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百五十六話

 二十一層へと足を踏み入れる。


「ふむ……ここからは山岳マップか」


 四方八方見渡す限りの山! まるで坑道を抜けてきたら、周囲全体は山でしたと言った感じの演出だ。

 とは言え、険しい山々が攻略対象となると、出てくるモンスターも面倒なのが多くなりそうだ。

 中でも、飛行系のモンスターが面倒と言えるだろう。足場が不安定なのに上空からの奇襲となれば、対処が難しい。


「……これは、二十一層に入る前に銃の開発が出来たのは幸運だったか」


 弾はたっぷりと持って来ている。散弾ではないけれど、弓矢や鉄串を使うよりも戦いやすい筈だ。更に散弾系魔法を織り交ぜれば、幾ら飛行系モンスターと言っても銃弾を避けきる事は出来ない。

 幸いにも雪山マップじゃないから、音による雪崩も無い。

 とは言え、銃弾は通常弾の方を選んでおこう。黒弾は材料的に考えて大量に生産出来る物じゃない。一応黒弾用のマガジンは五個受け取っていて、一つ撃ち尽くしたので残り四個残っている。


「まぁ、切り札として使う方がいいからな」


 ゴーレム相手にあれだけの威力を見せたのだから、むしろオーバーキルになる可能性も高い銃弾だ。そもそも、ゴーレムでもなければ通常弾すら一発で済んでいた。

 それなら、幾らマップの構成が変わったとしても、其処までモンスターの耐久度が上がる可能性は低いはず。

 あっても、ゴーレムの強化形とかそう言う感じだろうな。何せ山岳マップで地上の動物と言うと、猿系、山羊、熊などが思いつく。他にも挙げていけるけど、面倒な動物系と言えばそんな感じのが思いつく。

 空中戦だと、注意するべきは鷲とか鷹などの猛禽類か。

 昆虫なども言い出したら限がないのだが、現状このダンジョンで昆虫は見ていない。なので、候補から外しておく。

 ファンタジー路線で言うならば、ハーピーとかだよな。流石にドラゴン的なのが居たとしても、この段階で出るだろうか? ワイバーンとか存在しても可笑しくないけど、今までのモンスターレベルから考えて、行き成りそんな難易度が高い奴等がでるか? もしでたら、難易度上がりすぎだろう。だとすればだ。


「二十五層やそこのボスなら可能性が出て来るって所か。後は……グリフォンは無いか。ヒッポグリフとかならあるかもしれないな」


 何にせよ、空間的な制限がない状態での対空戦があるかもしれない。しかも、見晴らしも悪くないと来ている。

 かなりの注意が必要なマップとなりそうだ。




 比較的足場が良い場所を選びながら前へと進んでいく。

 と言うよりも、違う道を選べば……険し過ぎる為に、岩壁登攀をしなくてはいけない場所まで有る。

 道具も無い状況で、登攀をしろとか無理が有り過ぎるだろう。

 一応魔法で身体能力を強化したり、土魔法で壁を操作して休憩所を用意したり、足場などを作る事も出来るが、魔力量の不安にどれだけ時間が掛かるのか? と言う疑問以外にも、登っている最中に鳥系モンスターに奇襲を受けたら、反撃が出来ない状況なのは間違いが無い。

