最終章第18話 龍化
火蟻は後方から攻め、見事に侍蟻の城に足を踏み入れた。
「今ここで、侍蟻の歴史を断て」
火蟻は侍蟻の城の壁を破壊し、城内を走り回った。
立花丸の頬には一滴の汗粒が流れ落ちる。
「すみません……姫……」
立花丸は静かに謝る。
だが、最前線で戦う者には、後方から城が突破されたという情報はまわっていない。
「伊達丸。少し後ろが気になるのだが……」
真田丸は後方部隊の動きに少し違和感を覚えつつ、円卓騎士団の兵を次々に倒していく。
伊達丸は龍刀を剣山の頂上に刺していたので、普通の刀で戦っている。
「伊達丸。さっき空に現れた龍ってさ、お前の刀のベースになった龍だろ。つまり誰かが刀と自らの体を一体化することができたってことなんだよ」
真田丸は難しいことをすらすらと述べる。
「真田丸。ちょっと後方行ってくる。最前線は任せた」
そう言うと、伊達丸は後方にいるざわついている部隊のもとに行った。
「いつも先走りやがって」
真田丸は小さく呟く。
伊達丸が後方部隊のもとに向かっている間にも、侍蟻の城の内部では乱闘が起きていた。
「徳川丸様。火蟻が城の背後から攻めてきたようです……」
火蟻は火を纏い、侍蟻と戦闘を繰り広げる。
「滅炎弾」
チャッカは指先から火の弾丸を放つ。
チャッカと狭い一本道で戦闘を繰り広げているのは上杉丸という侍蟻。
上杉丸はチャッカが飛ばした火炎の弾丸を避けず、手に握っていた刀で弾いた。すると火炎の弾丸は凍り果てる。
「何だ?その刀」
「これは氷龍をベースに創られた刀、氷龍刀だ」
上杉丸は刀を壁に刺す。
壁は刀が刺さっている場所から徐々に凍っていき、チャッカの横が凍った瞬間、壁から氷の針がチャッカを襲う。
「な!?」
チャッカはギリギリでしゃがんで避けた。
だが、少し頬をかすっている。
チャッカは再び立ち上がり、短剣を抜き、短剣に火炎を纏わせた。
「私の火炎が上か、お前の氷が上か、いざ勝負」
チャッカは凍っていない方の壁を走り、上杉丸の横に来た瞬間に天井に飛び付く。
上杉丸は上を見る。
チャッカは天井を地ベタとし、上杉丸に急降下する。
「氷槌」
上杉丸が地面に刀を刺すと、地面から氷の搭が生え、チャッカの腹を砕きながら天井を粉砕する。
氷の搭はいくつもの天井を砕き、城の屋根をも砕いた。
チャッカは空に投げ出される。
「さようなら。弱き戦士よ」
上杉丸が立ち去ろうとすると、一人の男が上杉丸を背後から斬る。
「お前は!?」
上杉丸は血を背中から滴らせながら、静かに倒れた。
上杉丸を襲ったその男は龍の刀を手にし、影の中に姿を消した。
「終わらせてやる。戦いを」




