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三百三十七話

 アラクネとの戦闘は一進一退……いや、進んではいないから全退かもしれない。

 数で言うのならこちらの方が上だ。幾らアラクネに手足がいっぱいだと言っても所詮は一体。だと言うのにも拘らず、基本的なスペックは相手の方がかなり上なのだろう……此方が肩で息をしているのにアラクネは平然としている。


 武器の質。

 アラクネが使っている魔剣はどのような鉱石を使っているのか解らないけど、内容自体其処までかけ離れている物では無いと思う。

 

 魔法。

 これはもうどうしようもないだろうな。単発やら小さい魔法はアラクネの足にある殻で受け止められ、数が多かったり威力などが大きいモノはアノ魔剣でかき消される。

 逆にアラクネの魔法は、此方もマナシールドを展開して防いでいるのでお相子と言った処だろう。


 このように比較してみると解るけど、武器と魔法に関しては引けを取っていないハズなんだ。

 それでもアラクネに押されると言うのは、俺達のレベルと言うかスペック、もしくは数が足らないと言う事何だろう。……ただ、この屋敷の広さから考えて、人数がこれ以上増えてもなぁ……今度は逆に身動きがとりにくくなって大変かもしれない。


「キィキィ」

「何だろうな。遊んでるのか? 実に楽し気じゃないか」


 実に軽い感じで鳴いてくるアラクネ。勝ちでも確信したのか、「他に無いの?」 とでも言っているかのように見える行動を取って来ている……気がする。


「むぅぅぅ……ボール系もアロー系もサークルソード系も通じないよ」

「弾丸系もな。設置系のウォールとかも掻き消されるし、魔法は身体強化と回復に回した方が良いかもな」


 とは言え、其れをやった処で遅延行為でしかないのもまた現実。

 何か突破する切っ掛けと言うか方法があれば良いのだけど……どう考えても、今余裕と舐めプされているだろう事ぐらいしか思いつかないな。


「ミャン!」

「えーい!」


 イオがシールドを展開しながら突撃。もちろん双葉が専用の銃で乱射しながらだ。

 しかし、アラクネはこれも冷静に対処。華麗なジャンプで頭上の蜘蛛糸に足をのせて回避。……まぁ、もう何度目かになる突撃攻撃だからな。相手も対処法は学んでいる。

 では、何故イオ達はこの行為をするかと言うと、まぁ、俺と美咲さんが少しでも休憩できるタイミングを作ったり、押し切られそうになった時のフォローの為。アラクネもどうやらこの攻撃は避けるしかないみたいだしな。


「……相手に合わせて近接武器を使ってたけど、もしかして銃の方が良いか?」


 物は試しだ。どうせシールド展開が有る訳だし、片方の剣鉈は一度しまってハンドガンを使ってみる。

 丁度タイミング的には相手が飛び下がったのだから都合が良い。直ぐに持ち替えその場で射撃を開始。


「シシ!?」


 双葉以外は撃つ初めての実弾に驚いたのか、アラクネは一瞬声を上げたものの後は冷静に体を捻って回避。まぁ、弾丸一発程度じゃそれで充分か。

 ただ、これで解ったのは物理的な銃弾なら相手は避けるしかないと言う事だ。であれば、命中させる事が出来ればダメージが通るだろう……命中させられればだ。


「どうやってって話なんだよな……」


 双葉の銃弾もこれまで難なく避けて来ている訳だし、美咲さんの強化された矢も何の問題も無く対処されている。

 正直アラクネを中心に四方八方どころか、上下前後左右全ての空間をタレットとかで埋め尽くしたい気分だ……まぁ、そんなもの無いけど。

 ……いや、それは無理だとしても一ヶ所に絞るのは出来るか? 問題は、どうやってそのポジションに持って行くかだけど。うーん、一度使えばその後は対処されそうだからと使っていない道具を使ってしまうか。

 という訳で、全員にサインを送り準備を済ませる。


「よし、それじゃ次はこれだ!」


 アラクネに向かってグレネードを投擲。ただ、このグレネードは閃光手榴弾。

 なので、爆発はアラクネの目と耳をダイレクトに襲った。よし、これなら行けるだろう。


「射撃! しつつ退避」


 恐らくアラクネに声は聞こえていないだろうけど、念のために後半は小さい声で。


 ただ、このアラクネ。銃弾や矢が飛んで来ているのを理解しているのか、目と耳がやられているはずなのに屋敷の中を跳ねたり駆けまわったりして避けている。……なんて奴だ。

 とは言え、此方としてはこのタイミングで命中させれると思ってはいない。撤退する事に意味が有るからな。


「さて、玄関外まで撤退出来たけど、そろそろ回復してるんじゃないかな」

「此処で迎え撃つんだよね? えっと、配置が」

「イオ達と美咲さんは左右に、風は上空で。正面は俺だね」


 さて、アンチモンスターライフルをぶち込む最大のチャンスだろう。どうせ相手は此方の位置を認識しているハズだ。それなら……玄関から飛び出してくるのでは? と言う事で、アラクネで退路を屋敷の中のみと言う方向に絞り、此処で弾幕を張ると言う訳なんだけど。