 その為、進む道は余程の事が無い限り、歩いて進める道で、段差が有ったとしても、ジャンプで登れる程度の場所を選ぶ。


 草は生えてるが、木が無い場所の為に隠れる事も出来ない。まぁ、その草も背丈は高くない。さくさくと踏んでいけるレベル。

 進む道を変更すれば、木がある場所も存在するが……そちらからは何やら嫌な予感がする。

 違う場所を見ると、山羊? っぽいモンスターが険しい足場を、ピョンピョンと飛んで移動している。


「敵対しないモンスターなのかな。まぁ、距離があるから大丈夫だとは思うけど」


 何せその場所と俺が居る場所は、途中に崖があって行き来するのが難しい。……あの山羊なら、簡単に進んで来そうな気もするけど。それでも、時間は掛かるはずだ。

 だからあの山羊は、現状はスルー対象でいいだろう。


 空を見上げてみると、猛禽類系の鳥と思われるモンスターの姿が、グルグルと円を描きながら飛んでいる。

 見た感じ、その姿は結構大きく感じる。となると、人ぐらいのサイズは有るんじゃないか? たしか、ただの鳥だとコンドル辺りが一メートルを越えていた筈だけど。


「あの飛んでる奴は軽くソレを越えてるよな」


 割と遠くを飛んでいるのだが、何時俺に気がついて襲ってくるのか……。とは言え、現状あの鳥の位置は此方から離れている。


「獲物が別の位置に居るんだろうな。まずは、観察をして行かないとな」


 そんな事を思っていると、その鳥が翼を畳んで一気に急降下を始めた。


「おお、突撃開始か! これは迫力がある画が撮れそうだな」


 スマホを取り出して録画を開始。このまま撮影をしていけばとんでもない記録になる! 何て思ってたけど、確かに凄い記録になった……それは、想像とは別の意味でだったが。


 何と、その鳥が狙ったのは先ほど、ほぼ崖といえる場所を飛びながら移動していた山羊。

 その山羊を狙うだけでも、とんでもない話なのだが……。

 あろう事か、山羊の角の部分が光り出し……襲ってきた鳥に向かって一気に放電。山羊を襲った鳥は放電の直撃を喰らい、痺れて飛行制御が出来なくなり岩肌へと激突。

 そして、山羊は迎撃した鳥が激突により死亡をしたのを見ると、後は何事も無かったかのように、ピョンピョンと跳ねながら崖の移動を再開した。


「……衝撃的すぎるだろ。でかい山羊を襲う鳥もだけど、あの山羊魔法使ったぞ! いや、前の階層から考えれば使わない訳が無いけど、電撃だぞ電撃!」


 雷の魔石ゲットフラグだ。しかし、相手は先ほど空からの奇襲を軽く迎撃したあの山羊だ。

 しかも、あいつ等が居る足場はほぼ崖と言って良い場所。あんな場所での戦闘は俺にはと言うか、人間には厳しすぎる。

 そして、狙撃しようにも距離が遠すぎる状況だ。空が飛べたら……頭上からの狙撃でどうにか出来そうではあるけど……現状空を飛ぶなんて技術は持ち合わせていない。


「とは言え、現状持ちえる手段で空を飛んだとしてもだ……」


 ハンググライダー的な物を用意して、風魔法を使いながらの移動になるだろう。だとすると……あの空を飛ぶ鳥型モンスターの餌食になってしまう。

 あの鳥ほどの空中軌道は、ハンググライダーで出来るわけが無いからだ。


 それに、鳥が襲ってこない状況で、山羊だけ倒せたとしても違う問題がある。

 どうやって素材を回収するのか? と言う話。ハンググライダーで狙撃に成功したところで、あんな崖にどうやって着地するんだ? 着地せず空中で回収するとしても、崖がある為に風が乱れて思うように近寄れない。


「山岳難易度高いな、広い! 高低差が激しい! 空のモンスターが居る! と、面倒すぎる」


 まぁ、それでも情報は幾らか手に入れる事が出来たが、あの鳥型モンスターは魔法を使わないのだろうか? 今回、山羊を襲った奴は使わなかったみたいだけど、飛行系モンスターで言うのであれば、既にオオコウモリが風魔法を使っている。

