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三百八十四話

――美咲――


「うーん……真っ暗だね。結弥君の返事も無いし、はっ! コレって良くある精神破壊系の攻撃!?」

『妾達が居るのだから、精神を破壊される事は無いと思うがな』


 確かにアラクネ先生や魔剣達が居るから孤独感も無い。おかげで随分と気分的には楽だけど……結弥君は大丈夫かな? だって彼には会話をする相手とか居ない……あ、豆柴ちゃんが居たか、それなら大丈夫かな。


「でもさー、何でこの魔法何だろうね? 普通に攻撃系の魔法で攻められたら、あの包囲された状態だったし私達ってじり貧だったと思うんだけど」

『うむ、自爆覚悟で全力の魔法を使うか、一方的にやられる以外無かっただろうな』

「く……不甲斐ないぜ。魔剣であるのにも拘らず、あの甲冑をバターの様に切り裂けないとは!」

「……炎属性の魔剣だから仕方ない。アレには対魔効果が付いていた」

「いいよなぁ! お前は魔法効果を無視出来るから、結構戦果上げてたみたいだしぃ?」

「……適材適所」

「まぁまぁ二本とも……喧嘩はしないで如何したらここから抜けれるか考えようよ」


 と言った処で、やれる事は全て試したんだけどね。

 光魔法もダメだった、他の属性の上級バージョンも、光と他のを合わせた複合もダメ。

 では武器は? と考えたけど、最大火力であるアラクネアーマーの特殊弓が無駄だった時点でお察しというやつ。


 なら、「魔法を無効化する魔剣なら……この空間を断ち切る事って出来るんじゃないの?」と言うのは既に聞いた後。

 どうやら、この空間が既に特殊な物みたいなので幾ら斬った処で意味が無いらしい。魔剣が言うには、水中に刃物を入れたところで刃が濡れるだけだろう? それと変わらないと言う事だそうだ。

 確かに、水中で刃物を振り回したところで……その場を切って空気がある空間にするなんて出来ないよね。水の流れが出来るだけだ。


「うーん、やっぱりこの空間にした理由ってのが有るんだよね?」

『だろうな。もっと会話をしろ……と言う事かもしれんな。それなら先ずはお互いを知る為に過去の馬鹿話でもしてみるか』


 そんな感じで始まったアラクネ先生がアラクネをしていた頃の話や、私自身の幼少期から今に至るまでの話。

 色々と語り合ってみた。偶に炎の魔剣が「自分は!」と入って来て、無効化の魔剣が「……暑苦しい」と突っ込みを入れるのはお決まり。


「……へぇ、その魔剣達は元々アラクネをテイムしていたマスターさんが持っていた魔剣なんだ」

『うむ、あの者は妾が幼少期の頃に森の中で怪我をしていた時に出会い、一緒に様々な場所を冒険したものだ』


 人に歴史有りとは言うが、モンスターにも確かな歴史があるみたい。

 そっかぁ、アラクネ先生と魔剣達はそんな昔からの仲だったんだね。てっきりアラクネを討伐しに来た人の装備品を奪った物だとか思ってたよ。


「む、今のマスターは我等の出会いに吃驚しているようだな! そうとも、俺達は戦いあって出会った訳じゃない。共に同じマスターを助け合う同士だったのだよ!」

「……少し形は変わったけど今と一緒。アラクネが魔剣のマスターをしていたのは、他に使える者が居なかったから」

「ま! 姫扱いしていたのは昔からだがな! あのマスターがアラクネを姫扱いしていたから、俺達も自然とそうなったのさ」


 すごく楽しそうに三体が過去話を教えてくれる。うん、なんだかほっこりするよね。

 とは言え、そんな一人と三体の関係は当然だけど、寿命と言うモノに阻まれてしまう訳で……テイムされたアラクネはマスターの死により望まぬ開放をされてしまい、魔剣達と共に野良モンスターとなって、人の迷惑にならぬ場所へと隠れる様になったんだって。


『ま、今はモンスターなどで無く魔装だからな。野良に下り隠れる必要も無い。妾達のマスターであるお主がしっかりと子にでも託せばそれで済む話だ』


 こ!? 子供って!! まだ、そんな、相手すら居ないよ!? 少し気が早すぎるんじゃないかな!!


