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Road8 天狗の鼻は折っておけ

 アルトが何でも屋に住まうことになって数日、今日は何でも屋の定休日である。

 ちなみに、何でも屋は週休3日制である。従業員は一斉に休むが、もしものときの電話番ということでネロだけは店内で待機しているのだが。


 さて、せっかくの休日だと言うのに店内は不穏な空気で満ちている。

 

「ーだからある程度の家事は俺の仕事でもあるんですから、休みの日はもっとゆっくりしててくださいよ。」

「そんな任せっきりなんて出来るわけないでしょう?それに今日は休日なんだからアルトこそ自分の時間に当てなさいよ。」


 言い争っているのはアルトとネロだった。

 事の発端は休日だというのにいつも家で仕事をしているネロを見ていて、自分が何かできないかと思っていつもどおり家事をアルトが始めたところを、ネロに休日は休めと強く言われたことから始まった。


 何もしないのが申し訳なくて自分ができることをやっているだけだったのだが、自分が不要と言われたように感じてしまったアルトはそっちが休んでくれるなら休めると言い返してしまった。

 ネロもそんなつもりで言ったわけではない為、悪態を突かれたような返事にカチンときてしまい、口喧嘩が始まってしまった。


 結局、お互いにずっと働いていることを心配しての行動だつたはずなのだが、会話はどうにも並行してしまい誤解したままの状態が長く続いていた。


 最終的に遅くに起きてきたサクロに嗜められ、互いに頭を冷やすように提案された。

 その後はネロは部屋に閉じこもり、アルトは外に出かけることにした。

 別れ際に「この頑固者」と悪い形で意見が一致した。


 さて飛び出てきたアルトとネロの気持ちが落ち着くまでの時間の使い方だがアルトは鍛錬に当てようと考えていた。

 情報は多く手に入れ、偽者もしばらくは動かないことを考えると足りないものは自分の力である。

 

 取り替えしに行く際に真っ向から挑む気はさらさらないが、もしものときに城の兵士と戦うことになったのならば、今のアルトでは速攻でボロ切れにされるだろう。

 

