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七百三話

少し短めです。

 休日を満喫という理由で、俺は美咲さんとペンギンの精神回復の為に村の中を散策する事にした。

 まったりと過ごす時間がゆっくりとではあるが、一人と一匹の表情を笑顔へ変えていく。

 そんな二人を見て、俺は一人うんうんと心の中で頷いた。


「あれ? 公園に居るのゆいちゃんだよね」

「確かに……って、オトモモンスターも居るなぁ」

「クェ?」


 妹とそのモンスターを見る二人と一匹。

 一体何をしているのか? と見ていると、公園にはわらわらと子供達が集まって来たではないか。


「モンスターとのふれあい広場的な感じか?」

「その割には……一緒に居る子って……」


 うん。どう見ても完全装備を纏ったコボルト達。

 その装備も、それぞれのカラーに合わせている。赤・青・緑・桃・黄と何時ぞやのスケッチブックに描いていた戦隊服だ。

 あぁ、本当にアレを研究所に持ち込んで、研究者達も作ったんだ……と、思わず頭を抱えてしまう。


 全力でロマンを求めすぎだろう。


 一体何時そんな時間があったのだろう。最近は〝神鋼〟に〝水中装備〟と仕事で埋もれていただろうに。

 実際、今も研究所はてんてこ舞いのはずだ。

 俺達が精神ダメージを受けながら手に入れたファンタジー鉱石。水中装備の実践データを解析してからの装備改良。

 対空防衛装備の開発だってある。いつ堅殻イカが襲撃を仕掛けて来るか分からないしな。


「あぁ……コボルト達がポーズを取ってるな。これ、コボルト達によるショーだったのか」

「で、でも、ショーの内容が……」


 よくある「ヒーロー助けて!」とか、そう言うモノではない。

 やっているのは、村におけるモンスター対策だ。避難訓練の重要性だったり、村の外が如何に危険かといったもの。

 ……見た目がヒーローショーに見えるんだけどなぁ。


 あぁ、よく見たらウサギやネコ達がお菓子の籠を咥えて子供達に配ってる。

 これはまた、何時の時代の紙芝居的な。

 ただ、子供達に色々と教えるには賢いやり方だとは思うが。


「はーい! この後はモンスターとのふれあいタイムですよー」


 モンスターの危険性を教えるだけでなく、村の中に居るモンスターは安全だと教えるのも必要だという事で、皆で遊ぶらしい。

 わちゃわちゃと公園を走り回る子供達。追われるのはイオやウサギ。コボルトはと言えば、子供達の協力と言った感じで子供達と行動を共にしている。


「……これ、探索者の訓練でやっている鬼ごっこだよなぁ」

「追いかける側は子供みたいだけどね」


 探索者の場合だと、基本的に追われるのは探索者達だ。

 隠れて、見つかり、追いかけられてと、基本的に隠密行動と撤退の訓練と言った感じなのがイオ達が探索者相手に行う遊び。

 それを知っている俺達はと言うと、この状況は実に可愛らしいものに見える。見えるのだけど、子供達は実に真剣だ。


「あ、白いウサギさん……バニラだっけ? あのこスピードを落としてわざと子供につかまってるよ」

「あー……本当は余りよくないんだけど、あの女の子がんばってたもんなぁ」


 基本的に、わざと負けるというのは良くない。

 何故ならソレを行えば良くない自信につながるからだ。「モンスターなんて大したことないじゃん」とか、馬鹿な事を言い出しかねない。


 でもなぁ……あんなに頑張っているのを見るとと言うのもある訳で。


「キュピィ」

「あらら、捕まっちゃったの?」

「キュィ!」

「あ……なるほど。女の子が持っているお菓子が気になったのかな」

「うさぎさんこれが食べたいの?」

「キュ♪」


 なんだかちょっと違うんじゃないか? と思うようなやり取りだが、ウサギがお菓子目的で捕まったと思わせる事に成功したらしい。

 そしてそのウサギはと言うと、女の子の腕の中で、女の子の手から直接お菓子を貰い頬張っていた。


「か、か、かわいい!」


 当然と言えば当然だが、俺の隣では美咲さんの可愛いモノセンサーが反応。

 腕の中に居るペンギンをギュっと抱える力が増していっている。


「グェグェ!?」

「あー……美咲さんや。ペンギンが苦しそうだぞ」

「あ! ごめん、ごめんね!?」


 ふひぃ……とため息を吐くペンギン。本当に苦しかったんだなぁと思うが、それでもペンギンはその腕の中から脱出しようとしない。


「ペンギンよ。またギュっとされるかもしれないぞ?」

「クェ……クェクェ!!」

「なに? その時は俺に任せたって?」

「クエェェ!」


 こいつ……ギュとされたら俺に静止しろと言ってやがる。それなら腕から抜け出せばいいものを。

 ただまぁ、抱きかかえられる感覚が心地いいんだろうなぁ。こいつもショゴスの目玉を目視した訳だし、今も不安を感じているのだと思う。その精神安定の為に、包み込まれるような感覚が丁度良いのだろう。


 やれやれ仕方ないなぁ。


 そんな風にペンギンの事を見ていると、どうやらゆいが此方の事に気が付いたらしい。


「あれ? お兄ちゃん達どうしたの? ……って、お兄ちゃん何処を見ているの?」

「あーちょっと散策にな。見ている場所はペンギンだが、何か問題でもあったか?」

「へーほーふーん……まぁ、そういう事にしておいてあげるね。で、何で散策を?」

「そりゃ、一人と一匹のリフレッシュだな。目的もなくまったりと村の中を歩いているんだよ」

「そっかぁ。で、ゆっくりできたの?」


 ゆっくり出来たかとどうかと言えば、十分ゆっくりと出来ただろう。ただし、今回だけで完全に回復するのは無理だと思う。

 ま、ただしそれは時間を掛けて追々と言った感じだ。


「しっかし、ふれあいと言っているが、やってる事はちょっとした訓練だな」

「学校でやるようなモノとはまた別だしね。ここは皆で思いっきり遊んでもらうって感じかな」


 遊ぶねぇ……最初のショーの時と同じで将来の為に行っているものにしか見えないけどな。


「今日は安全を教える為のショーとふれあいだけど、別の日にはアスレチックのショーもやってるよ」

「アスレチックって……コボルト達が忍者でもやるのか?」

「おー! 流石お兄ちゃんわかってる! そうそう、忍者コスでアスレをピョンピョン飛んでいるよ」


 やっぱりか! と言う事は、その忍び衣装もまた研究所で作られたんだろうなぁ。一体どんな性能をしているのやら。


「しかしコボルト達は染まっちまったなぁ……」

「いったいどんな会話をしているのか気になるよね」


 人間には「ワフワフ」だの「ガゥガゥ」だのとしか聞こえないけど、話が聞こえたら「コボレンジャー!」とか叫んでいるのだろうか。

 それはそれで、しっかりとテイムと言うか調教が出来たって事で良いのだろうな。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます(*'ω'*)



主人公達の見えない場所で、こっそりと頑張っているモンスターです。

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