「それだけじゃぁ物足りないよな」


 という訳で、アラクネが駆けて来るまでの間に出来るだけ仕掛けをしておく。




「シィ……キィィィィィィィィィィィ!!」


 屋敷の中から、舐めプをした結果良いようにやられた為か、アラクネが発狂でもしたかのような鳴き声が響いて来た。


「お、回復したみたいだな。これは、そろそろ来るんじゃないか?」

「うー……大丈夫かな? 激怒状態で全部耐えられちゃったりして」


 ……美咲さんそれは有り得そうな話だけど、フラグになるから口にして欲しくなかったぞ。

 そうんな思いを込めて美咲さんをじっと見る。……なんで其処で笑って手を振って返してくるんですかね? あ、ガッツポーズだがんばろーって事? そうだね、頑張りますか。


 と、そんな事をしていたら、屋敷を揺らす振動……そして、玄関から飛び出て来そうなアラクネ。


「今だ! 撃ちまくれ!!」


 落ち着いてアンチモンスターライフルの引き金を引く。

 それを皮切りに美咲さんは弓を、双葉は専用の銃を、風は上空から風属性の散弾魔法を……散弾魔法!? 何時覚えたんだ……。

 一方向にしか退路がない状態。しかもアラクネはトップスピードに乗って前進しかできない状況だ。これで回避なんて出来るはずが無いよな?


 と、そう考えていたんだけど……風の散弾魔法は魔剣によりキャンセル。美咲さんの矢は火の魔剣により斬られながら燃え、双葉の銃弾は糸により減速しながら着弾したのでダメージは無し。

 そして、アンチモンスターライフルの弾丸はと言うと……。


「シャァァァァァァァァァァ!」


 蜘蛛の糸と第一の前足二本と触肢一本を使いある程度程度威力を削いでから、蜘蛛の体にある口が弾丸を噛んで止めてしまった。


「はは……切り札のアンチモンスターライフルを止めるとか、化け物過ぎるだろ」


 殻に守られた前足二本と触肢を削れたとは言え……その程度の戦果だ。しかもアラクネにリジェネ効果でも有ればその内に生えてくる可能性だってある訳で。


「……失敗だな。だけど、まだまだ仕掛けはあるからそれで何とかなれば良いけど」


 そう考えたけど、何とかなる? そんなはずも無く。アラクネは落とし穴に落ちても、直ぐに穴から飛び出して難を避ける。設置した地雷も何かで察知しているのだろうか? 巧みに隠してある位置に足を持って行くことが無い。いや、地雷だけじゃなく魔法系の設置物は全部アウトだな。


 追い込むつもりが、これ逆に追い込まれてきてるじゃないか……後は何か有ったか? 何か……。


「こうなったら……爆裂矢! 色々〝巻き込んで〟!!」


 美咲さんによる爆裂矢がアラクネのすぐ傍に刺さり……その直後に爆破を起こした。

 そして、美咲さんの発言通り……その周辺に設置された地雷を巻き込み大爆発が起きた。


「あらま……無理やり爆破させたのか」

「これでダメージが少しでも有れば良いけど……厳しいよねぇ!?」


 爆破の中心に近い場所に居たと言うのにも拘らず、アラクネさんはその爆破による巻き上げられた煙から飛び出して来て、美咲さんを襲撃。

 美咲さんも来るのは解っていたのだろう。しっかりとシールドを展開して防いでいるけど……思いっきり押されている。


「でもこれはチャンスでもあるよな!」


 と言う事で、一足飛びでアラクネの背後にマナブレードを突き刺……せない!?

 その場で回転をしたアラクネ。その回転を利用して美咲さんを吹き飛ばし、俺の剣による攻撃をしっかりと魔剣で受け止めた。……それなら!


「この近距離射撃なら!」


 もう片方の手に持つハンドガンを一気に全弾放出。


「キィィ!!」


 が、飛ばして短くなった前足と、残った触肢にもう片方の魔剣を使い銃弾を弾き始めるアラクネ。


「おいおいおいおい、これも反応するのかよ!?」


 驚いた。そして、その驚愕をしたのが不味かったのだろう。ほんの少しだけ隙が出来てしまった。

 勿論、アラクネがそんな好機を逃す訳が無い。


「シィィィィィィ!!」

「マズ!」


 緩んだマナブレードの攻撃。そのタイミングでアラクネはマナブレードを弾き飛ばし、その流れで斬りつけて来た。


「グッ……」

「結弥君!?」「ミャ!」「あぁぁ!?」「ピュィ!」


 バックステップをしながら体を捻るも、一瞬の隙をつかれた攻撃は躱し切れるモノでは無く……。

 後少しで真っ二つにされていたか、もしくは腕を一本持って行かれていた可能性が有る。本当、ギリギリで回避出来たとはいえ……。


「痛いと言うか熱いと言うか……これ、かなりの激痛だぞ!?」

「良かった、無事だった!」


 嫌、無事じゃないけどね? 戦闘によりアドレナリンが出ている上で、回復魔法やら身体強化で痛覚をごまかしているけど、それでもかなりの痛みが走ってるから。

 くっそ、動くたびに痛みで動きが鈍るんだけど……これどうしようか。

 ……それと、この傷治るかな? 左肩辺りから斜めに斬られたんだけど……あぁ、しかも火傷もあるからな。




 と言うよりも、アラクネ……どうしようか。逃げる道も無いし、このままだとじわじわとやられて行くだけなんだけど。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!!


結弥二度目の大怪我。とは言え、今は〝動く事〟だけは可能な状態です。まぁ、痛覚を色々な方法で軽減して無理やり出と言う状況ですが。

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