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好転の星  作者: ベン マウント
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神様がくれたもの

お読みいただきありがとうございました

社長に就任して三年が過ぎた、嵐の中にいるような三年だった、嵐と言っても良い事の嵐だったが、運が良かった、運が良過ぎだと思う

あんな若造に何ができる、会社を知る企業の経営者たちは、そう思っていたようだ、会社が急成長するにつれて、それが変わった何かとつながりを持とうと、いろんな企業の経営者が近づいてきた、何れにしても、自分の企業の為にだろうが、俺がお近づきになってやるのだからと、上から目線の者、真剣に自分の企業の為、知恵を得ようとするもの、いろいろだ、躍進しているから起りえる現象だと、ありがたく思うが、教えを乞うといわれても、そんな大層な事をやっているわけじゃない、教える事等無いと言った方が良いだろう、また俺がやった通りやったとしても、かならず成功するとは限らない、要はその人の熱意と態度が、社員に伝わるかどうかだ

考えてみれば、俺の人生はあのおみくじを、引いた時から大きく変わったのは間違いない、あれ以来暇を見つけては、あの神社にはお参りしている、というのは、この神社に関係あるのかは分からないが、俺の想像するいかにも神様、

という姿をした人が夢に出て来て、こう言った

「お前さんに、良いか悪いか、瞬時に判断できる能力を与えた、心して使うように、幸せにな」

そう言って、にっこり笑って消えてしまった、あくまで夢の中の事、と流してしまえばそれまでだが、夢に出て来て気になる物がまだあった、指輪だメーカーやスポンサーを探したが、どこからの物かも、見当もつかなかった、夢の中の神様が、同じ指輪をこれ見よがしに、かざして見せたのが気になって仕方がない、あくまでも夢の中の話だから、人には話せないが、今の俺は指輪とおみくじに、守られているような気がするのだ

一応経営者の端くれに加わったからには、何時でも健康でいなければ、そう思って子供の頃に習っていた、合気道を習う事にした、筋トレとかジムに通うことも考えたが、体を動かせればいいのだから、少しでも経験のある事の方が良いと考え、近くにあった道場に、通わせてもらう事にした、その時俺の身体能力で、更に異変を感じる事が起こった、初めて稽古をつけてもらった時だ、我ながら目を疑った、師範という人が相手をしてくれたのだが、師範のやることを見きれるのだ、早く言えば師範より強かった、武道は見切りというものが大事なのだが、どう来るかが分かってしまうから、対処し先に手が打てる、動きも考えられないほど、素早く動く事ができ事た、自分でも訳が分からなかった、暴漢に襲われた女性を、助けられたのも、偶然ではなかったのかもしれない、相手をしてくれた師範は、最初は威風堂々と威厳があり、とても格好良かったのだが、帰るころにはただのおじさんになってしまっていた、ごめんなさい、異変が此処まで来ると、信じ難い何かが俺を守ってくれている、そう思ってしまってもしょうがないだろう、決して人には言えない事だが、その為お礼と言う訳で、確信はないが、あの神社にお参りしなくては、いられない気持ちになったのだ、おみくじはあれ以来引かない、この強運が変わってしまっては困るので、お参りした後は不思議なほど、気分が落ち付き爽やかになる、お参りするほどに、何か力を貰えているような、あくまでも俺の気分的問題なのだろうが


久し振りに原元麗子と食事している

「進藤さん、やったわね、今では押しも押されもしない、歴とした社長さんになったわ、こんな短期間に」

「全て、麗子さんのお陰ですよ」

「そんな事ないわ、進藤さんの実力でしょ、やるとは思ったけど、此処までやるとは驚きだわ、有村さんなんか、これから順次、自分の関連会社を進藤さんに、やって貰おうと思っているみたいよ」

