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第1話 いと慈悲深き戦いよ
虫達の領土争いはし烈であり、いつでも続く悲しき戦いだ。そして今日も、虫達の戦いは続いてる。
剣蟻の巣にて
「来たぞ。火蟻だ。陣形を崩さず、火蟻どもを刺し殺せ」
軍隊のように均等に並べられた蟻達は、剣を持ち、火蟻の腹をえぐる。対して火蟻達は、体に火を纏わせ、剣を持った蟻達に拳を入れる。
「陣形が崩れた。今こそ火蟻の恐ろしさを教えてやれ」
戦場に喚声が響き渡る。
剣蟻達は火蟻の猛攻に耐えられなくなっていた。すでにこの領土争いから3年が経った。もうじきこの戦いに終止符が撃たれる。
ー皆さんは虫を殺したことがあるでしょうか?
それは誰もが行う慈悲深き行為である。だがしかし、そんな虫同士も自分達が生き抜くため、日々を戦いの身に置いているのです。毎日毎日虫は死んでゆく。それが現実である。
そしてここは人間にとってはたった一歩分の地面だ。だが蟻達にはとても大きな地面である。そして蟻達はその地面の下に人間達の言う"要塞"という物を創った。ここを彼ら蟻達はこう呼んだ。
ー"蟻の巣"と