 それなら、あの鳥型モンスターが何かの魔法を使っても可笑しくはない。


「それとも、既に使っていたとか? こう、高速で移動する為に風魔法を使ってたとか」


 その場合だと、見た目じゃ解り難いからな。

 戦闘をしていた場所が、結構遠かったから余計に見えにくかったし、魔力の感知も出来ない場所だった。


「慎重に調べなきゃいけない事だらけだな」


 現状は周囲にモンスターが居ないから大丈夫ではある。それに、あの鳥の対処は山羊がやったのを見たからな。迎撃方法は割りと考えやすいだろう。

 だた、それは上空から一羽による奇襲パターンであればの話だけど。

 これは、もっと違うパターンも有るかどうかを見極めなくてはいけない。


「どこかに観測所みたいなのが欲しいけど、此処ら辺は遮蔽物も何も無いからなぁ」


 周囲を調査するには良いんだけどね。隠れる事が出来ないから、奇襲対象が自分になりやすい。

 とは言え、移動するとしても何処に? 崖は登りたくないし、此処から見える木々がある場所は……実に禍々しい雰囲気を醸し出している。


「……だけど、その雰囲気からして進路方向だよなぁ」


 他に進むとしたら、崖の上か崖の下だ。此処から見える位置で、次への階層がありそうな場所と言ったら、その三箇所ぐらいしか候補が無い。

 移動が一番楽なのは木々がある場所だが、崖の方を攻めるなら、山羊と鳥の行動はもう少し調べた方が良い。


「さてさて、どうしたもんかね。木々がある方だと……何のモンスターが出るかは一切解らないからな」


 燻りだした方がいいだろうか? 投石しまくったり、火をつけてみたりするか? とは言え、燃料は無いし、この木々のサンプルも回収しておきたいのだけど……ただ、この嫌な感じ何処かで感じた事が有るんだよな。


「何処だったっけ? たしか……地上の奪還をした後の……」


 そうだそうだ! 思い出した!! あの雀蜂だ! あいつ等の巣が出来た周辺が、何か特殊な空気になってたんだった。

 そして、あの木々がある場所に感じているのは、その時以上の空気感。


「テリトリーの主張をしているって事なんだろうな。そして、それだけ強いモンスターが居るって事なんだろう」


 熊も狼のモンスターもテリトリーの主張はする。ただしそれは、木にマーキングだったり自分の臭いを着けたりと、こういった濃厚な気配的な物での主張では無かった。

 

 そして、こう言ったやり方をするのは、強者という自信があるヤツだ。


 オーク達でも、あの地下に作り上げた場所でしか、その雰囲気を出していなかった。それほど、強さに自信が無いと気配ただ漏れの主張はしない。

 なにせ、自分より強い奴等が寄ってくるからな。


「雀蜂は毒殺出来たから余裕に見えたけど、あの場所にあった骨やら魔石やらを見るとなぁ……」


 狼・猿・ゴリラ・熊・猪とあの周囲に居た奴等は、しっかりと餌にされていた。そう、ゴリラの魔石は無かったけれど、やつの骨が有ったのを後から発覚したんだよな。あれは衝撃的な事実だった。


 そういった強者としての主張が木々の場所からあるから、踏み込むのを躊躇してしまっている。

 そこから感じる気配だけで言うなら、ジェネラル以下雀蜂以上と言った所ではあるんだけど……今の俺にオークジェネラルと、ソロで戦う事が出来るのだろうか。

 まぁ、基準とする相手が少ないから、判断が難しいのだけど。


「でもなぁ、二十一層なんだよなぁ」


 なんでこんな階層で、これだけの気配がするのだろうと考えると、正直スルーしていい気がする。

 それで判断するのもって言う話だけど、ゲーム的に良くあるんだよな。何で此処でこんな馬鹿げたダンジョンorモンスターが居るんだよ! ってパターン。

 その殆どが、クリア後の二週目に行く場所だったり、何かがあって戻ってきていく場所だったり、無茶してレベリングをした人用のボーナスマップだったりと……スルーしても良い場所と言う物だ。


「ただ、そう言う場所って、往々にして良い物が沢山あるんだよな」


 さてさてどうするかな? 此処に行けば……上級ポーションなり魔本なりがある予感がビンビンと感じる。

 しかし、それを得る為にとんでもないモンスターと戦う。そんな気配もビンビンだ。


 そうだな。少し様子を見る。これぐらいはやっておくか。間違いなく……危険地帯ではあるから、他の人が何もわからず突入する。何て事が無いようにする必要もある。

 とは言え、危険には変わりないから……撤退する為の用意もしておかないと。

ブクマ・評価・感想・誤字報告ありがとうございます!


ゲームでやりませんか? レベリングしすぎて通常ルート以外を先に攻略しにいくパターンとか。

私や私の周辺だと、あるあるパターンなんですよね。やりすぎて、通常ルートの敵が弱すぎる! とか。

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