三百三十三話
少し時間がピョンっと飛びます!
ダンジョンを探してえんやこら。と言っても実はあの溶けたビルを発見してから既に数か月たっていたり。
いやね……低難易度ダンジョンって今の実力なら一か月以内に踏破できちゃうんだ。
ただ、入ったダンジョンが高難易度の場合も考えて、入り口で罠を仕掛けて色々調べたりもしているので……少し時間は掛かったりはしている。
情報によると、一層目は普通だけど二層目からとんでもないモンスターが出る場所も在るみたいだし。
さて、そんな訳で幾つかのダンジョンを踏破した結果……めぼしいモノは見つかりませんでした! いやぁ、結果が出ないなぁ……。
ただ、何やらダンジョンの管理者さんが何処ぞに派遣されるようで、そっちでは成果が有ったという事になるのかな?
因みに、踏破したダンジョンに関して、まずは人型のモンスターオンリーのダンジョン。
此処では武器防具がドロップされ、本来であれば装備を充実させるのに便利なダンジョンなのだろう。
だけど、ぶっちゃけマナブレードに銃や攻撃性のシールドを纏うスコップに比べれば、一属性が付与された武器を拾った処で……ね。
という訳で、恐らくこれらの武器は全て鋳潰される運命が待っているだろう。
ボスは……まぁ、オーク系の最終形態であるキングさん。前戦った時は、あれだけ苦労したんだけどなぁ……それと、オーガさんは出てこなかったな。何が違うんだろう?
次にコッコなダンジョン。当然国庫じゃないよ? 鶏だ。
まぁ、最初はピヨピヨと可愛い見た目のひよこから始まり(この階層では美咲さんが一切使い物にならなかった)。次によく見るあの鶏。
当然入手できるのは卵とチキン。
とは言え、鶏だけではダンジョン三十層どうなってるんだ? と言う話だが、この鶏たち……強化というか変化していて普通に考えたら大変だろう。何せ見た目の変化がほぼ無かったからな……ボス以外は。
兎に角言えるのは、某ゲームのトラウマを思い出したという事だろうか? 鶏の襲撃に勝てる訳が無いアレ。……まぁ、こっちの鶏は倒せる分まだマシだろう。
因みにボスは、恐らく予測がついてただろうけどコカトリスさん。……てか、コカトリスって蛇が本体だよな? 伝説的に、あの鶏の姿は後付けだったはずなんだけど……まぁ、異世界のコカトリスさんな訳だからまた話は違うのかもしれない。……その割には、毒の汚染が大変だったけど。
と、例を挙げるならこんな感じ。そして、逆にアタックすら躊躇った場所もある。
墓地だったり、湖しか広がってなかったり、屋敷が一つだけドーンと立っていたりした場所だ。
墓地に関しては……まぁ、美咲さんが嫌がったという理由だけでは無い。えぇ、これは俺も嫌だったからな。なにせ、とんでもなく臭い。これは体に染みついたら当分頭痛に悩まされそうな、それほどまでの腐敗臭。
そんな場所、態々攻略しに行く気になるか? いや、ならない。どうしても行くというのであれば、完全防具服を用意してから行きたい! ……まぁ、そんな服で行けば動きが制限されて戦闘が大変そうだけど。
湖に関しては、まぁ、水中での行動が出来ないからね。スルーせざる得なかった。
恐らく、水中行動が出来る魔法だか道具がある気がするけど……そこら辺は追々調べていくしかないだろう。
で、問題の屋敷。
これ、絶対に高難易度ダンジョンだろうと言いたい。
もうね、入り口からして不穏な気配が足れ流れていて……屋敷に足を踏み入れたら最後といった予感しかしないんだ。
これには美咲さんも「絶対協会に相談するべき」とかなり腰が引けていた。
そして、イオ達もまたブルブルと震えていて……まぁ、アタックなんて出来るはずが無い。
ただ、これだけ装備が揃ったというのにも拘らず、イオ達が此処まで怯えると言う事は……一体どれだけの難敵が待っているのだろうか? 少し気になるところではある。
「と、ここ数ヶ月の事を思い出してみたけど、割と危険な場所が多いな」
「溶けたビルのある場所から始まって、墓地、湖、屋敷……それ以外にも、野生のモンスターで……巨大な……蜘蛛が居る場所も在ったよね」
そうそう、どうやら野に放たれたモンスターでも凶悪なモノが居る。
そして、その筆頭が美咲さんの上げた巨大蜘蛛だろう。……アイツ、普通に上位のオークとかを糸でぐるぐる巻きにし、ストックしてたからなぁ。正直、正面からは戦いたくないタイプだな。当然だけど俺達はスルーしておいた。下手に触れるなという奴だ。
「ありがたいのは、チェイス系のモンスターが居ないって事か」
「そういえば追ってくる気配は無いよね」
