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Road7 お世話になります、なりました。

 資金を稼ぐために、アルトは何でも屋に通い続けていた。

 宿代や食費などを使いつつも着々と手持ちに余裕ができ、仕事にも慣れ始めたころ、本来の目的のために行動を再開する。


 この町に来た時よりは数は少なくはなったが、城の兵士がいなくなる見込みはないようだ。

 顔を指名手配されているので何度も疑われたことはあるが、身分証を提示することでその場をやり過ごしてきた。


 身分証の内容が足りない気がしていたので不安だったが結構しっかりとできていたらしく、洗脳された兵士を欺くのは容易だった。

 

 その中で、洗脳の効果について少し分かったことがある。

 [洗脳された者の記憶を使うことができない]さらには[洗脳された兵士の持つ情報量は術者の記憶したものまでしか反映されてないこと]だった。

 

 結論に至る理由は簡単だ、アルトは自分の師匠のリュウガに稽古をつけてもらっていた。リュウガ自身は元々は城の兵士であるため、当然ながら他の兵士と合うこともある。


 その際にアルトも数多くの兵士と顔を合わせているため、ほんの少し身分を隠した程度ではもうすでにバレているはずだからである。ーこちらが前者の理由。


 後者の理由は『アルター・ロード』の人物像の伝わり方だ。

 聞くところによると「人を馬鹿にしているような態度」や「相手を常に嘲笑ってるような嫌味の多い性格」と伝わっている。

 実際のアルトがそのような態度をとるのはこちらに()()()()()()()()()()()()()に対してだけであり、性格に至っても[基本的には面倒くさがりな性格]と自他ともにそう認識している。

 故にこの部分だけでの悪評…もとい情報では偽アルターの記憶できている部分だけでしか認識されていないことが分かった。


 さらに兵士から状況を詳しく伺ってみると、こちらに好都合なことに偽アルターは本物のアルターを捕らえるか、殺すまではこの国をでないという情報も手に入れられた。


 何でも、こちらがどこかで妨害してくるという可能性を無くしておきたいようだ。

 さらには偽アルター自身があれほど煽られたのがよっぽど頭にきたのか、本物の無残な姿を見ねば気がすまないらしい。


 このように話を聞いていると現在の偽アルターは勇者という称号を掲げ、王様達にゴネているように感じてしまう。

王様達はすでに洗脳されているので偽アルターの命令(おねがい)に拒否権はないのだが。


(人から奪ってなった職とはいえ、仮にも勇者がそこまで下衆な思考とか名前負けだな。)

…と心で馬鹿にしながら聞いていた。


 こちらを探す面にしても依然として向こうが有利なことに変わりはないが、こちらも力をつけたり策を巡らせたりなどの準備をする時間に大幅に余裕ができた。

 

 とても有力な情報を数多く手に入れることができたアルト。

 だが、次に行動するための準備を行うことを考えるとまだ資金は万全ではないので、今日も職場に足を運ぶ。

 しっかり稼ぐためにはりきって何でも屋の裏門を開けると…まるで誰もいないかの如く静かだった。


 いつもであれば開店準備を急いでいるネロとまだ眠そうにしているサクロが挨拶を交わしてくれるはずなのだが、今日はいつものやりとりが無い。

 不審に思いながら店に入って行くとカウンターにネロのものと思われる置き手紙が置いてあった。


『アルトおはよう。手紙上での挨拶でごめんなさい。

今日は朝早くから出向かなきゃならないところがあるの。

夕方まで戻って来れないと思うけど朝の討伐依頼などの書類はまとめといたから適切な処理や対応をお願いね。


p.s もし愚兄(サクロ)がまだ寝てたとしたら容赦なく起こしてね。』


 手紙を読み終わり、まさかと思ったアルトはサクロの自室に向かった。案の定、サクロは爆睡していた。


「サクロさん、起きて下さい。もう仕事始まりますよ。」

優しく、それでいて急かしながら起こすアルトであったが、サクロはまだ寝ぼけているのかアルトにすり寄ってきた。


「ネロォ…今日はずいぶん優しいね…兄さんは嬉しいよ〜…」

 妹と勘違いをしていてベタベタと張り付いてくる。

時間もない中、まだ寝ぼけている上に気持ち悪く抱き着こうとするサクロにアルトは少しイラつき


「いい加減、起きろッ!!」


怒鳴りながら思い切り投げ飛ばした。

 サクロの背中が床に激突し、建物内に大きな音が鳴り響く。…このときアルトは毎朝サクロ起こすネロに強く同情した。


「あたた…でもいつもよりは優しい…ってあれ?」

 ようやく目を覚ましたサクロは目の前にいる人物がいつもの妹ではなく、アルトであることに疑問を感じている。


「ネロさんは用事あるそうで出かけてます。投げ飛ばしたのはすんません。ただ、始業時間迫ってますんで用意のほど、急ぎでお願いします。」

 それを報告した後、2人は時間を確認する。

時刻はもう10時を過ぎている。大急ぎで2人は各自の準備を行う。

 アルトは軽い朝食と仕事着を用意し、資料の確認に入った。

 サクロは朝食を食べながらあることを考えていた…


 ネロのいない反動はとても大きく、本来なら昼始めに終わる仕事がもう3時に差し掛かろうとしていた。

 サクロ自身も外での仕事があるため、出かけるていったが、その際に今日はサクロとネロが帰ったら話があると残していった。


 1日の仕事が終わり、サクロとネロが帰ってきて今日の給料をもらうというところで話をされる。


「もし良ければだけど、明日からこっちに住まない?」

 サクロから部屋は用意するからこちらに住まないかとの誘いであった。無論、給料はそのままでだ。

 もし住むことになれば、これから宿代の心配は無くなるので非常にありがたい…が何故それを許すのか理由を聞いた。


 何でも、アルトの家事能力があると知ったときからいつかは住み込みにしてもらえないかと考えていたそうだ。


 2人とも仕事で忙しく、さらにはサクロが古道具を持ってきたりするので片付けがネロのみでは大変になっている。

 炊事に関しては2人とも経験がないのでいつもインスタント食品で済ませている始末だった。


 そんな中で、家事に関しては一通りこなせるアルトは喉から手が出る程に欲しい人材であり、今日の朝のやりとりがきっかけで遂に言い出そうと決心したとのことだ。


 だが、アルトにもやるべきことがある。

ずっと住むことはできないがそれでも構わないかと伝えたが、問題ないと答えられたので早速アルトは明日からお世話になることにした。


 宿に戻り、今日まで世話になった礼を店主のロッカスに伝えた。

「気にするな、たまには顔出せよ。」

と言うと荷物の準備を手伝ってくれて、夕食もご馳走になった。


 朝になり、多大な感謝をロッカスに伝えたアルトは荷物を運びながら、新たな居場所に向かった。

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