三百三十二話
さて、ダンジョンアタックについて海側を避ける様に判断した俺達だが……ぶっちゃけ、二つのダンジョンを踏破した身としては通常のダンジョンなど大した問題では無い! とは言えない。
確かに俺達の戦力はかなり上がっているが、武器の火力以外では基本的に、生き物や植物の生態を利用した戦い方をして来たからな。
それ故に、ファンタジーそのものと言うか、生態が良く解らないモンスターとは戦いにくい。なので、問題は無いでは無く、まだまだ問題は沢山あると思った方が良い。……そりゃ、キノコが躍るとか奇想天外な事だってあった訳だしな。
という訳で、協会からは上位のダンジョンだけには入るな! と言われたが、それ以外なら自由に判断していいとの事なので、自由にダンジョンを探してアタックしていくのだけど……。
「正直、ダンジョンが上位かどうか解らないよな」
「入っていきなり即死トラップがあったりするらしいけど……そんなの回避出来るの?」
「チェックを厳重にしないとな。ただ、それだと中々前に進めなさそうだ」
まぁ、上位ダンジョンの奥へと進むつもりは現状ないけど。
「兎に角、先ずはダンジョンを探す処からだろうな。海側に向かわずに進んでいるから……未知の領域な訳だし」
「そうだね。電車で通った場所だったりするけど、全く見た目変わってるもんね」
高速で歩いて移動をする道のり。その風景はなんとも奇妙な場所が多かったりする。
例えば、大きな建物が森に飲み込まれているかのような光景。
例えば、デカい池が出来ていて、その中に病院やら学校。
例えば、鉄塔の上にモンスターの巣。
そんな感じで、今まで此処が生まれ育った日本だという事を何処か遠くに感じていたのだが、それが間違いないと見せつけられている風景だ。
「っと、ここら辺は都心に近づいて来たって事かな?」
「かな? なんだろう……私達の足って此処まで速くなったんだね……」
人間辞めました。と言う訳じゃないけど、能力の向上と身体強化の魔法は本当に半端ないなと思ってしまう。
以前ならば徒歩と言うか、自転車でも此処まで行こうなんて思わない距離だというのに。
「城とか残ってるかな? まぁ、行く気は無いけど……たしか、あそこら辺ってシェルターが有るはずだから行くなら守口さん達にお任せだよな」
「そうだよね。私達が下手に接触するよりは最初から任せた方が良いよね」
ただ、都心付近はシェルターが有る場所……多いはずなんだよな。
こう、地下鉄から行ける場所に作ったりとか、さっきも言った城にあったり、病院やら県庁が有る場所に作られていたりと……まぁ、此処からは何時何処で接触するか解らない領域になる訳だ。
「と言う事で、少し逸れよう! 確か貰った地図にあるダンジョンの位置は……」
「……これ、詳しくは解らないよね。前なら一杯目印が有ったけど」
地図が地図としての役割を果たしていない……。
ぶっちゃけ、此処まで来る道のりはほぼ一本道だったとはいえ、ぐにゃぐにゃと曲がりくねっていたしな。
なので、ほぼこっちの方向にあるだろう! という予測で移動して来ている訳だ。
とは言え。都心側に辿り着いたのはある意味ラッキーだろうな。ここならある程度位置を割り出せるはずだ。
「えっと、大体この位置にって、池の中の病院を見れば解るんじゃないか?」
「うーん……無理じゃないかな? 形で病院って判断したけど、病院の文字とかは完全に削れてたし」
「あー……そういえば、此処に来るまで文字と言う文字を見てないな」
多少残っているのであれば、標識やら電柱やら残って居そうなものですら残っておらず……また、看板やら店などの其れも完全に削れたりしていて読めなくなっていた。
なんだろう。外に出て来たモンスター達は文字に親でも殺されたのだろうか?