 強化結晶に頼れば数人程度の兵士は何とかなるだろうが、現状では反動が大き過ぎる。


 更に、偽者が持っている力が洗脳だけとは限らない。もし他の力を持っていたとして、対処できずに敗北では話にならない。

 勇者の職を持っている以上、職業の補正が軽いものと考えずらい。


 それらを踏まえて、どんなイレギュラーが起きても問題ないように、全てにおいて準備しなければならない。

 早速戦闘服に着替え、武器の状態を確認して拠点を後にする。


――――――――――――――――――――


 町の外に出て、手頃な敵を探す。

「色んな意味でコスパ高いからな、コイツらは封印か。」


 今回からは銃も結晶も闇雲に使うことはできないので、装備は片手剣と以前購入した小盾による近接戦がメインになる。


 …結晶は使ったら倒れるし、銃は今までろくに扱ったことが無い分、結晶使わないと当たりもしないのでどちらもお飾りにしかなっていないが。


 散策を行い、町の横にある山の中に足を踏み入れる。

[虚偽者(ゲンガー)]は今の自分には厳しいので、鉢合わせないよう警戒しながら進むと、ちょうどいい敵を発見した。


 人型であるが、腐敗臭を放つ。肌はただれている不気味な怪物代表の屍人(グール)種だ。

 虚偽者に比べれば攻撃力はとても軽く、上位種でないなら腐敗液を飛ばしてくるなどの遠距離攻撃もない。

 戦闘職、最初の相手御用達の怪物だ。


 好奇なことに1体しか現れていないので絶好チャンスだ。

屍人もこちらに気付いて襲いかかったのを合図に戦闘が始まる。


「遅ぇよ!オラァ!」

 アルトにも見切れる遅い攻撃、一歩後ろに下がって避けてから思いっきり動体を切りつけた。…しかし。


「ヴォァァ…」

「おい…コイツ硬くねぇか?」

あまり効いてるようには感じなかった。

 それもそのはず、前回の虚偽者よりも屍人種の方が耐久力は高く、更に虚偽者戦では弱点を正確に狙えたから楽に倒せるように感じただけだ。

 効果の無さに驚いている間に屍人の攻撃は脇腹に入り体を飛ばされる。


「グ、ハァ、痛ってぇ…」

こちらは結構いい位置にダメージをもらってしまい、形成は逆転してしまう。

 こちらも体制を立て直し、反撃に応じようとするが、敵はその隙を狙い攻撃を続ける。


「ブハッ!」

顔面に思いっきり拳をもらってしまい顔から鼻血がたれる。

 こちらも負けじと何度か攻撃を当てるがやはり決定打は与えられなかった…


「ゴホッ…ガハッ!」

あれから何分たったことだろうか、敵の攻撃が止むことはない。すでに体に所々アザができ、攻撃をもらうたびフラついてくる。

 反撃の機会を伺おうにも弱点を上手く狙えず、四苦八苦していた。


 皮製の盾はすでに使い物にならなくなり、後半は剣で身を守っていたが、遂には片手剣を持つ力も無くなってしまい、剣を地面に落としてしまった。

これ以上はやむを得ないので銃を引き抜こうとしたが…


「グォァアア!」

「ぐ、あああああああ!!!」


銃を引き抜こうした腕は、屍人が拾い上げた剣によって突き刺された。

 下級モンスターにここまで手酷くやられたアルト。

 今日まで訓練してきたことや虚偽者の群れを倒して些か天狗になっていたアルトのプライドはもうボロボロだった。


(ふざ、けんな…!こんな奴、と…ここまで差が、あるわけ無ぇだろ…!)


 既にこちらは満身創痍の状態だが、敵が攻撃をやめてくる道理は無い。

 剣を持った屍人は容赦なく切りつけてくる。


(あぁ、こんなことなら、出し惜しみせずに使っとけばなぁ…)


 銃も、結晶も早いうちに使っておけばこんなことにはならなかっただろう。後悔してももう遅いことだが、アルトはまだ諦めていなかった。


(せめて…コイツに一矢報いてやらぁ!)


 剣を離してしまった方の腕はまだ動かないわけではない。最後の力を振り絞り、屍人に蹴りを放って距離を取る。


「ークッ、ソ野郎がぁぁ!!」

十分に距離は取った。銃を抜く時間もあった。

ーー今度こそ銃弾は放たれた。狙いもなく、ただ闇雲に放たれた弾丸の行方は…


「ゴ、ァァァァ…」

屍人の右眼に命中した。

 

 屍人は右眼を押さえながら剣をその場で振り回していた。

 こちらを確認できていない間にアルトは青色の強化結晶を砕き、風を切る速さで屍人から逃走を図る。


「ザマァ…みやがれ!」

息が絶えそうになりながら悪態をついて、屍人を確認する。

 屍人の速度ではこの距離をすぐに詰めることはできない、逃走に成功したかと思ったその時。


「――!―――!――――!」


屍人は先程の呻き声とは異なり、奇声にも思える叫び声を発した。

 次に見えた光景はアルトの心を再び折られようとするものだった。


 茂みから、地面から、無数の屍人が湧いて出てきた。

 こちらが限界の状態になって眼を潰すまでにしか至れなかった怪物が、10は超える数も増えてしまった。


 勝ち目はない。戦う気も起きない。

まだ効力が残っている青の結晶(速度上昇)を頼りにアルトはその場から逃げ出した。


「クソ…よクモ…」

右眼を押さえる人型が、逃げたアルトの背をみて呟く。


 アルトはただ走り続けた。

逃げて、逃げて、逃げ続けてもなお追跡は一向に止まない。

 むしろ、先程よりも敵の数は増えていっている状態だ。


 山を下り、登ってきた道を引き換えそうにも先回りされているかのように通路を塞がれ、山をいつまでも走り続けていた。


 次第にアルトは知らない道を走り続け、山の中腹の桟橋を渡っていた。

 下は巨大な川が流れ、高さはもう20mはあると思われる高さだ。


 桟橋の中央まで渡った時、遂に恐れていたことが起きてしまった。


「う、あ、動け…ねぇ…」

結晶の副作用が発動し、全身が酷い疲労に覆われ、倒れてしまった。


「グァァァ…」

表情などないはずの屍人が嗤っているように感じた。

 屍人達がにじり寄ってくる中でアルトは賭けに出る。


「テメェらに、タダで食われてやる気は無いんだよ!!」


 そう叫び、必死に取り出した銃を構え…桟橋なの縄を撃ち抜いた。


「うわああぁぁぁぁ!!」

アルトの叫び声だけを残して、屍人もアルトも、全員まとめて川に落ちていった。

今回は後書きだけです。

現状の主人公をもうちょっとマシな戦力にするために、少しばかり死に目にあってもらおうと思いました。


雑魚キャラですら驚異として表現したかったのと、雑魚キャラ程度には遅れを取らない強さになるように願って書いてみました。

最後にアルトくんの装備をステータス風に表示してみました。


ーーーーー

名:アルト・ファクティス

職:冒険者(フリーター)


装備

・ショートブロンズソード[剣]

・初心者向け自動式拳銃[銃]

・レザーライトバックラー[盾]

・レザージャケット[銅]

・ブラックジーンズ[脚]


ーーーーー


いかにも初心者っぽい感じの装備を考えてみましたが・・・名前テンプレ過ぎますかねコレ

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