三百九十一話
大量の魔石を風の精霊ことウォルに貢いで地下街を前進していった。まぁ、魔石自体はこの場所でもポロリと落ちる事も有るし、その魔石はオークよりも質が良いので採算的にはプラスマイナスゼロと言った処だろうか。……ただ、ウォルの機嫌的にはマイナスなのだが。
と、まぁ、そんな感じでウォルの機嫌を生贄に進んだ結果、上手い事地下街から出られる場所を発見。とは言え、其処までに数時間は掛かったんだけど。
「ウォルありがとうな。とりあえずこれであのモンスターラッシュからは抜け出せそうだ」
「ワフ!」
「解ってる解ってる。安全な場所を見つけたら休憩がてら魔力の供給だろ」
「……何と言うか、こう見ると精霊さんとの契約って言うのも割と大変なんだね」
『美咲よ、それは遠回しに妾達の相手が大変と言っているのか?』
「言って無いよ? たまに魔剣さんが暴走する事に対して思う処は有るけど、先生には凄くお世話になってるし!」
「ちょっと!? それはコッチの魔法無効化の奴の事だよナ! ナ!」
「……どう考えても炎の事」
「ノゥ! 嘘だと言ってよマスター!」
少し騒がしい。けどまぁ、地下から上がる最後の階段では、今の所モンスターが襲ってくる様子も無いのでこれ位は良いと思う。うん、今まで絶え間なく襲って来たモンスターの対処をしてたからな。マジで息抜きがしたい。
とは言え、階段で休憩出来るかと言えば……正直無茶がある。だってこの階段……いや、階段というよりエスカレーターだからな。じわじわと上に上がってるんだよね。このまま立ち止まっていても外に出てしまう訳だ。
「なので、今の内に装備やアイテムの整理だな」
「だね! えっと、ランスは問題無し……矢のストックはまだあるかな。あ! 結弥君魔石のストック大丈夫? 私も幾つか持ってるけど」
「ありがと、でも大丈夫かな。使った分は補給出来てたし。うん、銃弾もまだ余裕はあるな」
「双葉の弾もまだ半分以上残ってるの! ポーションは少し減っちゃったの……」
「そっか、じゃぁポーションの補給をしとこうな」
エスカレーターが上がり切る前に装備品の点検をすませてから、次にどうするかを話し合う……まぁ、その為にも既にドローンが飛んで先行調査をしていたりする。……因みにドローンを操作しているのはアラクネアーマーから出ているアームだったりする。……多才過ぎませんかアラクネ先生。
『ふむ、外の様子は今の所いたって普通と言った感じだな。何も動いておらんのだが、お主等何か違和感がある場所はあるか?』
「うーん……どう見ても駅前って感じだよね」
「こう、車がくるくる回れるロータリー? があって、その中心に渦を巻いたオブジェ……後はバスやタクシーが止まっているぐらいか。何と言うか同じなんだけど全く違う駅前って感じだよな」
所々違うんだけど、何が違うのかもう解らない。だってもう何年も見てなかった訳だし。そもそも、都心の駅に足を運ぶこと自体少なかったしなぁ……学校に行く時も立ち寄る必要のない場所だったし。
「とりあえず何も無いのであれば……先ずは安全の確保から始めるか」
という訳で、タイミングよくエスカレーターが一番上まで上がり、此処からは新しいフィールドに入ると言う訳だな。
なので先ずはとドローンでは解らない調査を細かく開始。まぁ、魔力探査やら実際に触れて見たりする事だけど。
「む! 結弥君! 大変だよ、駅の中に入れない!」
「不思議な壁があるの! コンコン叩いても開かないの!」
なるほど、と言う事は次はロータリー側で戦えと言う事か? 地下鉄で電車に襲われた時点でもう次に来るの想像が出来てしまうな。
「……あれだな。次戦うのそこで止まってるバスやらタクシーじゃね?」
「あ! 駅の中に入れないから、戦闘が起きそうな場所って……そっかぁ。と言う事は衝突事故注意?」
「……いや、相手はどう考えても轢きに来るパターンでしょ。事故じゃないよ」
ただ、現状動く様子が無い所を見ると……うん、此処は少し駅前の壁を利用して休息と行こうか。
と言う事で、植物ダンジョンのマスターからごうだt……頂いた茶葉を使ったお茶と腹ごしらえをしながら、ウォルに魔力を与えつつ、まったりと体力と魔力を回復させていく。
まぁ、警戒はしてるけど何やら相手の動きも無い。互いに様子見と言った処だろうか?
