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三百八十八話

 ゆったりと休息を取った後、城の地下に向かった。

 そして、其処で見た物はと言えば……。


「小型のブラックホールか?」


 と、そんなイメージを受けてしまう様な黒く渦を巻いたモノ。

 リッチがカタカタと骨を震わせながら「カカ、それがゲートである」と、楽しそうに説明を始めた。


「このゲートの先にある場所へと向かう際、このゲートを使うのが一番安全だろう。地上を行くルートもあるが……お主等も色々と何かを感じとったであろう? その何かの力でまともに進めると思わぬ方が良い」


 なるほど……確かに都心に向かおうと思ってもなんらかの縄張り主張みたいなものを感じた。

 その為に、俺達は周囲をグルリと回るように調べるところから始めたんだしな。


「とは言え、この先に何があるかは吾輩にも解らぬ。ただ、吾輩がこのゲートを利用して彼方の魔力を取り込んでおるからな、大したものは準備できぬはずだ」


 まぁ、何かを設置したりモンスターを突撃させようとしたとして、用意したと同時に魔力を吸収されてしまえば……うん、無駄でしかないか。

 と言う事は、入ってすぐは安全地帯と言う可能性が高いという訳だ。


「リッチは自分で襲撃しようとは思わなかったのか?」

「吾輩がか? それは厳しいだろう。吾輩はこのダンジョンのマスターであるからな、少し離れてしまえば何者かにダンジョンを奪われるか、ダンジョンが崩壊してしまうであろう」

「それなら、作り出した甲冑達を行かせるのは?」

「そちらもどうだろうな。ダンジョン外で活動させるならまだしも、違うダンジョンにモンスター行かせるという事はモンスターの支配権を奪われかねん。確かに他のモンスターよりもそう言った技に対抗できるだろう。何せ吾輩が作り出したモンスターだ……とは言え、長い事違うダンジョンで活動させればどうなるかは解らん。そして、モンスターを奪われてしまえば……折角の火縄銃や炮烙玉などが奪われるだろう」


 あー……そういった問題もあるのか。

 今まで倒して来た高難易度ダンジョンのマスターは、自らの意思が無い状態だったからな……全く想像する事すら出来なかった内容だ。


「故に、お主等に頼むという訳だな」


 とは言え、それらを回避する技術自体は村に存在している。まぁ、イオの首輪を基に魔道具を作り出したのだからな。

 ただ、その技術を安易に教えて良いかと言われるとノーだろう。村の研究者が頑張って解析し開発した結晶だ。そう簡単に俺の判断で外へと出していいはずが無い。……が、このリッチとは友好関係を築けるだろう。

 となれば、今は保留にしておき、村へ戻った後に技術を教えるかどうか話をするべきだろうな。まぁそれに、このゲートの先に行く以外、リッチにその技術が必要かどうかも解らないし。うん、後回しでいいだろう。


「それじゃ、準備も完了しているし、この先に行ってみるけど……先ずは様子見かな?」

「何時ものアレだね!」


 そう言って、俺が取り出したのはドローン。うん、お決まりの先行調査だ。


「ほう? 何やら面白そうなモノを持っておるな。吾輩が見ても良いだろうか?」


 あ、さっき技術がとか考えていたのに、さっそくコレを見せてしまった。うん、リッチがまだ居るとは思わなかったからなぁ。

 ただまぁ、居るところで出してしまったのだ。どうしようもないし、今更みちゃだめ! などと言えないだろう。それに、ドローンぐらいだったら彼であればモンスターで代替え出来るだろうしな。


「えっと、まぁ、大したものでは無いですが」


 と言いながら、ドローンをコントローラーで操作して空中へ浮かせる。


「ほう……ほうほう! この四隅にある回転して居るモノが風を起こして空を飛んでおるわけだな。ふむ、中々に面白い。しかも、魔法を使わぬか……」


 なにやらブツブツと言いながらリッチは思考を始めた。何か利用方法でも考えているのだろうか。

 まぁ、それならそれで問題など無い。兎に角このゲートの先の様子を調べて見なくてはな。


「それじゃ、美咲さんドローンを進めるよ」

「了解! モニターをしっかり見ておかないとね!」

「双葉も見るの!」

「なら一緒に見てようね」

「ねー」


 ブツブツしている横でほのぼのとした空間を作り出す……うん、実にカオスと言える。

 と、それは良いとして、さくっと調査開始しますか。


 ドローンがゲートを通り、その先に進んで行ったのをモニター越しで確認。良かった……ゲートを通ると言う事で、ドローンとの繋がりが切れるかな? と少し思ったけどどうやら有線式である為か何一つ切断される事は無かった。