『ま、お主達のやろうとしている事は理解している。なに、死なずに受け継ぐ者を作ればいいだけだ』


 アラクネの言葉に魔剣達が頷くように揺れている……。むむむ、そんな事を言われてもなぁ。


「解ってる、解ってるぜマスター美咲さんよ。目的を達成しなければ他に目なんぞ向けられないってのはな」

「……こういう処、あのマスターと同じ。……まぁ、性別は逆だけど」

『実にもどかしい話だな。あの時も……はぁ……』


 何やら三体が遠い目をしている……気がする。

 ただ、何となく。何となくなんだけど、三体との心の距離? が短くなった気がするよ。もしかしたら、コレなら色々と出来る事が増えるんじゃないかな。




――メイン――


 さて、豆柴から精霊と言うモノの存在を色々教えて貰った。

 精霊と一纏めにしているが、実はかなり違う存在と言えるだろうモノも居るらしい。例えば、〝神樹の森〟を守っていたあのちっこい奴等。あれも精霊に該当するそうだ。

 ただ、彼等は〝神樹〟もしくは〝世界樹〟によって自らの守り人として作られた存在。樹精と言った感じらしいが、それらは人と契約などしないタイプ。……ただ、双葉であれば契約出来るのでは? との事。まぁ、双葉って樹木系のモンスターで瘴気などに侵されている訳でも無いからな。


 他にも、属性系の精霊には低級・中級・上級・大精霊なんて存在が居るみたい。そして、それらは全て魔力から生まれ出ている。

 で、そんな彼等は気に入った魔力を持つ人や魔族や獣人と契約をして、魔力を餌として分けて貰う代わりに力を貸す。……うん、ここら辺は豆柴が俺の魔力をパクパクしているから何となく理解出来る。

 と、此処でふと思うのが、魔力があれば誕生する……と言うのであれば、世界は精霊で埋め尽くされていないか? と言う事だが、どうやらそうはならないらしい。


「わふ! くぅーん」

「なるほど。精霊の総数は〝世界樹〟が管理しているのか」


 と言う事は、豆柴との関係ってあの〝神樹の森〟で交渉して、悪い関係にならなかったから契約出来たのかもしれないな。うん、あの時にあのチビ達と敵対して居なくて良かった。

 何せ、あそこにあるのは恐らくだけど〝世界樹〟と呼ばれるモノ。幾ら魔力が好みだとしても、そんな〝世界樹〟に嫌われてしまえば契約など出来なかっただろう。

 てか、〝神樹〟とか〝世界樹〟って色々呼び方が錯綜しているけど、豆柴は〝世界樹〟って言ってるし、これで統一するように協会へ話をしてみるかな。


 と、それはまた今度にするとして、そんな精霊である豆柴の属性は解っている話だが〝風〟だ。

 そして、階級はと言えば……。


「大精霊一歩手前の上級なのか」

「ワフゥ!」


 ドヤァ! と胸を張る豆柴。いや、頭の上にいるからその姿は見れないけど。

 それにしても吃驚だな。精霊と言えば有名どころは〝シルフ〟や〝イフリート〟と言った存在。まぁ、それはこっち側のお話の中での話だが。

 ただ、そんなイメージ上の精霊に手が届くレベルに居るのがこの豆柴なのだろう。そりゃ強い訳だ。


「其れだけ強い力を持っているからこそ、俺が壊れないように色々と制限やら調整やらしてくれていた訳か」

「クゥン?」

「いやいや、駄目じゃない。おかげで助かってるよ」


 うん、下手に豆柴の全力を受け止めたら俺は再起不能になっていた可能性も有る訳だからな。


「それにしても、今だと俺はどれぐらい豆柴の力を受け入れられるんだ?」

「……クォン?」

「解らないかぁ……豆柴の名前を知ってリッチの言う本来の〝精霊憑依〟をモノにする為にも、先ずは其処から解決する必要がありそうだな。よし! 少しずつ出力を上げて貰って良いか?」

「ワン!!」


 このまま豆柴とまったり会話をしているのも良いけど(一応、魔力操作の訓練など座りながら出来るものはしているが)、そろそろ先に進みたい処ではあるしな。てか、本当どれだけ時間が経ったのかすらわからない。

 美咲さんが無事なのか、イオ達が寂しがっていないか、そういった事も気になるしな。……それに、空腹を感じないと言うのも実は不味いのでは? と思っていたりする。

 なので、打開策を探す為にも此処は少し無茶をしてレベルアップを図るべきだろう。


「とは言え、壊れるのは不味いからな……豆柴、じっくりじわじわで頼む」

「……ワフ」


 なんかしょうがないなぁと言った雰囲気だけど、仕方ないよね。ま、これまでしっかりと調整してくれた豆柴だからな、実績は十分だ。

 信頼してるからな! 頼んだぞ。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!!


話のタイトルを入れるなら〝語り合い〟ですかね。

お互い良く知りましょうと言う事です。

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新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
[一言] こんな時にするのがコイバナとは、世界が変容しようともJKは変わらないという事でしょうか。結弥君と豆柴は真面目に対策考えてるのに・・・
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