「匂いや足跡を辿るタイプのモンスターが居たら、村や街の位置が割れちゃうからな」
一応だけど、俺達が通った後は一度チェックとして風に空から確認して貰っていて、その際にモンスターの姿を確認していないので大丈夫だろうと考えてはいる。
ま、一応水魔法とかで足跡やら匂いはこまめに消してはいるんだけどね。
それにしても、こう、都心から少し離れた森の中には虫系のモンスターが多いな。
蜘蛛以外にも、蜂・蟷螂・蜻蛉・百足とオンパレードだ。これでは昆虫ダンジョンを避けた意味が無かった気がする。
美咲さんはもうね……双葉を必死に抱えておっかなびっくり歩いているよ。……まぁ、双葉がその分飛んできた虫を鞭で叩き落したりしてるんだけど。
まぁ、そんな双葉の活躍のお蔭で、美咲さんは結構まともに会話が出来るようになった。うん、精神的にも余裕が出来る鞭の結界だな。
さて、ではなぜそんな森の中を歩いているのかと言うとだ。
ダンジョンを探すために都心から離れたのは良いけど、その際選んだ道がバレないように森の中を選んだのは数か月前。
その後、道なき道を進みダンジョンを突破していったのだが……ぶっちゃけ、完全な迷子だ。
一応、太陽はみえているから、方角は理解できるんだ。ただ、道が有っただろう場所に道が無いのは……どうしようもなくて、下手に戻れば都心に行ってしまい、運が悪ければあのビルを溶かしたモノのテリトリーに入ってしまうだろう。
「うーん……南に進んでいると思うんだけど……」
「一向に私達が通って来た道とかも見えないよね。人がいそうな場所も無いし」
そういえば前にもこんな森を探索した事が有ったな。とは言え、あの時は太陽の位置すら確認出来なかったけど……ただ、アレは迷わされていたんだったっけ。
となると、また何かに迷わされている? いやいや、もし此処が〝神樹の森〟ならば、彼らが間違いなく接触してくるはずだ。
であれば、間違いなく別の場所なんだけど……また、迷わせて来る何かが居るなんて、そんな事あるか? まぁ、可能性の一つとして念のために頭の片隅にでも置いておこう。
「風も空からその姿を確認出来るし……さて、此処は何処だろうな」
「風ちゃーん! 何か上から見れない?」
「ピュィィ……」
「うー、風ちゃんが何も無いって! なんでだろー?」
そうか何も無いか……って、いや待て! 何も無いって可笑しくないか? 風の位置からならば……恐らく都心にあったビルや、他にも倒されていない鉄塔だって見えるはずだ。だというのにそれが無いだと?
「……なんかやばい場所に足を踏み入れたかもしれないな」
「え……それってゴースト的な意味で?」
「それは解らない。けど、間違いなく変な空間に入り込んでいる可能性が出て来てるな」
「えっと……何時からってのも問題だよね」
「そうだな。何せ何も気が付かない内に迷い込んでいるんだから……戻るにしても戻るべき場所が解らない」
まいったな……これ、完全に何処かに閉じ込められている様なモノだよな。
さて、これは何時からだ? 虫共がわんさかと出るようになったタイミングは……何時だったっけ? あれ? あれだけ覚えてたはずの記憶が思い出しにくいというか、ノイズでも走っているかのような感覚だな。
「……もしかして、此処ってダンジョンか?」
「え? でも私達ダンジョンには入ってないよ……ねぇ?」
「うーん……入って無かったとおもうの! でも、ダンジョンって言われたらダンジョンっぽい気配なの!」
うわぁ……双葉のお墨付きか。とあれば、此処はダンジョンと言う前提で思考を進めるとしようか。
と、その前に。
「イオ。あの〝神樹の森〟と気配は違うか?」
「ミャン! ミャミャ!!」
「違うって! そもそも〝神樹の森〟とダンジョンは全く空気が違うみたい! で、此処はダンジョン寄りっぽい!」
なるほど、その二つも明確に違いがあった訳か。……なんで今まで聞かなかったんだろう。
さて、ではあの森みたいな攻略方法は出来ないという訳だ。そして、ダンジョンであれば階層ボスに次の階層などが有るはず……入ってきた場所が解らないのなら、先ずは其れを探すとしますか。
ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!!
と言う事で、試練のダンジョン系は加速処理させて貰いました。えぇ、今更細かくやる必要は無いだろうと言う事です。物語の針を進める為にも必要な行為と言う事で。
そして、この迷いの森っぽいのは前にもやっただろ? と思われるかもしれませんが、全く内容が違うのであしからず。