 とは言え不思議なものである。何故コードは切断されず繋がったままなのだろうか? まぁ、これはダンジョンの入り口を出入り出来る時点で同じことが言えるんだけどな。

 ただ、ここら辺の事は俺達が考える事では無い。レポートを書いて研究者に丸投げ案件だ。

 今、俺がやらないと行けない事は、ドローンから送られて来た映像を見て情報を収集する事。


「って、これ何だろう? 地下鉄?」

「線路みたいなのは見えるね。後、狭いし暗い!」

「柱が並んでるの。でも、何も居る感じがしないの」


 ホームではなさそうだ。ただ、リッチの言う通り安全地帯なのだろう。何かしら敵対しそうなものは何も映りだされていない。


「ほう! このような遠見の道具まであるのか! ふむふむ、構造はどうなっておる? 魔法で再現できるであろうか……むむむむ」


 あ、リッチがまた思考しだした。やっぱりあれだ、このリッチ……珍しいモノや新しいモノ好きだ。

 モニターを中心にグルグルと周りを歩きながらモニターを見ているけど……構造で大切な部分はモニター内部だよ? 外をみてもただの箱と変わらないから。


「ぬぉー! 見ただけでは魔術式が解らん! と言うよりも、何処に式が描かれておるのだ!」


 骨の指で髑髏の天辺をがりがりと掻くリッチ。生前の癖だろうか? 確かに解からないと頭をぼりぼりと掻く人っているからな。


「解体! そう、解体させてくれ!!」

「ダメですよ!? これ、まだまだ使うんですから!」

「そこを何とか! 後生だ!!」

「あなた既に死んだ後でしょう!?」


 見せてしまったモノだし、リッチ相手だから渡すのも吝かでは無い。

 だが、これはまだまだ使う可能性がこの先ある。村に戻るなら問題ないんだけどねぇ……。という訳で現状リッチのお願いは許可出来ない。


「まだ、この先で使う事も有るかもしれないので今は無理です!!」

「今と言ったな! 後なら良いのだな!」


 ……なんだろう。リッチが地面でジタバタと手足を振り回す子供に見えるぞ。どれだけ気に入ったんだ……ただのモニターが。

 とは言え、これは現代科学と魔法の合併作。と言うか、エネルギー周りだけ魔力と言っても過言では無い。と言う事はだ……基本的な映像を移す技術は化学の範囲であり、解体した処でリッチに理解できるのか謎だ。


「恐らく理解するのが大変だと思いますけど……まぁ、こちらの代表と言える人と話し合ってみます。説得はしてみますけど」

「何、人の世の理は理解しておる。お上がダメと言うたらダメなのは道理。とはいえ……気になる。こちらでも何かメリットを用意する必要があるかもしれぬな」


 ……何と言うか、少し調べるだけなのにかなり時間を喰ってしまったな。と言うか、このリッチと研究者を合わせるなんて事は絶対に回避した方が良いだろう。間違いなく、とんでもないモノを作り出すイメージしか出てこないぞ。


「っと、入った先は大丈夫そうなのでそろそろ行って来ます」

「うむ。気を付けるのだ。吾輩のもにたぁとやらの為にも!」


 モニターが優先かい! ただ、気を付ける必要はあるだろうなぁ。何せ暗くて狭い地下鉄っぽい場所だし。


「それじゃ、美咲さん、イオに双葉と風。突撃するよ!」

「「おー!」」

「ミャン!」


 ぴょんと飛んでゲートに突撃。

 中にはいると、何やらグニャっと一瞬視界が歪んだ気がするけど、直ぐに視界に映る光景が変わり……モニターで見た地下鉄へ。


「……ふむ。音も無ければ振動も無いか」


 どうやら電車が通っている気配は無い。と言うか、今も動いてたらある意味凄いよな。いったい誰が動かしたんだ? って話だし。


「しかしこれ、前に進めば良いのか? こう、線路の上を歩くってなんか悪い事をしている気分になるんだけど」

「人が歩くようの場所とかあると思うけど……別に良いんじゃないかな? 廃線確定な訳だし!」

「イオちゃん突撃なの! けん、けん、「にゃん♪」」


 ……モンスターが出ないからってはっちゃけ始めたな。レールを利用してイオと双葉が遊んでるぞ。

 ま、それに道としては一つしかないみたいだからな。モンスターが来たら直ぐに解かるというものだ。


「とりあえず、前へ進むとして……いったいこの環境でどんなモンスターが出て来るのやら」

「地下だし……モグラとか?」


 さて、モグラだったら光魔法が活躍しそうだけど、こんなコンクリートで固められた場所にそんなモンスターが出るかねぇ? 何と言うか、悪い予感しかしないけどどうしてだろうか。

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新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
[一言] 惜しい、ブラックホールならばそれを基にばあ様が縮退炉を造れたのに! そうなれば電力なんて使い放題!電磁投射砲も作れば村の防備は万全!
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