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三百三十六話

 警戒しながら屋敷の傍まで進むと美咲さんの顔が歪んだ。そりゃ、びっしりと張られた蜘蛛の巣を見れば当然なんだけど。

 それにしても、近くで見れば見るほど屋敷の中は異常と言わざる得ない。

 張り巡らされた蜘蛛の糸もそうだが、荒れている割に建物自体の破損が少ない……と言うか無い。

 普通、廃墟と言えば壁が崩れて居たり、床に穴が空いていたりする事が多いけれど、この屋敷に限っては汚れや埃は沢山有るものの、保存状態は悪くないのだ。……まぁ、最初の扉爆破で傷がついてしまったが。あ、因みに家具関連はボロボロです。


「うーん……なんで床や壁は無事なんだろうな」

「ダンジョンだから修復機能が付いてるのかな?」

「それ、ズーフが初級ダンジョンの管理者権限で設定しているって言ってたはずだけど」


 ただ、その説明から考えると高難易度ダンジョンにその修復機能が有るかどうか謎だ。

 何せ管理者が居るかどうかも謎らしいからな。……殺意MAXのトラップとかがある時点で、何者かが殺しに来てるのは間違いないと思うんだけど。


「そういえば蜘蛛の巣って燃えるんだっけ?」

「いや、蜘蛛の糸は燃えることなく溶ける様に切れるんじゃなかったっけ? 確か、熱も三百度ぐらいまで耐えれるとか……そんなんだったと思うけど、まぁ当てにはならないかな? 相手はモンスターだし」


 それも、高難易度ダンジョンだと思われる場所のだ。


「って事は、火魔法は通用しないかなぁ……」

「虫だから火は通用すると思うけどね。ただ、火魔法だと屋敷内では使うの難しいと思うよ」

「あ、そうか……選択する魔法間違えたら屋敷が燃えて火に巻かれちゃうね」


 まぁ、その場合は水魔法で鎮火を行えば良いのだけど……それをやっている最中に襲撃なんてされたのなら面倒すぎる。いや、格上の可能性が高い相手だ、面倒なんて言葉では済まないだろう。


「まぁ、やるなら氷系の魔法が良いかな?」


 蜘蛛はその寿命が一年なんて言われている。その理由は、越冬するのに卵……まぁ、次代に任せるからなんだけど。

 ただ、成体のまま越冬する蜘蛛も居るんだよね。そいつらは巣を作らず徘徊するタイプの蜘蛛。だけど、そいつらも寒さには弱いみたいで冬には死んだように動かないんだ。

 であれば、温度を下げるのが一番の最適解だと思う……地球上に居る蜘蛛の知識が役に立つのであればだが。

 そして、この大量とも言える蜘蛛の巣。これはその知識通りであれば越冬は卵でするパターン。つまり、氷魔法は弱点の可能性が高いと言う事になる。重ねて言うが、地球上の蜘蛛の知識が適応するならば。


「と、まぁ……此処まで言ってなんだけど、相手はモンスターだからな。全く違う可能性だってある」

「ふむぅ……でも、何のヒントも無しに当たる寄りはマシじゃないかな?」

「的中してくれたのなら一番良いんだけどね」


 とは言え、この屋敷の奥から漂うプレッシャーが否応なく、そんな簡単に済む訳が無いだろうと言っている気がする。

 だが、まあ、他に何の予備知識も無いのだやれるだけやってみるしかない。


「って事で氷魔法いってみようか。行け、氷結弾!」


 何時もながらの銃系魔法。それの凍結バージョン。それを屋敷の壁に向かって適当に乱射していく。


「それじゃ私も! アイスバーン!」


 そして、美咲さんはどうやら地面を凍らせていく事にしたらしい。ただ、俺達が歩く場所は確保しているみたいだな。

 そんな感じで、屋敷の入り口であるエントランスホールと言える場所を氷魔法で装飾したことで、室内の温度が一気に下がって行った。

 それにしても……凍った蜘蛛の巣は思いのほか綺麗だな。


「よし、それじゃ次々と進んで行こうか……一応、モンスターが居なさそうな部屋から探索しよう」


 別に遭遇したくないと言う訳じゃないぞ? 便利なアイテムが有ったらいいなーと言う望みと言うだけだ。




 進んで行く場所を凍らせては調査を繰り返していく。

 ただ、望みは叶わなかったと言うか、思った通りと言うか、便利なお助けアイテムと言うのは今のところ見つかっていない。


 そんな中、俺達の行動が思った以上に相手を苛立たせたのか、蜘蛛型モンスターの方から俺達の前へと飛び出して来た。


「キィィィィィィ!」

「う、うわぁ……」


 足や手を大きく広げて威嚇して来ている。まぁ、其れは良い。自らの巣に入って来た侵入者を相手にしている訳だからな。

 思わず声を上げてしまったのは、そんな蜘蛛型モンスターの姿が理由だ。


 何せ……先ずその大きさだ。どう見ても四人乗りの車ぐらいは有る。

 そして何より……その車サイズの体に人の姿が突き刺さっているんだ。まぁ、言うなれば〝アラクネ〟とか〝アルケニー〟だとか言われるアレだ。とりあえず呼び方は〝アラクネ〟で良いだろう。

 そして、更に問題なのはその人の姿をしている者が手に持つモノだろうか?


「……あれ、どう見ても炎を纏っている剣だよな」

「氷溶けてるしね……どう考えても火だよ。でも、二刀流だよ? もう一本の方は何だろう?」


 うん、そっちは何の属性が発動しているのか解らない。……見えないとなると風の可能性が高いか。

 とは言え、武器持ちな上に蜘蛛の下半身を持つモンスターが相手とか……これ、普通に戦える訳が無いだろ!?