因みに、そんな事をしたであろうモンスター達だが、イオのお蔭なのか今のところ姿を見ていない。
とは言え、これでは協会からのミッションを一つ達成できないか……一応、モンスターの分布もしらべる事が出来るのであれば調べて欲しいと言われていたんだがな。
「えっと、双眼鏡から見えるモノはっと……あー、遠くに上半分が溶けたビルが見える」
「え? 溶けたビル?」
「うん、溶けたビル。こう、よくSF漫画とかにある、ビームとかで消し飛んだ後の絵みたいな感じ」
「……それってモンスターがやったって事?」
「だろうね。ただ、あれだけの攻撃が出来るとなると……魔法を使えるタイプか、ワイバーンよりも上位の奴がブレスを吐いたかだろうなぁ」
「えっと、それは……例えばドラゴン的なやつとか?」
「そうだねぇ。ドラゴン的な奴だろうねぇ。まぁ、ワイバーンの上位種かもしれないけど」
とんでもないモノを発見してしまったせいか、頭の中が慌てるどころか逆に冷静になってしまったな。……ってか、これをやった犯人……いや、犯モンスターが村側まで来なくて良かった。
何時これが行われたのか解らないけど、結構前の様に見える。そして、今でこそワイバーンとも戦えるが、それより前なら為すすべなく村は消し飛んでいただろう。……恐らくシェルターに入っていてもアウトだったんじゃないかな?
こうなると、都心のシェルターが無事かどうか気になるけど……此処は急いで連絡を飛ばす事にしよう。俺達が勝手にやるよりも、協会役員の方々にお任せだ。
「と言う事で、風には悪いけど……少し手紙を一番近い町に運んで貰えるか?」
「ピュィ!」
実に頼もしい鳴き声の返事だ。
「とりあえず、風が戻って来るまでは此処で監視しながら待機だな」
「解った。風ちゃんがんばってね! 此処で待ってるからね!」
さて、少し考えを纏めてみるか……。
もしかして、ここら辺でモンスターを見ないのはイオのお蔭で無く、より強力な何かが居るからでは無いか? となると、これ以上前に進むのは危険だろうか。
ダンジョン自体は別の方角にもあるからそちらへと向かえば良いが、問題は道が無い事だろうな。うん、森の中を突っ切って行く形になる。
となると、モンスターが隠れている可能性は高い。……だが、この予測が合っているのであれば、そんな隠れているモンスターに遭遇するよりも、前へと進む方が危険だろう。
「最悪のパターンはドラゴンタイプだろうなぁ。ゴ●ラ的な奴とかいたら太刀打ち出来んぞ」
「あ……あはは。それは会いたくないかなぁ」
「うー? 大きなトカゲさん?」
「大きすぎるトカゲさんだな。ここに来るまでの間に鉄塔をみただろ? あれと同じかもしくはアレよりも大きいぞー」
「わひゃー! それはきけんなの!」
イオと双葉が頭を両手(両前足)でかけてプルプルしている。まぁ、少しおどけて説明はしたがアレの説明としては間違っていない。アレ歴代でサイズが違いすぎるんだよ。中にはピラミッドと同レベルの奴も有ったしな。
とは言え、流石にそんなサイズのモンスターが動いているとは思えないが……何せ、どうやってダンジョンから出て来たんだ? って話になるし。
だから、もう少し楽に考えても良いと思うけど、まぁ、最悪を想定するというのは基本だからな。
そんな感じで、周囲を警戒しつつ和気あいあい? としていると、空から手紙を咥えた風の姿が。
「お、お帰り! 速かったなぁ。流石風だ」
「おかえり! ちょっと待ってね! えっと、ご褒美に生肉を上げよう!」
「あー! いいなー! 美味しそう!」
「双葉ちゃんはドライフルーツね! イオちゃんにはカツオさんだよ!」
あれ? 風のご褒美じゃなかったっけ? まぁ、皆楽しそうにしているから良いか……さて、手紙はなんだろうね。
「えっと……〝当初の予定通りシェルターへの接触は此方で。問題のビルとソレの原因と思われるモンスターに関しては現状スルーで。ダンジョンの発見とアタックに関して無事を祈る〟か」
「ふーん……と言う事は、アレは調べなくて良いんだね」
「みたいだね。詳しい調査はもう少し戦力が揃ってからやるみたい。どちらかと言うと、協会としては防衛力を高めたいのが先かな? その為にも、新しい物資の為にもダンジョンの開拓が先みたいだね」
ま、それなら俺達が考えていたように、あそこを避ける為に森の中を突っ切って行くことにしよう。
何、最悪道は無理やり作ればいい。その為にも先ずはダンジョンを見つけ出さないとな。
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なんだか大変なものを見つけてしまいました。熱線で溶けたビルですって!!




