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八百三十八話

 お祭り騒ぎが終わり、何時もの日常が戻って来る……などといった事は、俺達探索者には許されていないらしい。

 イオ達と子供とその親と共に、イベント会場から出て数分後。協会からエマージェンシーコール。一体なんぞや? と思い内容を確認してみると……。


「あらら。まぁタイミング的には良かったのかな? 丁度イオ達も居る訳だし」

「お仕事のお時間って事だね……って事で! 私達はちょっと出ないといけないから、皆は仲良くお家へ帰れるかな?」


 あちらこちらから「えー!」だの「はーい!」だのと言う声が聞こえてくる。

 どうやらまだ遊び足りない子もいるみたい。だけど、こればかりは仕方ないよね緊急事態な訳だし。


 因みに、その緊急事態の内容を口にしないのは子供や親御さんが近くに居るから。

 なので俺は、美咲さんとアイコンタクトを取り、イオ達を呼びながらその場を離れる。今のままだと、装備無しな状況だからな。急いで準備しないと。

 ただ、装備品は全て魔法鞄に入っているので、何処か隠れる事が出来る場所さえあれば問題無い。そもそもお着換えがあるからな……流石にその場でスッポーンと服を脱ぐのはねぇ。




 そんな訳で、俺達は隠れた後にさくっと装備を整えイオ達の枷を外した後、急いでゲートを開いてから現場へと突入。

 

「わー……壮観だな」

「ミャォン!」

「こんなのただ数が多いだけなの!」

「上空一面がワイバーンで埋め尽くされてるね」


 ワイバーンの群れで幾つか雲が出来ている。まぁそんな感じだろうか。確かにこれは緊急事態だわと思う光景だ。


「えっと、こうなった原因だけど。ワイバーンの巣にあったダンジョンが暴走したんだっけか」

「別に誰かが突いたからとかそう言う事じゃないみたいだよ? なんか何処からか丸い何かがダンジョンの中へ向かって飛んで行った……って報告書には書いてあるかな」


 なんだよその丸いモノって。

 ただ、その丸いのがダンジョンに入ったために、ダンジョンは突然暴走してワイバーンの大量排出を始めたという事らしい。


 さて、ここで俺達は一体何をやったらいいかなんだけど。


「防衛陣を敷くのか、ダンジョンへと突入するのかが選択肢なんだけど……」

「水野さん達は、たまたま誰もダンジョンアタックをしていなかったみたいだよ? だから、今は全員で防衛に徹しているみたい」


 とりあえずだけど、相手は空を飛ぶ存在だから何処にでも自由に移動する事が可能。という事は、此処で俺達を無視して、何処かの拠点へと襲撃する事も出来る。

 だけどそんな真似をさせるわけにはいかないので、水野さん達は必至にワイバーン達を挑発しながら要塞にて防衛戦を行っているらしい。


「あー……しまった。これ、ソラ達を連れてくるんだった」

「ま、まぁ……第二陣とかは普通のゲートポートを使ってくると思うから、その時に来てくれるのを期待するしかないんじゃない?」


 冷静だったつもりなんだけど、割と冷静では無かったらしい。

 急いで現場へ! という思いが先行し過ぎていたって事だな。あと、いい具合にイオ達も居たから、これなら十分な戦力があると思ってしまったのも原因だろう。


「颯や天は……一応呼び出しをしておいたから、後から飛んでくると思うけど」

「風ちゃんは元々こっちに来てたからね! って、ほらもう来たよ!」


 ワイバーンに見つからないようにと、低空飛行をしながら美咲さんへと突入してくる風。……あれ? このロケットダイブには何やらデジャブを感じるな。

 ただ、そんなダイブをした風だけど、勢いを殺すコントロールは上手い。綺麗に美咲さんの肩へと着地してみせた。


「風ちゃんおかえり! お仕事お疲れ様」

「ぴゅぃ!」


 風には安全に転移できる場所を確認して貰っていたからな。

 俺達もゲートポートを使って移動しても良かったんだけど、それだとポートの魔力を無駄に使ってしまうもんな。


「しっかし……風からの映像とエマージェンシーコールが同時だったからなぁ。協会の対応も早いよな」

「だね。ワイバーンがダンジョンから飛び出した時点でのコールだもん」


 美咲さんは風からの映像を常にチェックしていたからな。

 映像を確認したと同時にコールが入るモノだから、美咲さんが一番吃驚しただろうなぁ……。


 あ、因みにだけど。

 風から送られてくる映像のチェックは交代順番制。別の映像を見ながら普段通り行動するのは、慣れていても結構疲労するものだからね。なので何時でも動ける様にと、余力を持たせるという意味で交代しながらチェックしている。