「冗談じゃない、俺はこれが限界、これ以上は絶対引き受けない」

「有村さんも、進藤さんは必ずそう言うと言ってたわ」

「分っているなら良いけど」

「そこを何とかしたいとも言っていたわよ」

「絶対ごめんです」

すべて順調と言う訳では無かった、分からない事だらけだった、小さな事だがいろいろと悩む事もあったが、麗子がいつも相談に乗ってくれた、その事が大きく影響しているとは思うが、今では麗子は俺にとって、なくてはならない存在になっている、仕事上ではなく心情的にだ、その自分の気持ちに気がついて、愕然とした、この気持ちをどう処理すればいいのだろう、今までに恋愛経験がないわけではない、好きな女性がいて交際した事もあった、だがどこか真剣になれなかった、なんだったのだろう、心の底から好きにはなれなかったのだ、人間の成長過程の習わし、周りがやるから俺も、そういう感覚だった、深い関係になる気は起きなかった、そんな進藤の気持ちが伝わったのか、自然消滅の形で彼女との関係は、消えて行ってしまった、だが麗子に対する気持ちは違った、もう少し重いものを感じる、麗子が企業の重役だから重いのではなく、なんというのだろう、もの凄く貴重で大事にしなければいけない、そんな気持ちだ、その存在を壊さないよう、迂闊な行動を取れば壊れそうな、会いたいし顔も見たい、逢えば心から嬉しかった、だが、態度に表さないよう、気を付けた、最近はそれが俺の一番疲れる時だった,けれど逢いたいのだ、これが恋という奴か、俺が恋だってぇ、考えるだけで恥ずかしくなるが、暫くはこの疲れを覚悟をしなければならない、そのうちに慣れるだろう、微笑みながら俺を見ている、その顔を見ているだけで、胸がキュンとして幸せだ、黙ってみている麗子に、何か話しかけなければ、話題が見つからない

「話は変わるけど、麗子さんは趣味なんかある」

やっとの事で思いついた事を口にする

「私に、趣味がないのよ、学生時代はいろいろとやってみたけど、のめり込むようなことがなかったし、卒業後すぐに父が倒れて、会社をなんとかしなくてはと、夢中でやってきたら、この年になっちゃったの、会社もなんとか落ち着いているし、何か始めようかな、何て考える事も有るけど」

俺より三つ年下だという、しっかりしているので、若く見えるが俺より年上だと思っていた、そう言ったら怒るだろうな、女性は歳の事に敏感だから

「俺も同じ、無趣味で何の取柄もない、本当、自分でもつまらない男だと思う」

「そんな事ないわ、大丈夫、進藤さんて結構魅力的よ」

「ありがとうございます、そう言っていただけただけで、感謝です」

「あら、本当よ、もっと自分に自信を持ちなさいよ」

『そう言われてもねぇ、自分の事は分かっているつもりです」

「仕事に対しては、決断力が凄くて自信満々なのに、そんなに自分を卑下しているなんて、驚いたわね」

「いや、卑下なんてしてないよ、有りのままの自分を評価しているだけ」

「じゃあ、評価し直した方が良いわよ、自信に満ちている進藤さんの方が素敵だから」

「ありがとうございます」

「なんか、信じていないって感じね」

「今更そう簡単には信じられません、じゃあ、こんな俺の恋人になってって言ったら、どうする」

「ええ、勿論、良いわよ」

「社交辞令ではなく、本気だったらどうするの」

「ええー、今の本気じゃないの、私本気で返事をしたのに」

「何を言っているんだか、ええー、本気って、嘘でしょう」

「だから良いって言ってるでしょう、真面目に言ってるのよ、いつ言ってくれるか待っていたんだから」

思ってもいなかった返事に、思わず狼狽えてしまった

「マジで、嘘、信じられない、そんな事、あり得ない」

「本当よ、おばあちゃんを送ってくれた時、良い人だなぁって思った、縁あってお仕事でお付き合いするうち、益々いい人だと分かった、だから本当の気持ちを言っているの、私じゃ嫌ですか」

「そんな、俺は最初に会った時から、綺麗な人だなあって思ってた、だけど恋人って言う事はあり得ない、そう思っていたんだ、なんていうか、育ちとか住む世界とか、違う気がして、告白しても絶対無理だと思っていた、だから驚いた」

「そんな風に考えていたんだ、馬鹿みたい、私こそそんなに大層な女じゃないのに」

「いや、未だに恋人が居ない事が、奇跡のような人だよ」

「買い被りよ、私なんて」

そう言いながら、二人で顔を見合わせていると、何となくおかしくなって、二人で笑ってしまった

「お互い自分を卑下しあってどうするのよ、二人とも馬鹿みたいね」

「そうだった、ごめん、そう言う事なら」

姿勢を正し

「俺と付き合ってください」

そう言って頭を下げた

「よろしくお願いします」

麗子も頭を下げた

「よかった、本当に夢のようだ、麗子さんが俺の恋人か、うん、良かった」

一人悦に入っていると

「麗子さんじゃなくて、麗子、良いわね、これからは麗子」

「分かった、早くも尻に敷かれているな、俺は」

「そうじゃなくて」

「はいはい、分かりました、麗子の言う通り」

「そう、其れでいいのよ」

お互い声を出して笑ってしまった、今夜は最高の夜だ、夢でなければいいが





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