「さて、さっきも話したけど恐らく次はロータリー側で車相手だと思うんだ。で、空間自体は広いからさ……此処は一気に先制するのが正解だと思わないか?」
「先制……って言っても、攻撃する対象物がないよ? 魔力反応に引っかからないし」
「其処はスリープ状態だからじゃないか? 明かに怪しいじゃん。あのバスとかタクシー」
「うーん……確かに魔力探査を信用しすぎるのも問題なのかなぁ。車だったらエンジンをきって置けば探査に引っかからないのも有り得るかも?」
「はっ! そうなの! 引っ掛からないの! 村で利用してるあの不思議な乗り物も、動いてない時は探査をスルーするの!!」
「あ! そういえばそうだった!」
うん。だからこそ、其処にある乗り物たちは全て黒に近い灰色だ。モンスターの可能性が非常に高い。
だったら、先に全てぶち壊すのも有りだよね。身の安全を考えればさ。
「ただ、問題は次に何が出て来るかだよなぁ……ここらにヒントは無いし」
「うーん……地下街からモンスターが上がってくるってのは?」
「有るかもしれない話ではあるけど、態々対処済みのモンスターを襲わせるか? と言う疑問はある。まぁ、車と連携してってのは有るかもしれないが……マネキンだと車にひかれて粉砕だろうし、小物達だとそもそもこの広い空間を活かせないんじゃないか?」
多種多様の小物達は、あの限定された空間だからこそ強みを発揮することが出来た。何せこっちの逃げ道が無い訳だからな。
そんな場所で四方八方から襲ってくるシールドを破壊出来る刃物や爆発する駅弁。うん、実に恐ろしい配置だったと言える。
だけどさ。今度のフィールドはそんな限定された通路では無く、逃げる場所がある広い空間……まぁ、野外だ。そんな場所だと小物達の強みは活かせない。むしろ、下手をしたら爆発駅弁が車にぶつかってドーンと自爆だ。
「という訳で、出て来る可能性は低いかなと予想はしてる」
「うーん……でも他に何も無いよねぇ」
「戦闘が始まらないと解らないってパターンかなぁ……」
ネットゲームにあったウェーブ系の奴だろうか? まぁ、防衛する拠点は無いので、自分達の身さえ守り切れば良いんだけど。
「とりあえず、開幕は破壊工作から行こうか。車の下にグレネード転がして行けば……まぁ何とかなるでしょ」
「えっと、今見えてるのは……バスが四台でタクシーが七台だから、十一個グレネードを用意かな」
それにしても、こう何か忘れている気がしなくもないが、それはたいして問題が無い事だろうか? こう、致命的でなければ良いんだけど。
うーむ、実にもやもやとするけど、思い出せないのではどうしようもない。
「それじゃ、十分休息も取ったしそろそろ戦闘を開始しようか。俺と美咲さんと双葉で投げ込むとして、俺が二個、美咲さんが二個、双葉が一個と……まぁ、このままだと数が足らない訳だが」
「其処は私のアラクネアーマーを使えば大丈夫だよ」
「双葉も! 双葉も蔦でいけるの!」
「よし! なら、残りの六個はアラクネ先生と双葉に任せようか」
「あ、あれ? アラクネ先生なの? 私じゃないの?」
「いや、だってアラクネアーマーのアームを制御するの……先生でしょう?」
『よう解っておるな。うむ、任されよ!』
「あるぇ……うん、まぁ、確かにそうなんだけどね」
ま、美咲さんとアラクネ先生は一心同体だから、結局どっちがやっても美咲さんとアラクネ先生がやったって事で! さてさて、それじゃ……もやもやしてるけど開幕の狼煙として爆破祭りといきますか! もやもやも戦い始めたら思い出すだろうしな。
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アレを忘れているんですよアレ! 妹ちゃん達と一緒にみたでしょ!(ぁ




