「知ってるの!?」
「はい。朝蟻は人間が研究するために多く採集され、数は激減しました。それでなぜ研究されていたか。それは朝の間だけとてつもない力を出すんです。多分蟻の中では五本の指に入るでしょう」
「…はい。で、ガヴェインがその朝蟻です」
(なるほど。確かに剣蟻騎士団の中には剣蟻以外の蟻が多くいた。女王さんは仲間にするのが上手いのかな?)
ドカーーン
「おいおい。やりすぎだろ」
「大丈夫です。いつもよりは激しくないです。まあ朝じゃないですからね」
女王さんは冷静だ。ふと僕は周りを見る。すると森の奥で何かが光った。
(…まさか!)
僕は女王さんをかばった。すると僕の肩に矢が当たる。
「蟻村さん!」
聖剣……アーサーの剣。剣の色は、赤色混じりの黄金色。
聖剣……ガヴェインの剣。剣の色は、赤色混じりの黄金色。




