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三百二十五話

 チーチーパッパと小鳥が鳴くのを耳にしながら、静かに美咲さんが手を合わせている。

 何をしているのかと言うと、村の一角にある墓地でお参りをしている訳だ。とは言え、中には誰も入ってないのだけど。

 ただ、何も無いというのもアレなので、美咲さんが思い出の品を代わりに納めている。


「……付き合ってくれてありがとう」

「いやいや、知らない相手じゃないからな。……で、整理はついたの?」

「うーん、区切りはつけれたかな?」


 まぁ、それも仕方ないよな。ただ、こういう風に行動できると言う事は随分とマシになったのだろう。


「後は……叔父さんの事何だけど、まだ目を覚まさないんだよね」

「婆様達が頑張っているけど、原因が不明みたいだね」


 これで桜井さんまで寝たきりが続くとなれば……もしかしたら遭遇しなかった方が良かったのでは? などと、マイナスな思考になり始める。

 とは言え、あそこで対処しなければ、その内桜井さんも思考が完全に奪われ、モンスターとなっていた可能性が高い訳で……なんと言うか、もやもやとしたモノが思考と胸の内で一杯になるな。


「最善策と言うのが解らないから何とも言い難いな。あの時は其れしかないとと思ったんだけど」

「そうだね。このまま目を覚まさないと本当に? って考えで頭がぐるぐるしちゃうよね」


 どうやら美咲さんも同じ事を考えていた様だ。

 まぁ、偶にぽろっとつぶやいてるからな……「どうしてあの時動けなかったんだろう」って。ただ、美咲さんは動けなくても当然な話だと俺は思ってるけどね。

 でも、本人が悩んでいる以上はどうしようもない話で、出来る事と言えば桜井さんが起きてくれるように祈る事ぐらいだ。




 と、まぁそんな感じで昼までの予定を終え……昼過ぎからは、長い事放置していた研究員達のお願いを聞きに研究所へと向かう。

 休みたいからと理由をつけて待ってもらっていたからな。まぁ、実際は美咲さんの心の整理待ちだった訳なんだけど。


 そんな訳で、研究所に入ると其処には待ってました! と言わんばかりに、研究者の波。まて、折角来たのに研究所から押し出されるぞ!


「落ち着いてください! とりあえず……何処から向かえば良いですかね?」

「農業研究から!」「まて、武器が先だろう!」「いやいや、生体研究を!」「魔法だろう魔法!!」


 ……なんと言うか、落ち着くどころか火に油を注いでしまったようだ。これでは話が進まないんだよなぁ。さて、どうしたものか。


「えっと、それじゃ順番と言う事で! 俺達は探索者なのでまずは武器関連からで!」


 そう言うと、ワ~と歓声を上げる武器関連の研究者。それとは反対にどんよりと暗い顔をしたり、ブーイングを行ったりする他の部署の方々。おい、ブーイングしたところには後からも向かわなくても良いんだぞ?

 と、まぁ、それでも後から足を運ぶことにはなるんだけど。とりあえずは、探索者としての仕事道具は大切なので、先ずはそれを見せて貰う事にする。




「おやおや白河君達じゃないですか! お久しぶりですね。私の事忘れてませんか? 忘れてませんよね。はい、竜美ですよ。それでですね! 今回見て貰いたいのは、この新型! え? ただの鎧にしか見えない? いえいえ、私達が手掛ける物がただの防具な訳ないじゃないですか!! これはですね、そう、探索者にとって最高のパートナーになってくれる、謂わば究極の魔道兵器です!!」


 ドドーン!! と、背中に波でも背負いそうな雰囲気と勢いで話をする竜美さん。

 いやいや、研究室に入ってから直ぐにそんなマシンガントークをされたら呆気に取られてしまうだけなんですけど。


「えっと、お久しぶりです。あ、笹田さんも!」

「久しぶりだね。いやぁ、竜美君の勢いに吃驚していたようだが、大丈夫かな?」

「大丈夫だとおもいます」

「おや? 笹田君心外だな! 私はこのロマンあふれる新型兵器を「はい、ストップ」っと、説明させてほしいのだけど」


 何と言うか、相変わらずだなと言った感じだ。思わずクスリと笑ってしまう。


「ん? 何か楽しかったのかな?」

「いえいえ、相変わらずだなと思いまして」

「あぁ、そういえば君たちは結構大変だったそうだね。まぁ、此処は変わらんよ。作るモノはどんどん変わっていくがね! いやぁ、銃を考えていた頃が懐かしい」


 ハンドガンの作り上げてからと言うモノ、彼らの造り上げる物はどんどんと幅を広げ性能を上げて行った。

 初期のハンドガンなどは今使った処で型落ちも良い処だ。まぁ、コレクターアイテムとして取って有ったり、改良しまくって初期の面影すら無くなっている物もあったりするが。


「で、この鎧? は一体どんな物で?」

「あー……そうだな。ここは竜美君が説明したそうにしているから、先ずは任せるとして……解らない事が有ったら聞いてくれ、補足はしよう」

「では! まず、防御力から説明しましょう! これは、研究所が総力を挙げて作り上げたミスリル合金! これを全体に使用した事で、物理防御・魔法防御共に高性能と言えるでしょう。とは言え、ただそれだけなら、防御力を上げた鎧でしかありません! これには……他にも色々とギミックが積み込まれています!!」


 ほう、ギミックか……それで防御力が落ちたりしないのかな?