「風の見ている場所がダンジョンじゃなく、島側を映していたってのも理由の一つだろうけどな」

「もしかしたらいるかもしれないドラゴン対策だもんね」


 ドラゴンが動き出した時にすぐ対処出来るようにと、風のカメラは海の向こうにある島を映していた。ただ、風自身が異変に気が付いて移動を開始。異変があったダンジョンを見て見たら、ダンジョンからは大量のワイバーンが飛び出していたという訳だ。


「さて、水野さんにコールをして方針を決めないと」

「誰がダンジョンに向かうのかって話もあるからな。あ、でもイオ達は外な? 上空での戦いは得意だろ」

「ミャン!」

「お任せあれなの!」

「プルル!」

「ピィィィ!」


 とてもやる気に満ち溢れているモンスターズ。

 あれだな。枷を付けられた状態でおっさん達と摸擬戦をした後、屋台で色々と美味しいものを食べたのもあって、テンションが馬鹿みたいにあがりまくっているのだろう。

 もしかしたらイオ達だけで十分じゃね? なんて光景に……なる訳ないか。ワイバーンの数が数だからな。無双的な事は出来るかもしれないけど、流石に全てをイオ達だけで狩るのは無理だろう。


「あーあー……水野さん聞こえる? ちょっと離れたポイントに来ているんだけど、どういう感じで動くのがベストかな?」

『援軍感謝! っと、一応聞くけどどれだけの戦力がある?』

「こっちは俺と美咲さんに、イオ・双葉・プル・風のモンスターズで来てる。後はエマージェンシーコールも協会から出されたから、ゲートを使って第二段ももう少ししたら来ると思う」

『まじか! それなら……えっと、まずは遊撃的な感じで動いて貰えるか? こっちで挑発してなるべく動きを制限しているんだけど、それが通じない相手もいるみたいなんだ。もう数匹は何処か飛び去って行ったんだよ……』

「あー……ソレは仕方ないですよ。まぁ観測はされていると思うので、数匹程度なら各拠点に任せても大丈夫だと思いますよ」

『だな。ただそれでも、なるべく逃したくない。だから第二段が来るまでは離脱するワイバーンを上手く狩って欲しい』

「了解です」


 群れから離脱するワイバーン狩りか。

 人数的には丁度良い仕事と言った感じかな? とりあえず、俺と美咲さんは颯と天が居ないから、地上での遠距離射撃が基本になりそうだ。


「って事で、聞こえていたと思うけど。俺達のやる事はハグレ狩りになる。イオ達はかなり移動しながらの戦闘になると思うけど……大丈夫だよな?」

「大丈夫なの! 体力も魔力もMAXな状態なの!!」


 双葉の声に、イオにプルと風も皆良い鳴き声で返事をして来た。これはまた期待出来そうなお返事だ。


「やる気が十分なのは分かったけど、いつも通りで十分だからな? オーバーキルをして無駄に魔力や体力を消耗しないように」

「もちろんなの!」


 返事はとてもよろしい。ただ、このテンションだからなぁ……「あ、やっちゃったの」なんて言いだしそうで、少し心配だ。


「で、俺と美咲さんは地上から援護射撃かな。アンチモンスターライフルをメインにして、ランチャー辺りを……って、ランチャーは止めた方が良いか。余計なワイバーンまで釣る可能性があるな」


 釣るだけなら良いけど、無駄に攻撃を当てた事でワイバーン達を散り散りにする事になりかねない。

 ワンパンで倒せるなら良いんだけど……流石に其処までの威力があるかどうかと問われたらな。アンチモンスターライフルなら一撃で撃墜出来るだろうけど。


「ある程度接近して来たら特弓かな。それ以外の場合は普通のライフルを連射かなぁ……」

「ガトで良いんじゃない? あれでワイバーンの翼膜をハチの巣にしてしまうとかもありだと思う」


 とにかく! 俺達のやる事はワイバーンの戦線離脱者を出さない事だからな。なんでも良いから、とりあえず地上へ落とす事が最優先事項と言った感じだろう。

ブックマーク・評価・感想・誤字報告ありがとうございますだ!(o*。_。)oペコッ



という事で、久々な最前線でのお仕事です。そして対象がドラゴンではなくワイバーンの群れ。それも、お空に一杯の(≧▽≦)

きっとあれです。スイミーって絵本を知ってますか? あんな感じで纏まったワイバーンの群れがいくつもあると思っていただければオッケーですw

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