三百九十四話
考えろ考えろ考えろ! 高速で思考を巡らせつつ、障壁とシールドの維持……うん、厳しい。
とは言え、このまま何もしなければプレスされておしまいだ。何か見落としは無いか? 何でも良い。
「うぅぅ……アラクネモードで抑えても押されてるよぉ。こう、何か弱点属性とかでも有ったらいいのに!」
弱点属性か……土属性や鋼属性で壁でも作るか? いや、それで防げるとは思えないな。むしろぶつかれば壁ごと押してきそうだ。そもそも、風の障壁で防げているのはこれが精霊魔法だからだろう。ウォルさまさまだ。
てか、そもそもレールも無いのに列車関連が走って来るなよ! と言いたい。言いたいが、今は其れ処じゃない。
火はワンチャンあるだろうか? 溶かしてしまえるなら使っていくのも吝かではない。が、溶けきるまで時間が掛かるんじゃないだろうか。
水もウォータージェットで切ると言うのであればあるいは……でも、これって溶かすより時間掛かるよな。こう小説や漫画見たいにスパーン! と一瞬で切るなんて出来なかったはず。ってよくよく考えたら魔法が有る時点でファンタジーな世界に生きてるんだけど。まぁ、実践でいきなり試すのは怖いか。
風なら既にウォルで障壁を張っている。攻撃となれば……あぁ、組み合わせでやれば良い効果が狙えるかもな。
銃系魔法は無理だとして、サークルソー系ならどうだろうか? 斬る事に特化している魔法だから可能性は高い。これなら水だろうが火だろうが何でも行ける気がしなくもないけど……問題は間に合うかどうかと言った処だろうか。恐らく、今切った処で相手の勢いが停止される事は無い。斬った状態で突っ込んで来るだろうなぁ。
となると、衝撃を与えて勢いも止めないとだけど。使うとしたら時空間魔法か? 空間事斬り飛ばして相手を止めるとか。
あ、そういえば……何で雷属性の事を脳内から排除してたんだ。確かにゴーレムだと思っていた、ゴーレムって基本雷属性が通用しないからなぁ。とは言え、こいつらの元って色々な機材を積み込んでいる。なら、選択肢としては有っても良いはずだ。
「他より可能性はあるな。物は試しだ! 美咲さん少し風の障壁を停止するからフォローよろしく!」
「ん! 解ったよ!」
精霊魔法・ウォルの咆哮と雷魔法を合わせて使う。目標はリニアが持ち上がるような感じで!
「ウォル吠えろ!」
「グルァァァァァァァァァァッァ!!」
ほぼゼロ距離からの合成魔法。
渦を巻く風と雷がリニアに大ダメージを与えながらその車体を浮かし始めた。……ただ、至近距離の為にその余波が俺や美咲さんにも!
「やば! 魔法自体は問題ないけど、このままだと竜巻に取り込まれたモンスターに俺達がぶつかる!」
「た、退避!!」
とは言え、周囲からは某吸引力も真っ青な勢いでモンスター達が吸い込まれている。うん、逃げる方向を探そうにも、ほぼ全方向からモンスターが飛んで来ている。
「やり過ぎたか。とは言え、これ何とか回避して距離を取らないとな!」
「だね! ってか、雷系が弱点だったんだ」
「みたいだな。盲点だったよゴーレムとばっかり考えてたから、思考開始するまで無意識に選択肢から外してた」
うん、あの時美咲さんが弱点属性がと口に出して無かったら、今頃違う方法での対処を考えてただろうな。
それにしても、合成系の魔法やばすぎるだろ。此処まで威力が上がるか……。
目の前では、吸い込まれたモンスター同士がぶつかりながら雷撃を受けていい感じに破損して行っている。中には焦げている個体も。
「イオ達は大丈夫か?」
「ミャン!」
「双葉達は吸い込まれないから大丈夫なの!」
よく見ると、物凄い風が渦巻いているというのに風も悠々自適に空を飛んでいる。やはり精霊魔法と合わせればファンタジー系の魔法に属する事になるみたいだ。……化学要素から作られた魔法だとFFがあるからなぁ。パーティーを組むようになってからはあまり使わなくなった気がする。