「おや? その顔はギミックで防御が疎かになっているのでは? と考えている顔ですね! 大丈夫です! そんな事は予測済みですので、そういった部分にも配慮してしっかりと仕上げてますから!」


 おう、また思考を読まれてしまった。……どうしてこうも思考を読むのが得意な人が周囲に多いのか。


「と言う訳で心配は無用。ではギミックなのですが、先ずハード面から行きましょう。これにはシークレットウェポンシステムが搭載されています。いわゆる、キャノン砲やらなにやらを積んでいるという奴ですね。あ、目視出来ないぞと思いました? 思いましたね! 当然です! そういったギミックは全て専用のアイテムボックスに仕込まれていますから!」


 うわぁ……何処まで追求して作り上げてるんだ。これ、予算というか資材というかとんでもない量が使われているんじゃないか?


「次にソフト面ですが、それらを補助する為に……魔導AIを作りました」


 は? AI? 愛さんですか? いやいや、まて、コンピューター搭載と言う事じゃないよな、だって魔導なんてついている訳だし。


「疑問も解ります。そして、私達もまだこれは完璧に解明していないのですが、少々特殊な魔石が回収される事が有るのですよ。何と言うか意思? みたいな物を持っている魔石が! これには驚愕しましたね。何せ、魔石が独りでに魔力を発したり吸収したりしていましたから。そこから調べていくと……なんとコンタクトが取れるでは無いですか! そう、この魔導鎧はそんな魔石を発見したからこそ作り始めた代物なのです!」


 えっと、うん、良く解らんが、とりあえず魔石に意識がある物が存在すると言う事で良いのだろうか。

 思わず美咲さんと顔を合わせて疑問を浮かべてしまったのは仕方ないだろう。


「意識のある魔石。今までは有ったのか? と言われたらNoと断言出来るのですが、一体どうやって発生したのか……それを深く追求してみましたら、どうやらこの魔石……村で飼育したウルフ達に倒された〝ウルフの魔石〟の様なのです。他にも例があるか調べてみたのですが皆無でした。いやぁ、実にわくわくする内容ですよね!」


 ……同種で死闘を繰り広げた事により、魔石を託された的な何かだろうか。いやいや、それにしても出来過ぎじゃないか? とは言え、他に例が無いとなるとなぁ。


「良いですか? その魔石に意識があると言うのならば、こんな風に鎧に取り込ませても良かったので?」

「はい。其処はしっかりと話し合って……と言うのも変な話ですが、魔石の意思を読み取って作りましたから。あ、因みに勝手に動くなんて事は無いですよ? あくまでサポートですから!」


 うん、まぁ、其処は心配してないんだけどね。しかし、とんでもないモノを作り上げたもんだ。


「ただですね……これ、燃費が途轍もなく悪かったりします。燃料が魔石で動くのですが……フルパワーで動かすとオーク魔石を使っても数分と言った感じでして。省エネモードもあるのですが、それだとスペック的には大幅ダウンですね」


 それはまた、何という代物を。ロマンか? ロマンを追求しすぎたと言う訳か。


「とは言えこれは試作型! ですので、テスト付き合ってください!」


 まぁ、付き合わない訳にはいかないよな。何せ、テスターだもん……少し怖いけどがんばりますかね。







 テストしてみた結果……何だこれ? 正直な話、これを量産化でも出来れば世界が変わるぞ。

 とは言え、今はまだまだ改良点が多すぎる訳で、試作機をダンジョンなどで使うにしても当分先の話になると思うけど、これは少し楽しみだな。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!


と言う事で! とうとう新兵器……のお披露目と思いきや、まだ少し先になりますと言う落ち。


区切りって大切ですよね。納得できるかどうかは別ですが、それをやるかどうかでその先の気分やら考えが変わりますから。

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新しい話をアップしていきますよヾ(*´∀`*)ノ:孤島で錬金術師~修学旅行中に孤島に飛ばされたから、錬金術師になって生活環境を整えていく~
― 新着の感想 ―
[一言] 試験機とか先行量産型とかそそります。 まぁ専用機が一番かもしれませんが・・・
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