「兎に角、ロックオンもされてる訳だから何とか対処法を考えないとな! 美咲さんはバックアップ宜しく!」


 魔法剣が相手ならマナブレードと剣鉈の出番だ。相手も二刀流だからこっちも同じスタイルで前へと出る。

 そして、基本的に弓がベースの美咲さんにはバックアップ。彼女にはランスでチャージと言う手段もあるが、流石にこのアラクネ相手では無理がある気がするからな。先ずは様子見だ。


「シィィィィィィィィ!!」


 人の口か下半身にある蜘蛛の口。どちらから叫んでいるのか解らないが、奇怪な叫びを上げながら飛び込んで来るアラクネ。

 その前方へのジャンプは恐ろしく速い。見た目はものすごく重そうだが……このジャンプ、ハエトリグモの捕獲映像を見た事が有る人なら解るだろうか。正にアレと同じだ。


「速いな!」


 飛び込んで来たと同時に二本の魔剣が振り下ろされて来る。

 こちらもマナブレードと魔法を纏わせた剣鉈で防ぐことに成功したけど、ほんの少しでも反応に遅れていたらやられてたぞ……。


「って、其処で蜘蛛足かよ!!」


 振りかぶって来た蜘蛛足を避ける為に、無理やりバックステップ。

 その際、魔剣が軽く掠ってしまったが、まぁ、前足に突き刺されるよりまマシだろう。


「ちょ、ちょっと! 援護間に合わないんだけど!?」

「足元! 出来れば蜘蛛足の関節を狙って斬り飛ばして!」

「えぇ!?」


 うん、無茶を言っているのは解ってる。でも、無茶をしないとこれ厳しいとかって話じゃないぞ。

 何せ、このアラクネ。突進のスピードはイオ以上だ。しかも、糸を使えば更に三次元機動まで出来るようになるだろう。

 そして、肝心の氷魔法は……全然役に立たない。炎の魔剣で溶かされているからな。さらに言うなら、あの魔剣が特殊なのか、それとも火に強いのか、蜘蛛の糸が溶け切れる事も無い。


「兎に角足を潰すしかないから!」

「わかったの!!」


 糸には蔦を! と言った具合で、イオに騎乗している双葉が蔦を使い蜘蛛を絡めとりにかかる。

 だが、絡めとるのは蜘蛛の十八番だ。しっかりと糸により対処されて行く。うん、蔦と糸が空中で絡み合ってるよ……。


「キィィィィ!!」

「ミャン!?」


 そして、当然そんな双葉の行動をアラクネが許すはずも無く、なんと魔剣から炎で出来た刃を飛ばして攻撃した。

 まぁ、それはイオがジャンプで交わしたので問題無いのだが……それにしても、火の刃を飛ばす攻撃方法まであるのか。


「風ちゃん合わせて! エアカッター!!」

「ピュィ!!」


 アラクネの気がイオと双葉に言った瞬間に、美咲さんと風が風魔法でアラクネの足関節を狙う。


「シャアァアァァァ!」


 が、まるで解っていましたと言わんばかりに、アラクネは足を軽く上げ、殻に纏われ硬い部分でその魔法を受けきって見せた。

 心なしか、人型の顔がどや顔をしている様にも見える。


 ただ、とりあえずこれはヘイトを俺に集めておかないとな。特に美咲さんと風を狙わせる訳には行かないだろう……彼女たちは防御力が紙すぎるし。


「火なら……水はどうだ! 水弾・散弾式!!」


 水魔法の散弾を放ちながら一気に突撃。

 だが、その水は奴が持つ火の魔剣により蒸発させられ、俺の突撃による斬撃は先ほどの攻守を逆転させたかの様な形に収まった。


「防げるのかよ!」

「シシシシシシ!」


 ムカ。なんか嘲笑っていやがるな。っと、ただ此処でブチ切れて行動しても解決はしない。

 落ち着け。こいつは挑発をしてきてるんだ。


「火はダメ・水は蒸発されちゃう・氷も解ける……風は殻で防がれるし、何が通用するの!?」

「とりあえず何でも試して!」

「え、えぇい! サンダーアロー! ストーンアロー! ポイズンアロー!!」


 美咲さんの乱射。だが、アラクネは華麗にそれらを避けて行く。

 ん? 避けて行く? 風魔法のエアカッターは受けて防いだのにも関わらず、魔法の矢は避けた? もしかして、何か当たると不味い属性でも有ったのだろうか。それなら……。


「石弾・散弾式! 雷弾・散弾式!」


 アラクネが美咲さんの攻撃を避けた事で、俺自身が自由に動けるようになった。

 なので、ここぞとばかりに属性の散弾魔法をぶち込んでいく。まぁ、水魔法バージョンは蒸発させられたけどこれなら蒸発なんて出来ないだろ。


「キィ? シァァァァァァァァァァァァ!!」


 が、なんとアラクネはもう一つの魔剣を使い、俺が撃ち込んだ魔法を全てかき消してしまった。

 あれって、対魔法特攻の剣と言う訳か……これは厄介だな。さて、どう攻めようか。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!!


さて、何か色々めんどうなアラクネさんが登場です。そして、えぇ……とっても美人さんなのは言うまでも無く。

ただ、ワイバーンとどっちが強いの? と聞かれたら環境次第でしょう。

室内ですからねぇ……蜘蛛は強いと思いますよ。

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