と、そんな感じで吸い込まれたモンスター達は魔法が切れると同時に、地面へと落ち落下ダメージもプラスされたようだ。
ただ、どうやらまだまだ倒し切っていないみたいで、モンスター達も戦闘可能と言わんばかりに体勢を立て直している。……どうやってひっくり返った車が自分で元に戻っているんだろうな。それに、倒された数は周囲から再び補充されているようだ。総数が減っていない。
「む? そういえば、さっきのウェーブまでは倒しきるまで補充部隊なんて無かったよな」
「言われてみれば……でも今は次々と湧いてきてるよ」
普通に考えればこれがラストと言う事で良いかもしれない。ただ、その場合ボスだと思われる個体のリニアなんだけど、今そのリニアはF三から四クラスの竜巻を直撃した上に雷撃ももろに浴びた訳で……思いっきり反転した状態で倒れ、びっくんびっくんと不思議な動きをしている。……なんか動きが気持ち悪いな。
まぁ、ぶっちゃけ死に体という奴だ。だと言うのにも拘らず、周囲のモンスターは元気いっぱいである。
「何か違うのか? でも解らんからさくっと倒し切ってしまおう」
「どうやるの?」
「マナブレード。これを雷魔法で発動させて……っと」
形はもちろん巨大ハンマー型。なので、皆大好きトールハンマーとでも名付けようか。
という訳で、バチバチとスパーク音を鳴らすハンマーを思いっきりリニアに向かって叩きつける。
「あらよっと! 他が動かない内に止めだ!!」
ズガーン! と、まるで落雷でもしたかのような音を響かせながら、トールハンマーはリニアの腹? まぁ、床下危機などが有る場所に直撃。
その衝撃で、リニアがドン! と浮かび上がってから落ちるという……何と言うか、人間に電気ショックを与えた時みたいな動きをしたけど、こいつ……生命体じゃないよな? さっきから生き物に電気を送った時みたいな動きをしやがって。
とは言え、それが止めになったのかリニアは完全に停止した。……したのだが、予想外と言える事が起き始めた。
カンカンカンカンと高い音で遮断機が下りる様な音。それと同時に、駅が再び二つに分かれ……中から真新しいリニアがひょっこりと。
「ちょっと待てえええええ!! こいつボスじゃないんかい!!」
「電車が! 他の電車も補充されてるよ!?」
どうするんだよこれ! あれか? こっちと魔力の残量勝負というやつか? 間違いなく俺達が負けるんだけど!!
「あれか? 攻略法が違うってパターンか!」
「えー! でも、他に倒せそうなモンスターとか居ないよ! もしかしたら同時に全部倒せとかかも?」
「其れこそ無理だろ!! どうやって走り回る電車や車を同時に破壊するんだよ……」
弱点属性は解ったからある程度は対処出来る。なので、長期戦にすることは可能だけど決定打が無いという状況か。
何か見落としでも有ったか? 特に何も無かった気がするけど。でも何かヒントは有るはず。
「何でもいいから気が付いた事ってない? こう、モンスターが一番出現している場所とかでも何でもいいから」
「うーん……ちょっと解らないかな。破壊された場所は何処も直ぐに修復されているし」
逆に小型のモンスターがボスだとか? でも、小さいと言っても軽自動車が一番小さいし、軽自動車の場合大体が巻き込まれて破壊されている。うん、討伐漏れは無い。
「あ! 一つだけ気になるところがあるの! FFも建物の破壊も気にせずに駆けまわっている、電車や自動車が絶対寄り付かない場所があるの!」
あれ? そんな場所有ったっけか? でも、双葉の言うそれが正しいなら……其処に何か確実にある気がする。
そしたら、其処の確認をするとしますかね。
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ゴーレムって万能っすよなぁ。




